「商品」と「事業」の様々な問題、難題に対するミライへのアプローチ 開催報告

04.02.19 09:05 AM By s.budo

「商品開発、事業開発の過去、現在、そしてミライ」有識者座談会(後編)

『「商品」と「事業」の様々な問題、難題に対するミライへのアプローチ』テーマに、1月16日(水)に第1回有識者座談会(後編)を開催致しました。今回は、2つのグループで「新商品開発」と「新事業開発」の各ミライを展望しました。


■”新”メンバの最近の注目、関心事

一般消費財開発分野:キリン株式会社 キリン食生活文化研究所 シニア・フェロー                                    太田 恵理子氏
注目しているモノはありません。無い理由の大半は、モノがもう溢れているから。何かを捨てるか誰かに渡してその代わりに買うことはあるが、そういうのは必需品だからワクワクしない。PCがまだWin 7なので今年のうちにWin 10のPCを買わなくちゃいけないが「欲しいもの」ではない。めんどうくさいなと思う。出来ることならこのまま使い続けたい。商品を見ていても「商品」「モノ」は欲しくない。でも「欲しいサービス」はいっぱいある。

〇デジタルマーケティング分野:富士通総研 コンサルタント 田中 秀樹
アントレプレナーをどうするか。そもそも新しい事業を本当に作りたいのか、作れるのか、疑問に感じている。様々な企業でベンチャーとの共創も支援してきたが、ほとんどうまくいかない。現在行われている新規事業の体制や管理運営方法に限界を感じている。

商品開発分野:大手企業K社 B2B新規事業開発 商品企画担当者

最近増えている企業がベンチャーと組むケースに注目しているが、企業側はベンチャーの技術そのものに飛びつくのではなく、顧客ニーズに裏打ちされた技術に着目し、ベンチャー側は、企業の資金と信用力(ブランド)だけでなく、リスクを共有してはじめてWIN-WINの関係が成立すると感じている。


一般消費財開発分野:中堅企業N社 新規事業開発マーケティング担当者 
新商品開発や新事業開発の新たなモデルがなかなかでてこない。社内ではベンチャー投資に意欲的だが、世の中に認知されるまでの長期視点やブランディングの重要性などのコンセンサス形成に苦戦している。

CSV関連事業分野:事業支援コンサルティング企業I社 経営コンサルタント
地方創生ビジネスの一環で始まった牧場事業に関わり、最初は野放図な事業運営でやりたい放題だったが、組織が大きくなるにつれ自由な雰囲気が無くなった。ベンチャービジネスの継続性、オペレーションや企業文化を育ていくことの難しさを、改めて感じている。

〇IT分野:WEBプラットフォーム大手企業K社 品質保証 ITスペシャリスト
外では、あらゆる分野でITによる変革が期待されているが、ITサービスの現場は、忙しすぎてスキルアップする余裕も無いまま仕事をこなし、システムの不具合が頻発している不甲斐ない状況に陥っている新サービスにかける時間、資金、リソースが不十分であるのはわかっているのに、経営者はなんにも意思決定しない。(できない?)

■「新商品開発」のミライ

女性4名+男性1名というメンバ構成で、女性の感性、視点を軸に、「現在の商品開発の延長に、ミライをになう(期待できる)商品は無し」とバッサリ現状を否定し、そのアンチテーゼとしてミライの「新商品開発」のアプローチ方法が検討されました。


検討結果をSCAMPERの7つの観点をベースに、ミライの「新商品開発」におけるアイディア創出やコンセプト開発のポイントとして整理しました。

※PDF版は、こちらよりダウンロードください。

各観点における主要ポイントは以下の通りです。

 観点  ポイント
Substitute (代用・代替)
労働、時間、空間の外部化、自動化、デトックス
 感情移入できる、感情が満たされる
 Combine (結合) 目的と手段の見直し、再定義
市場ニーズ×自分目線ニーズ
 Adapt (適応) 必需品-良さの再認識、再発見
好適品-商品価値の原点回帰
期待-人間性を取り戻す(根本欲求)
 Modify (修正変更) 失敗への恐怖心
ものづくりへの執着、固執
オペレーション偏重
 Put other use (転用) 顧客が顧客をつなぐ
現状維持、思考停止状態の人と社会の変化
Eliminate (除去)
 言い訳風土
 Rearrange (再編) 魅力的品質≠高品質
開発者の魅力≒商品力

成熟した消費社会が、停滞するか、衰退するか、あるいはまったく新たな方向に進化するか、ミライの新商品開発のヒントは、これらのポイントの中、あるいはすき間に見え隠れしているかもしれません。

消費者は、溢れんばかりの商品にも充実感を得られず、他方、商品開発現場には、新技術が台頭する中にあっても開発のあり方に閉塞感が漂っています。

充実感、閉塞感ともに、人や社会の価値観に基づく評価であり、従来の様に数値評価できるものではありません。その意味で、ミライの新商品開発はこれまでと全く異なる道具立てが必要とされるのかもしれません。

「変化(変革、成長、進化)には、痛みが伴う」と言われますが、この痛みに耐える精神力、体力、そして回復力が、消費者にも開発者にも試されるミライが待っているのでは!?と総括されました。

■「新事業開発」のミライ

様々な立場で新規事業に関わっている(た事のある)男性6名というメンバ構成で、数多くの失敗の教訓とわずかな成功例を手掛かりに、「日本の新規事業開発は、いまだ暗中模索、混沌期であり、ミライを牽引する新事業の開発方法は未確立」との現状を認識し、同じ轍を踏まないという観点からミライの「新事業開発」のアプローチ方法が検討されました。


検討結果をSCAMPERの7つの観点をベースに、ミライの「新事業開発」におけるアイディア創出やコンセプト開発のポイントとして整理しました。

※PDF版は、こちらよりダウンロードください。

 観点  ポイント
Substitute (代用・代替)
取引先との連携・協業
技術ベンチャーとの共創
 Combine (結合) 個人×組織(家族、会社、コミュニティ)
ストック&フロー
 Adapt (適応) 文化の成熟、進展
プラットフォームを拡充する
社会システムの担い手
 Modify (修正変更) 大胆な投資
既存事業と別体制化
短期志向から中~超長期へ
 Put other use (転用)
パッケージ化/モジュール化
パーソナライズ化/シェアリング
Eliminate (除去)
 従来型ビジネスモデル
前例主義
 Rearrange (再編) 技術主導からマーケティング主導へ
トップダウンからボトムアップの意思決定へ
成功より失敗経験の蓄積重視

AIやロボットを始めとする新技術が、ミライの市場を牽引するという展望や論調が多く見られますが、足元を見ると、その担い手(提供側)である事業の創造が覚束ないのは、大いなる矛盾に映ります。「新しい酒は新しい革袋に盛れ」のことわざ同様に、新技術を駆使するには、新しい事業開発組織が必要なのかもしれません。


討議の中で、改めて「根拠のない自信」について意見がありました。

自信は、ときに過信や過剰になる危険をはらみ、手痛い失敗をもたらすことがありますが、反面、臆病は動きを重くし、好機にあってもタイミングを逸し成功を掴み損ねるきらいがあります。その意味で、ミライの新事業開発に挑む場合、前者のマインドがより重要となりました。

暗中模索、混沌期である今、「失敗は成功の母」、「Anyone who has never made a mistake has never tried anything new.-Albert Einstein」をモットーに、事業の再創造に取り組むべし!と総括されました。

■今後の活動予定

今後、「新商品開発」、「新事業開発」のミライに関して継続的な研究会活動を企画・検討しています。