NYノマド 第15回 コロナウィルス感染の渦中で奮闘するニューヨーク

20.04.17 11:51 AM By s.budo

後半 ロックダウンの日々を生きる

厳しいSocial Distancing策の追加と徹底

皆さんこんにちは。


日本でも4月7日に7都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」が行われ、対人接触を制限するための外出自粛が対象の都府県知事などから出され、自宅で過ごされる方が多くなっていることと思います。東京でも商業施設の休業などが始まりつつあり、在宅ワークや学校の休校など、皆さんも普段の生活に大きな変化もたらしているのではないでしょうか。


かれこれ、こちらでも自宅待機要請が始まってから3週間が経ちますが、4月13日現在で、ニューヨーク州ではあれよあれよという間に感染者数202,208名(195,031名)、死者数10,834名にのぼり、全世界の中で他国の数字を抜くとともに、アメリカでも感染の中心地となってしまいました。

そしてNY州の隣、私が住むNJ州は、全米でもNY州に次いでコロナ感染が拡大する地域となっています。


日々様々なことが起き、状況が変わるようすはニュースやネット、テキストメッセージなど様々な媒体から毎日のように流れ込み、状況の悪化という痛ましい内容だけでなく、その量や変化の速さにも圧倒されてしまいそうですが、皆一丸となって、この危機的状況に立ち向かっています。


医療スタッフも物資も不足している中、ニューヨーク州ではリタイアした医療従事者にボランティアを募ったり、また、州ごとに看護士や医師免許が付与されていますが、州外から他の州の免許を持っている医療スタッフを募り、働いてもらうということをニュージャージー州では行っています。

また、ニューヨーク大学(NYU)やコロンビア大学では医学部の学生を通常より早く卒業させ、医療現場に送り込むということをしようとしています。


マンハッタンの観光客で埋め尽くされていたホテルはもちろん閑古鳥ですが、今はいくつかの大手ホテルが医療従事者が宿泊できるようにしています。


こうした措置が迅速に決断、実行される、アメリカだからなのでしょうか。

画像: https://www.instagram.com/explore/tags/nystrong/よりスクリーンショットにてキャプチャ

しかしながら、悪化する状況の中、さらなる厳しいSocial Distancing策を講ずるため、NY州ではSocial Distancingに違反した場合、1000ドルの罰金が科されることとなりました。


公立学校は今学期まで休校となることが決められました。


NJ州では食料品店など生活必需品を販売する店舗では、店員、顧客共にマスクの着用が義務付けられることになりました。

マスクを着用していなければ入店することはできません。


前々回のコラムでも書かせていただきましたが、アメリカではマスクをして予防をするという習慣がほとんどありません。

医療従事者を中心とした、職務で必要な人が利用するものでした。

しかし、4月3日にトランプ大統領が新型コロナウィルス流行の拡大防止に向けた米政府の新たな方針として、国民に対し外出時に公衆でマスク着用(もしくは顔を覆うもの)を推奨すると発表しました。


これは非常に大きな転換です。


アメリカ国民が習慣や意識を変えざるを得ないほど深刻な非常事態に陥っていることを再認識することとなりました。

インスタグラムではハッシュタグ”#nystrong”でニューヨークがこの困難に立ち向かっているようすや人の投稿がされていますが、こちらのハッシュタグを検索してみてみると、マスク姿の写真の投稿が明らかに増えています。

また、感染者数や死者が増加する中、また、4月12日日曜日にイースターという、アメリカでもサンクスギビングデー、クリスマスに次いでポピュラーなキリスト教の祝日を迎えることもあり、教会や地域、プライベートでのイベントや集会、パーティといった集会する機会が増えることを警戒し、NJ州では4月11日,マーフィー州知事は追加の行政命令を発令しました。

州が運営する公共交通機関および民間の交通機関に対し、乗車率を50%以下にすること、交通機関を利用する際は病気の治療等を理由にできない場合を除き、鼻と口を覆うものを身につけること、テイクアウトでレストラン等に入店する場合もマスクなど鼻と口を覆うものを身につけること、です。

例年、イースターでは大人から子どもまで様々な人が参加するイベントが教会や地域でたくさん開催されます。
子ども向けでは、エッグハントという、卵の形をした容器の中にお菓子や小さなおもちゃなどが詰められたものが公園などにまかれ、宝探しゲームをするようなものがあり、子どもたちがを毎年楽しみにしているイベントです。
こちらももちろん全てキャンセルされています。
ニューヨークのマンハッタンではイースターパレードもキャンセル、そして5番街にある美しく荘厳なセントパトリック大聖堂では毎年恒例のイースターのミサはオンラインのストリーミングで行われました。
アメリカ人にとってとても大切なイベントの一つであるイースターをお祝いできないことはとてもつらく、悲しいことですが、この状況を共に乗り越えていくためには致しかたありません。



