Part2. グリーンラッシュに沸くアメリカ -緑の金脈、嗜好用(娯楽用)大麻ビジネス市場

オランダやカナダといった国ですでに合法化されている娯楽用大麻ですが、アメリカではコロラド州、イリノイ州、カルフォルニア州をはじめ11の州とワシントンDCで合法化されています。
医療用大麻はアメリカの33州で合法化されており、大麻から抽出される成分が鎮痛作用、沈静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗癌作用、眼圧の緩和、嘔吐の抑制などがあると言われ、ガンの緩和ケアなど活用されていますが、まだまだその効果や可能性は発展途上でもあります。
しかしながら、様々な可能性を秘める大麻は、ゴールドラッシュにちなんで、緑の金の生る木と表現され、"グリーンラッシュ"が起きつつあります。
日本では大麻といえば、取引、所持、消費などはもちろん違法、犯罪などイメージもネガティブです。
海外では麻酔薬代わりに医療用大麻が利用されており、ここ数年、医療用以外の嗜好品の大麻商品やサービス、ビジネスが次々と生まれています。
そして医療用及び娯楽用大麻を解禁しているコロラド州では、娯楽用大麻の販売取引に課される売上税(消費税)が、2014年7月から2015年6月末までの1年間で7000万ドル(日本円でおよそ76億円)に達し、アルコール税の税収を早々に超えました。
新たな財源としても魅力的なこの大麻、他の州も我も続けと娯楽用大麻の導入を推進しており、ニューヨーク州も他なりません。
クウォモ知事は、娯楽用大麻を合法化した場合、年間当たり3億ドル(約328億5500万円)の税収と、数十億ドルの経済活動を州にもたらす可能性があると強調、コネチカット州やニュージャージー州、ペンシルベニア州の近隣地域と連携して、安全で公平なシステムを構築するとし、「21歳以上の成人向けにマリファナを合法化しよう。」と年始の施政方針演説で声高に叫んだわけであります。
ニューヨーカー110万人が大麻使用
クウォモ知事の意向を組んで、昨年にニューヨーク市保健精神衛生局(DOH)は、市民の大麻使用に関する初の包括的な調査報告書を発表しています。
この調査は3年前に行ったもので18歳から25歳の市民のおよそ3人に1人が使用を認め、使用者は市全体で110万人に上ったというのです。
性別では男性(19.4%)の方が、女性(13.4%)よりも市民に占める使用者の割合が高く、人種別では、白人市民の24.1%が使用を認め、黒人(14.1%)、ラテン系(12.3%)という結果でした。
これだけのニューヨーカーが大麻を使用したという事実は、娯楽用大麻を受け入れる素地がかなりの程度整いつつあるといえるのかもしれません。
成長し続ける巨大な大麻産業

大麻ビジネスは、大麻の栽培製造、小売り、治療、ビジネスソリューション、消費者向け製品開発、デジタルメディアの展開などで構成されています。この中には、大麻の調剤薬局、ラボテストの器具やサービス、医療用大麻、カンナビノイド(大麻に含まれる化学物質)ベースの薬剤、吸入器などのアクセサリー、大麻の栽培、大麻に関するオンラインコンテンツやネットワーキングなどが含まれます。
カンナビジオール、略してCBDと言われる大麻から抽出されるカンナビノイド成分の一種が精神不活性であるため、この成分を用いた大麻製品は、いわゆる"ハイ"になることがなく、鎮痛、抗うつ・不安などの作用があると言われています。
そして、このCBD成分が入ったオイル、クリーム、錠剤、食品などが開発され、販売されているのです。
Brightfield Groupによれば、CBD市場は2022年までに200億米ドル(日本円でおよそ2兆1735億円)に達し、アメリカにおけるCBDの売上も2024年までに同額の200億米ドルに達すると予測されており、市場予測からもその巨大さをうかがわせます。
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