マスク着用だけでなく、ハグやキスといったコミュニケーション様式、毎週末の教会での集会など、Social Distancingを実行するには、大切に培ってきたいくつもの慣習や文化の変革を強いられます。
トランプ大統領は先のマスク着用推奨の発表の際に、自分は着用しないと明言したことが軒並み米主要メディアで報じられていましたが、本人のパーソナリティを垣間見るとともに、アメリカでは日本と異なり、マスク着用に対してはやはりかなりの抵抗意識があるものであったことも事実でしょう。

一人ひとりの意識を変えるのは大変なことですが、この非常事態下、医師や看護師などの医療従事者、スーパーなどの食料品店、清掃業のスタッフなど、フロントラインで懸命に社会のために、私たちのために働いてくれている人たちとともに、このコロナウィルスの感染を収束させるために自分たちができることをしようと州知事や市長などのリーダーたちだけでなく、個人個人が日々メッセージを出し、協同していこうとしています。



You Can What You Can Do ~一人ひとりができることを

画像:https://twitter.com/Uber/status/1248223483877658625?s=20より筆者がスクリーンショット画像をキャプチャ

日本では安倍首相と星野源さんの動画がかなり話題になっているようですが、こちらアメリカでも市民や著名人といった個人から企業、病院、行政など様々な人々が、TVやソーシャルメディア、インターネットなどを通じて、Social Distancingや一人ひとりの協力を求めるメッセージが流されています。


米広告協議会でも#StayHomeや#AlongTogetherといったハッシュタグで企業が消費者に向けた広告メッセージを出すよう促しています


毎日のテレビCMでも、Walmartなどの小売業、自動車製造業、Googleなどのテクノロジー企業など様々な業種から、このような企業広告を多く目にするようになりました。


例えば、Uberはハッシュタグ #stayhome で"Thank you for not riding Uber"というメッセージを発し、外出しないことを呼び掛けています。

画像:https://www.instagram.com/p/B97LB2rFRnz/より筆者がスクリーンショット画像をキャプチャ

先日は朝ニュースを見ていると、アメリカのロック歌手のジョン・ボン・ジョビさんが、自身がNJ州で経営している地域コミュニティを支援するレストラン、JBJソウルキッチンコミュニティレストランで、従業員と一緒にお皿洗いをしているようすが伝えられていました。


こちらのレストランでは、コロナウィルス感染が広がる中、食べ物を入手できない、準備することができない人を中心にテイクアウトやデリバリーを行っており、ご本人も一緒に活動されているということでした。

画像:感謝のメッセージを募るポスター( https://www.facebook.com/fortleetoday/photos/pb.163052380828142.-2207520000../872370246563015/?type=3&theaterより)

他にも、地元の警察官が高齢者単身世帯の生活を支援するために、一人ひとりの家を窓越しに訪問し、声をかけて元気でいることを確認したり、ゴミ捨てを手伝ったりしているようすや、Facebookなどのソーシャルメディアでローカルコミュニティでは、小学校の図書返却ボックスに、日持ち可能な食品を入れ、必要な人に提供できるようにしていることを呼び掛けていたり、日々のスーパーの品揃え状況を伝え合うメッセージがやり取りされていたりと、地域で知らない人同士が協力し合っているようすを日々目にすることができます。


友人が住む隣町では、Self quarantine(自宅隔離)の言葉をもじり、Self quaran"tune”というイベントが立ち上がり、毎日夕方6時に、その時間までに投票されて1位を取った歌を自宅からそれぞれが歌うということをしていると話していました。

同様に、私が通っていた教会の英語クラスの先生がマンハッタンに住んでいますが、そこでもアパートの窓からみんなで歌を歌い、励まし合うという活動を始めたら、その様子がTwitterで拡散され、ニュースで取り上げられたと話していました。


個人、企業に関わらず、一人ひとりが、こうした状況下で自分ができることをする、実践しているようすは大いに励まされ、引きこもることはストレスではありますが、自宅にできる限りとどまること、そして自分もできることを何かしたいというエネルギーや勇気をもらっています。

写真:自宅で作成した感謝メッセージのポスター、筆者撮影

そこで、私も自宅からでも何かできないかともやもやしているところに、私たちが住む街でも、感染者治療の医療現場や日々の生活を支えるために働いてくれている人に感謝のメッセージを送ろうという活動を目にし、早速娘と一緒に感謝の気持ちを伝えるポスターを作り、アパートのベランダに張り出しました。


感謝の気持ちを表現することができると、こちらもなぜか励まされるような気持になったのと、外を歩いている人がこのポスターを指さしながら歩いてくれたり、友人がポスターを見たよと連絡してきてくれたりなど、外出が制限されている中でも人との繋がりを物理的に感じることができる素敵な機会をもらうことができました。

続く自宅待機令と外出自粛生活の実~日々の過ごし方①家事

自宅待機令が発布され、外出を自粛する生活が始まってから、かれこれ5週間目に入りました。
不要不急の外出以以外、家にこもる日々が続いているのは日本の皆さんも同じかと思います。

こちらではこの長引く自宅のみでの生活をどのように過ごしているか、ご紹介したいと思います。


まずは最も必要不可欠な食品の買い物です。
食料品の買い物も、Social Distancingにより、顔を覆うものの着用義務と共にスーパーへの入場制限がさらに厳しくなり、一度に入場できる人数をかなり制限しており、入場までの待ち時間もかなり長くなっているようです。
そのため、できる限り食料品はAmazonプライム会員向けのホールフーズのオンラインデリバリーを利用したいと思うのですが、配達需要の大幅増に対応するにもホールフーズ側も注文を取り、配送するスタッフに対してSocial Distancingが義務付けられているため、むやみに人員を増やすことができない状況で、注文しようとしても、配達可能日時がまったくない状態で注文ができません。
一日中、どこかのタイミングで配達可能日時が出てくるようなのですが、ずっとAmazonの注文画面をリロードし続けないとその画面にお目にかかることができないため、先日は、コンピュータのバックグラウンドで注文画面を常にリロードし、配達日時が出てくると通知を送ってくれるプログラムを開発した人がニュースに紹介され、話題になっていました。
こうした便利なプログラムは歓迎したい気持ちがありますが、さらにデリバリー枠をゲットする競争が熾烈になり、逆にコンピュータやネットワークへのアクセスがない、詳しくないという高齢者や貧困家庭といったテクノロジー弱者の人がデリバリーを利用できなくなることが懸念されます。
また、この機会に以前から関心があった、不揃いだったり、色が悪いといった規格外野菜の定期配送サービスにトライしてみましたが、3月末に登録注文したものの、同じように考える消費者が多く、需要がひっ迫しているため、1社は3日間配送が遅れ、もう1社はまだ1回も配送が届かない状況です。
こうしたショッピング環境ですから、依然と比較して、格段に買い物の方法を検討したり、オンラインでの注文、パソコンやスマホとにらめっこしながら配達日時のスロットをページをリロードし続けて獲得する、直接スーパーに行って長い列に並び、購入する、など、とにかく時間がかかるのです。
そして無事買い物ができると、前回前半のコラムでご紹介した、買い物してきた食料品のウィルス除去作業に入ります。一つずつ、除菌ワイプで拭いたり、洗ったり。押しなべてみると、一日に1時間くらいは毎日買い物についてのなんらかのことに時間を割いているような気がしています。




そして次いでこちらで話題にのぼるものは洗濯です。
買い物などで外出した場合、帰宅後は全て洋服を着替え、シャワーを浴びるようにするという人が増えているようです。
洗濯物も減るわけではありません。こちらではアパートメントの場合、部屋内に専用の洗濯機がなく、共用の洗濯機、乾燥機が置かれたフロアがあり、そこに行って利用したり、共用のランドリーフロアがない物件も非常に多くあります。
その場合は日本でもありますが、コインランドリーに行く必要があります。
通常コインランドリーでは洗濯物を畳むスペースがありますが、そこも全て使用禁止になり、洗濯や乾燥中の待合スペースについてもSocial Distancingのため、利用することができないようになっているようです。
    • 自宅内に具合の悪い人がいる場合、その人と他の人とは分けて洗濯すること
    • 洗濯の際は、水温は最も高い温度に設定し、完全に乾燥させること
    • 洗濯籠は使い捨て出来るようなゴミ袋などを籠の内側に取り付けて利用することが望ましい
    • 洗濯後は必ず手洗いをすること
このように洗濯についても、家庭内でのウィルス感染対策が推奨されている状況です。



日々の過ごし方②外出と人付き合い

私が住むアパートメントではコロナウィルス感染の陽性患者が発生したとの連絡が管理会社からあり、エレベータは1回の乗車につき、1名で利用するよう、メールで管理会社から連絡があるとともに、エレベータホールやエレベータ内に張り紙がしてあります。
人が良く触る場所、ドアやエレベーターパネルなどはかなりの頻度で消毒を行うとともに、住民にも自分で消毒したりするよう、呼びかけがありました。
外出する際は、手作りマスクと持ち運び用のハンドサニタイザーを必ず持っていきます。
外に出るにも、一つ一つ、気を付けなければなりません。

そして、自宅の目の前にある州立公園が閉鎖されていますので、車どおりが多い環境でなかなかゆっくり散歩をするということが子連れであることもあり、おっくうになってしまっています。
天気が良い日は狭いベランダで娘と夫がシートを敷き、ピクニックと称して、お菓子を食べて外を眺めています。
窓から州立公園に目をやると、全ての葉を落とした木々が少しずつ芽吹いているようすが伺え、せっかくの春の季節というのに、なかなかその恩恵をあずかることができないことを残念に感じます。
外を見ると、ここ最近は、天気が良い日は二輪車でSocial Distanceを保ちながら二輪車でツーリングをするグループや自転車を走らせる人を多く見かけるようになりました。

やはり外に出て活動する、人と一緒に活動するということは人間の根本的なニーズなのでしょうか。


徐々に日々の生活にも緊張感が高まりつつあるとともに、長引く引きこもり生活に、みんなストレスも溜まっているのでしょう。
時々、こちらの友人や知人とビデオチャットをしたりするなどして、コミュニケーションを取ったり、情報交換をするようにしていますが、必ず出てくる話題や質問は、どのように健康や平常心を保ったらよいか、食料などの買出しはどうやっているのか、どのように子どもの勉強をしているか、家族でもしくは個人でどのようにこの時間を過ごしているのかといった話題です。

日々どのようにみんな過ごしているのか、どうしているのかに対しては、他者と集まることを禁止されている状況では否が応でも関心が高まります。
こちらのニュースやソーシャルメディアでも、有名人や市民の人々が、どうこの時間を過ごしているのかといった話題は必ず出てきますね。
自宅で簡単なスポーツを工夫してやっていたり、子どもと工作をしたり、歌やダンスをする様子がよく紹介されています。

私も、こちらの友人とオンラインチャットでのお茶会をして話したり、日本を中心に様々なところに住んでいる友人知人とオンラインで近況を話し、今後についてよもやま話をする機会を設けるようにし始めました。
先行きが不透明な中でも、現状をよりよく認識し、将来のポジティブなことを考えたり、いろいろな刺激をアクティブにもらえる機会になっています。



日々の過ごし方③学校や習い事

画像:学校のFacebookページの公開投稿を筆者がキャプチャ
4歳になる上の子どもは日本でいう幼稚園、こちらではプリスクールと呼ばれているキリスト教系の学校に通っています。

4歳児のクラスに在籍していますが、学校の休校が決まり、翌週からコンピュータとインターネットを利用したオンライン学習に移行しました。

学校から配布されたプリント類とともに、クラス毎に先生がクラスのウェブサイトを用意し、そこで1週間に一度、今週やることのリストが先生から投稿されます。
それを見て親が子どもの学習をさせることと、1週間に1回、およそ20分くらい、先生やクラスメートとGoogle Meetで繋ぎ、コミュニケーションをする時間が設けられています。
また、音楽、アート、ジム、サイエンス・コンピュータ、リーディングといった教科毎のページが設けられ、各専科の先生もしくは担任の先生から、YouTubeやオリジナルの短い動画やゲームなどの教材のリンクがアップされ、それを子どもに見せたり、先生とGoogle Meetで繋いで短い授業を行ったりということもあります。

外部のオンライン教材などもアカウントが割り当てられ、こちらも参照しながらやる必要があります。

例えば、リーディングはエピックという子供向けのオンラインで本が読める教材、サイエンスは、ブレインポップジュニアという専用の外部サービスを利用します。

パソコンを用意し、一つ一つ、親がアカウントを設定し、子どもに利用させるという手続きや当たり前ですが、親がかなりフォローしなければならないので、学校任せにしていた我が家としては、先生という新しいタスクが増え、一日の中でも今までになかった時間投資が必要になっています。

また4歳児に学習させるのはなかなか骨の折れる作業で、ほめたり、おだてたり、やってみせたり、関心を持たせ、まずはやるということをスタートさせるにも四苦八苦です。
我が娘はオンラインのゲームやYouTubeの歌などの動画はやるのですが、画面に向かって絵をかいたり、体操をしたりするようなことは気が散って、いやいや、しぶしぶ私に言われてやるという状態です。
好きじゃないからやりたくないというのが本人の弁ですが、友達と話したくとも、なかなかGoogle Meetだと、一人ひとりが発言することすら難しく、いろんなお友達と同時にコミュニケーションしたり、話をするということができません

それが嫌なようです。

また、4歳児にコンピュータに向かって静かに勉強しなさいというのは現実的には難しいことを身をもって体感しています。

娘が学校で放課後にやっていた体操クラブなどもオンラインレッスンに移行しましたが、こちらも、やりたくないと拒否。
口の中にご褒美の時にあげる飴玉を口に放り込み、やらせている日も少なくありません。

友達と身体を動かして遊びたい盛りの子どもに、オンラインはなかなかストレスフルな環境を与えてしまっているようです。また、Zoomといったオンライン学習ツールの脆弱性が指摘され、ニューヨーク市では公立学校でのオンライン学習におけるZoomの利用が禁止されることになりました
この他、オンライン学習に必要なインターネットやデバイスなどを利用できない環境にある子どもたちに対しては、行政からの提供やサポートを得ることができるようです。


そのほか、体操、アート、音楽など様々な習い事やレッスンがありますが、全てオンラインに移行、もしくは一時的に休校といったかたちになっており、教えることを仕事にしている先生にとってはとてもオンライン用にZoomなどのアカウントを購入したり、教材を準備したりなどなかなか大変そうです。
しかしながら、子ども向けではOutschoolという、幼稚園から12歳までの子ども向けの、先生とユーザー(親と子ども)のマーケットプレイスを提供するサービスがあったりなど、検索しただけでもたくさんのサービスがあり、事欠きません。

私もオンライン学習を何か一つでもしてみようかと思案中です。


日々の過ごし方④健康維持、ストレス解消、趣味

最近スーパーに行けるときに様々な棚を眺めるのですが、小麦粉の在庫が全くなくなっているようすをよく目にします。


なぜだろうと思っていたのですが、自宅にこもる日々で、パンやクッキーなどを焼く人が増えているようです。

最近もNew York Timesで自宅でパンなどを焼くことで、精神的な健康を保っていることを紹介するコラムが紹介されていました。

自宅にこもる日々、身体的、精神的な健康の維持は重要だとわかっていても、なかなか実行できず、だらだらと過ごす日々が続きがちです。


幸いなことに、6か月になる赤ちゃんと4歳の娘がいますので、朝は泣く声でだいたい同じ時間、7時には目覚めることができます。

そして子どもがお腹を空かせますので、ご飯も作り、食べるというリズムは崩れていません。が、最近、友人が3食食べることをやめて2食にしたという話を聞き、確かに、カロリー消費が普段より減っていること、3食作り、片づけをしていると、一日中食事作りで終わっている気がしていたということに気づき、週末のように、ブランチと夕食の2食制にしてみようかということになり、2日ほどトライをしてみたのですが、親の方がお腹が空いてしまい断念。

その代わり、朝食はフルーツとお茶など、ごく簡単なものにすることにしました。

画像: https://fitdel.com/rent-equipment/gym-packages/rent-a-custom-gymより筆者がスクリーンショット画像をキャプチャ

身体を動かす機会を作ることもなかなか億劫になります。


ニューヨーク州、ニュージャージー州のジムやヨガスタジオ、テニスコート、体育館といった運動施設は全て閉鎖されています。

主要な公園も閉鎖され、利用できなくなっている状況で、例えば、ニューヨークの植物園(ボタニカルガーデン)では、バーチャルツアーができるコンテンツがウェブサイトで提供されており、自宅から公園を楽しみ、気晴らしをする機会を作ってくれています。


運動エクササイズに関しては、ヨガやピラティスなど、Zoomなどのオンラインツールを使ったクラスが有料、無料で利用できるので、時間が許す場合はこうしたクラスに参加したいと思うのですが、子どもがいるとなかなか定期的にクラスに参加することが難しく、参加できても、途中で抜けたりすることが多くなり、足が遠のいてしまっていました。

そこで、簡単に、短くできるもの、、、


やはり、ラジオ体操だろうということで、朝食を食べ終わって、掃除をした後に家族全員で、ラジオ体操第一と第二をすることを新たな日課にすることにしました。

本当はエクササイズマシンの小さなものを自宅に導入したかったのですが、悲しいかな我が家の狭い自宅でできるようなコンパクトで価格も手ごろなエクササイズマシンがあまりなく、期間も限定的なため、エクササイズマシンをレンタルできないかと考え探してみました。

手ごろな価格で自宅にエクササイズマシンをレンタルできるFitDelというサービスがテキサス州オースティンの会社が提供するものがあったものの、需要増のため、一時的にオースティン限定でのサービス提供になっており、残念ながら利用できませんでした。


ひとまずはラジオ体操を地道に続けていきたいと思います。

日々の過ごし方④コロナウィルス関連の情報収集~行政からのコロナウィルス感染状況に関する毎日の情報発信、アップデート

画像:NJ州知事による毎日のコロナウィルス状況のブリーフィング動画 https://www.facebook.com/governorphilmurphy/より筆者がスクリーンショット画像をキャプチャ
画像: https://www.youtube.com/watch?v=Oqw09juLN94より筆者がスクリーンショット画像をキャプチャ
自宅待機令が続く中で、コロナ感染状況やSocial Distancingなど、私たちの生活に影響を及ぼす行政令といった情報は、マスメディアだけでなく、アメリカ連邦政府、現地の行政、州や群、市町村などの地方自治体レベルで、コロナウィルス感染に関する情報が発信され、受け取ることができます。

NY州、NJ州など州知事は毎日決まった時間にブリーフィングを行い、その様子をストリーミングで配信しています。
また、州や区市町村が提供しているコロナウィルスに関する情報提供サービスにスマートフォンのテキストメッセージで登録すると、日々、短いテキスト情報が送られてきます。

出来る限り、私も送られてきたテキストや州知事の情報発信内容をフォローするようにしています。
州知事からの説明は、新規および合計の感染者数、死者数、ICU患者数、人工呼吸器の数、利用可能な病床数といった感染状況のアップデート、コロナウィルス感染関するデータ、新たな行政命令や対策とともに、その対策意思決定の理由や手続き、今後の見通しや予定、発表に関する質疑応答など包括的な内容です。

例えばニューヨーク州では年齢、性別、人種別といった属性別の感染者数、死者数などのデータが公開され、クオモ知事のブリーフィングでもこれらのデータの説明がされていました(例えば、https://covid19tracker.health.ny.gov/views/NYS-COVID19-Tracker/NYSDOHCOVID-19Tracker-Fatalities?%3Aembed=yes&%3Atoolbar=no&%3Atabs=n、など)。

例えば、人種別にみると、ニューヨーク市内では人口比率と比較しても、ヒスパニック系と黒人系の人々のコロナウィルスによる死亡者の割合が多く、これらの人々は比較的低所得者層であり、食料品店、レストラン、建設現場といったコロナウィルスにさらされやすい仕事に従事している人が多く、かつ、日本のように国民皆保険制度でないアメリカで、民間の保険に加入していない、できない人が多いこと、そのため、ウィルスに感染する可能性が高く、感染した場合にも適切な医療を受けることができず、感染が拡大しやすい傾向になってしまっているといいます。
こうしたきめ細かいデータや分析により、確かに、ニューヨーク市のエルムハーストで医療崩壊が起きているというニュースを耳にしたときには、エルムハーストがあるクイーンズ区は全米で最も人種多様性のある街に選ばれていたなといった情報を思い出し、この多様性が感染に影響しているのではないかといった考察をしてみたり、外国人の私でもニューヨークでなぜ感染が拡大してしまっているのか、その理由や背景にある社会構造に想像を巡らせることができます。

州だけではありません。
日本でいう区市町村レベルでも行政からのメッセージや情報発信はソーシャルメディアなどを利用し、迅速かつかなりきめ細かく、頻度多く、透明性を持ってなされている印象があります。
ニューヨーク州では、ニューヨーク市のデブラシオ市長が毎日午前中にブリーフィングをストリーミング配信しています。
私が住む街でも市長が初めてコロナ患者ケースが発生した3月4日の翌日に市長からのメッセージ動画がスタートしました。
毎日ではありませんが、コロナウィルスに関連して住民が知るべき情報が生じた場合、必ずこうした動画や電話でのタウンカンファレンスが開催され、電話番号に電話をすると市長をはじめ、対策チームメンバーが報告する様子をリアルタイムに聞くことができます。
インターネットに接続できない人がいることもあり、このような電話という手段が取られているのではないかと思います。

私が住む町はアジア人が多く、アジア系でも韓国人系の住民が最も多いのですが、先日は韓国語による説明もなされていました。
私の日本人の友人は、日本にいた時は自分が住んでいる市町村の市長や町長の顔を、3.11といった同じ緊急事態でも思い浮かべることができなかったが、こちらに来てこれだけ情報発信があるので、市長の顔や声をすぐに思い浮かべることができると話していました。





R=i x a


デマの流布量(R)は問題の重要さ(i) とその内容についての曖昧さ(a) との積に比例する。


→iは“内容の重要性(Importance)”、aは“内容の曖昧さ(Ambiguity)”



今回のコロナウィルスのパンデミックは、i の要件はもちろん満たしています。
その内容について曖昧だった場合、様々なデマの流布量が増加し、パニックが起こりやすくなります。しかしながら、正確な情報が日々届けられれば、デマの流布は起こりづらくなります。そして、住民一人ひとりが、今の状況を正確に理解し、どこでコロナウィルス検査ができるのかを知る、州ごとに異なるコロナウィルス感染対策や行政命令などで決定したオーダーに従って行動する、必要な支援を受け取るためにはこうした情報が必要不可欠です。

4月13日には、ニュージャージー州のマーフィー州知事が、インターネット及び電話のサービスを、コロナウィルスによる緊急事態中及び緊急事態が終了してから30日後までの期間、切断することを禁止する行政命令を発出しました。
この行政命令は、3月16日以降、料金未払いのために切断された通信サービスについて、再開することも求めており、自宅待機をし、学校も閉鎖され、他者と物理的に一定の距離をはかる中、家族や友人と常につながり、子供たちが家でリモートで学ぶ環境を整えるためにも、通信サービスは重要と表明しています。
こうした誰もが必要な情報を受け取れるように通信環境を整えるということにも努力がなされています。



そして行政のリーダーたちの力強いメッセージに励まされています。
例えば、クオモ知事は、4月11日の定例ブリーフィングで



"現在の状況はチャーチルの言葉を引用すれば、せいぜい「おそらく始まりの終わり」に過ぎない(Now this is not the end. It is not even the beginning of the end. But it is, perhaps, the end of the beginning)。(社会経済の)「再開」(Reopening)はファクトとデータに基づいて決定されるべき。政治を持ち込んではならない。将来の決定のためにこれまで起きたことから学ぶ必要がある。社会経済の再開は,公衆衛生問題であるとともに経済の問題である。NY州は「再開」と(感染症拡大の)「第二波」(Second Wave)について検討するためベストな専門家を集める。「再開」は段階的なプロセスとなる。"


というメッセージを発しましたが、私自身、このメッセージには今後の感染の第二波、第三波に対して気を引き締めるとともに、きっとまた通常の生活を取り戻せることができると励まされました。クオモ知事の人気が高まっている背景もこういったメッセージからも理解することができます。
ニューヨークを中心としたコロナウィルスによるパンデミックによって非常事態に突入していますが、比較的落ち着いて行動し、生活できているのはこの情報発信スキームに依拠するところが大きいと実感しています。



日々の過ごし方⑤ 仕事、家計、経済

コロナウィルスによるパンデミックで、ニューヨークでは行政令で許可されている業種、ビジネス以外は一切お店を開いたり、営業することができなくなりました。

食料品、衣料関連、ガソリン、通信、レストラン(デリバリーもしくはテイクアウトのみ)、マスコミ、保険、銀行といった生活必需産業以外の全ての仕事は在宅ワークに移行させられています。

全て義務です。

このため、営業できないお店や企業は一切収入がなくなります。
レント(賃貸料)が高額なニューヨークで、家賃も支払えない、自分たちの生活費も賄えない、そしてそれがいつまで続くか分からないという相当シビアな状況が多くのビジネスオーナーやそこで働く人々を襲っています。

職を失っていない人も、在宅勤務令に伴い、実質、給与収入が減額している、もしくはゼロになっている人たちが存在し、家のローン支払いや、家賃支払いが出来なくなっている人も増えています。
全世界のGDPの1/4を担うアメリカ、そしてそのアメリカGDPの約7割が個人消費によって支えられているといいます。

個人向け給付を含め、3月27日に成立したコロナウィルス対策関連法(Coronavirus Aid, Relief and Economic Security Act)の主要対策は以下のとおりです(在ニューヨーク日本国総領事館, 新型コロナウィルス関連情報(3月28日)メール情報配信より)。



(1)個人向け給付


 - 直接給付(予算規模:2,900億ドル程度):大人1,200ドル,子供500ドルを給付(年収75,000ドル以上は減額、99,000ドル以上で支給なし)。


 - 失業給付の拡大(予算規模:2,600億ドル):給付対象者の拡大(自営業、フリーランス等)、週当たり600ドルの給付額上乗せ(4ヶ月間),給付期間の13週間延長




(2)中小企業向け支援策


 - 緊急補助金(予算規模:100億ドル):中小企業の緊急の運営資金を賄うため最大10,000ドルの補助金を提供するもの。


 - 返済免除条項付きローン(予算規模:3,500億ドル):米国中小企業庁(SBA)が一事業者あたり最大1,000万ドルのローンを提供するもの。6月末まで従業員の雇用を維持した場合、借り入れたローンのうち給与、家賃、既存の借金の支払い等に充てられた金額については返済が免除される場合がある。


 - 既存ローンの救済(予算規模:170億ドル):すでにSBAのローンを使用している中小企業に対し, 6か月間にわたる返済をカバーする。




画像: https://twitter.com/BlueNoteNYC/status/1245392109617795074/photo/1よりスクリーンショット画像をキャプチャ

上記以外に、州ごとに異なる対策が次々と打ち出され、決定されています。


このような連邦政府や州政府の施策に加え、中小企業や個人は各自で必死に対策をしようとしています。


例えば先日はマンハッタンにある老舗ジャズバー、Blune Noteから、飲食に利用できるギフト券を購入して、閉店の間の支援をしてほしいというメールが届いていました。


小さなレストランでもこうしたギフト券の購入や、寄付金を募るといった対策を取っているところが多くあるようです。

ニューヨークはブロードウェイやニューヨークシティバレエ、メトロポリタン美術館やMoMAといった人を集めることで経営が成立している事業がたくさんあります。

こうした事業も全てクローズされ、MoMAなどはアート教育を担当する職種の人々の契約を終了するなど、厳しい状況に置かれています


寄付金を募るといったかたちでの対処がされてはいますが、効果はかなり限定的だと思われます。

経営難がこのニューヨークの素晴らしい文化基盤までをも蝕んでいることには心が本当に痛みます。

もう少しミクロな個人の働き方、在宅ワークはどうなっているのでしょうか。


この点は日本でも大手企業などを中心に在宅ワークが始まっているようですが、Zoomなどを利用して必要な電話会議をする、メールやチャットを中心としたコミュニケーションツールでやり取りするという状況です。国土が広いアメリカでは、国内でも時差が存在し、かつ、従業員で勤務時間の約6割以上をリモートワークで行う人の割合が42%となっており、オンラインツールを利用した在宅でのリモートワークについてのトラブルや課題は、Zoomの脆弱性の指摘などを除いてそこまで多く聞かれません。


コロナウィルスパンデミックに伴う自宅待機や隔離にどう準備すべきかという情報を収集していた時にも、食料品や消毒関連商品などの購入すべきもののリスト以外等と共に在宅ワークの準備についての項目を見つけました。


最初の項目は、「Get dressed and ready for work each day.(毎日着替えて仕事の準備をしよう)」というものでした。

例えばNew York Timesでは、オンラインで働く在宅ワークに移行している現状で、「What Does ‘Dressing for Work’ Mean Now?」と題して、仕事着の変化、自宅で仕事するスタイルについての対談が掲載されていました。

洋服のトップスはよいものを、ボトムスはリラックスできるもの、マスカラと口紅はしっかりつけてといった、リモートワークファッションやメイクアップのアドバイスがされています。

なかなか、面白いですね。

日常の日々が戻ることを願って

今月のコラムでは、アメリカだけでなく、世界のパンデミックの中心地となってしまったニューヨークとその周辺エリアのコロナウィルス感染のアップデートと、ロックダウンしている日々の生活について、皆様にお届けしました。
何か一つでも、日本にいる皆さんのコロナウィルスに関連した対策や、コロナウィルスによって変化を余儀なくされつつある日常の生活にとって、ヒントとなるような情報をお届けできればうれしく思います。

このコラムを書いている最中に、私が住むニュージャージー州のマーフィー州知事が定期ブリーフィングで、社会や経済活動の再会(Reopen)について、6月か7月に可能になるかもしれないとコメントしたというニュースが届きました。
少なくとも、6月半ばまではこの生活が続くこと、6月に修了する今学期の学校の再会はなく、9月からの新学期が少なくとも最短の学校再開になりそうであることを認識しました。
しかし、まだ感染の第二波、第三波が来るとすれば、まだこれも覆されることになるでしょう。

これからまだまだ先行き不透明な状況が続きますが、フロントラインで活動する人々に感謝し、多くの人が冷静に状況を見つめ、健康で規則正しい生活を送れるよう、日々願うばかりです。


日本の皆さんもどうぞ、Stay home, stay healty!、でいてください。



Keep in Touch !

ビジネス、公的な活動問わず、アメリカのこれらの事例から何かのヒントがお届けできれば幸いです。みなさんからのコラムに関するご質問や、こんなことを聞いてみたい、知りたい!というリクエスト、叱咤激励などなど、24時間365日お待ちしております。ではまた次回コラムでお会いしましょう。

columnist
Aya Kubosumi ノマドマーケター



コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

s.budo