NYノマド 第16回 コロナウィルスが変えた日常~長期化するStay homeとSocial Distancingの影響と新たなビジネスチャンス Part3

20.05.20 03:40 PM By s.budo

Part3. メディア利用行動の変化~仕事、学校、人付き合い、オンライン中心に回る生活

コロナウィルス下の私たちの生活はオンラインなしには回らなくなりました。

アメリカでは外出や移動が制限され、スマートフォンなどのモバイルを使う機会よりも、パソコンの画面でのインターネット利用が増えています。


ニューヨークタイムズ紙によれば、1月21日から3月24日の期間におけるNetflix.comYouTube.comFacebook.comのウェブ(主にパソコンなど大きな画面でのアクセスが中心)へのアクセスとアプリへのアクセス(主にスマートフォンなどモバイルでのアクセスが中心)を比較したところ、ウェブサイトおよびアプリでのアクセスはそれぞれ、

●ウェブサイトへのアクセス

Facebook.com +27.0%

Netflix.com +16.0%

YouTube.com +15.3%

            

●Apps

Facebook +1.1%+1.1%+1.1%

Netflix +0.3%+0.3%+0.3%

YouTube -4.5%-4.5%-4.5%

という結果となり、俄然、ウェブサイトへのアクセス、つまりパソコンなどからのアクセスが増えており、オンラインやネットの利用がスマートフォンなどのモバイルから、パソコンなどのコンピュータでの利用へシフトしていることを指摘しています

https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/07/technology/coronavirus-internet-use.html)。


同記事では、Social distancingにより、イベントが中止され、物理的に集まることができなくなったために、オンライン行動の主要な変化として、以前はスマートフォンのテキストメッセージで個人間でコミュニケーションしていた行動から、ビデオチャットやSNSなどでで人と繋がり、コミュニケーションをしたり、ゲームを一緒にすることに変わりました。

仕事や学校での授業はオンラインに移行し、ZoomやGoogle Meetなどのサービス・ツールが必要不可欠なインフラとなりました。

そして余暇時間にNetflixやYouTubeなどのストリーミング配信の視聴が増え、SNSを通じて地域やお隣さんと繋がることを求めるようになっているといいます。

 

アメリカだけでなく、日本や他の主要国でも同様にメディア利用行動の変化が起きています。


メディア利用行動の変化について、世界の国別のデータを見てみましょう。

表:国別 2020年のコロナウィルスによる自宅でのメディア消費

(Consuming media at home due to the coronavirus worldwide 2020, by country)

調査期間:2020年3月16日~20日

調査対象者:16-64才

調査サンプル数:1,004 (Australia), 1,001 (Brazil), 1,003 (China), 1,016 (France), 1,010 (Germany), 1,010 (Italy), 1,079 (Japan), 1,008 (Philippines), 1,008 (Singapore), 573 (South Africa), 1,005 (Spain), 1,040 (UK) and 1,088 (USA).

調査方法:オンライン調査

© Statista 2020 https://www.statista.com/statistics/1106498/home-media-consumption-coronavirus-worldwide-by-country/のデータをもとに筆者が表作成

世界全体では、35%の回答者がコロナウィルスのパンデミックにより読書やオーディオブックを自宅で視聴することが増え、18%の人がラジオ視聴が増えていると回答しています。

40%の人がSNSやメッセージの利用が増え、主要国の回答者のおよそ50%で、ニュース報道の視聴が増えていると回答しています。


日本とアメリカでのメディア利用の変化はどうでしょうか。


各国と比較して異なるメディア利用の変化があるのが、日本のストリーミング配信視聴が増加しているという回答者が21%と低めですね。

日本政府による緊急事態宣言は4月7日でしたので、この調査が実施された時点では、日本では学校は休校になっていたものの、概ね通常通りの仕事や生活が営まれていたことが数値に影響していると思われます。

メッセージアプリ・サービスの利用の増加については、アメリカ17%、日本8%と各国と比較していずれも低い数値となっています。


前述した記事にもありましたが、アメリカは個人間のテキストメッセージより、ビデオチャットやSNSの利用が増えていると想定されます。

日本では増加したとの回答が多いのはニュース報道の視聴やテレビ番組の視聴で、日本ではオンラインメディアよりも、まだまだマスコミの視聴傾向が強いことが示唆されます。


全体的にコロナウィルスに関する情報収集行動がニュース報道を中心に増加し、在宅時間が増えたことで、ストリーミング配信やSNSなどのメディア利用がぐぐぐっと増えていることが分かります。

オンライン生活への移行が一気に進んだアメリカ、実情は?

画像:https://www.nycgo.com/virtual-nycのスクリーンショット画像
アメリカでは、各州によるロックダウン後、個人、組織、行政、政府、様々なレベルで、今までの物理的な活動がものすごいスピードで次々とオンライン化され、瞬く間にオンライン生活に移行していきました。各個人や組織も、オンラインで様々な活動を始め、オンラインでの仕事、教育、コミュニケーションを続けています。
オンラインやバーチャルで楽しめるコンテンツやアクティビティも豊富で、玉石混交。よいものを探したり、選ぶのに一苦労です。



他にも、ミシェル・オバマ前大統領夫人は、4月から5月までPBSという日本でいうNHKのような公共放送局で子ども向けに彼女が好きな本を読む番組を毎週月曜日のお昼からスタートし、退屈する子どもたちにワクワクする本との出会いを与えてくれています。

様々なレベル、領域でのオンライン化が加速しています。

在宅ワークについては、州によりますが、多くの州でEssential business以外は全て在宅ワークもしくは休業という行政令が出されましたので、各企業は休業するか、従業員を在宅ワークにして経営を継続するかのいずれかの選択肢しかありません。ですので、仕事を継続しようとすれば、強制的に在宅ワークとなります。

これにより、瞬時にリモートワークに移行しました。


画像:https://www.bbc.com/japanese/52349890のスクリーンショット画像

行政も同様です。


ニューヨーク州はオンラインミーティングツールやビデオツールによる結婚式の法的効力を認め、また、ニューヨーク市では電子データで結婚許可証を発行する措置のプロジェクト、プロジェクト名は"Project Cupid(プロジェクト・キューピッド)"を発表しました 。

学校はどうでしょうか。

私が住むニュージャージー州の街では、公立学校はキンダーガーテン(幼稚園)からとなりますが、キンダーガーテンから全てのクラスがオンラインラーニングに移行しています。
私の娘は今年度はキンダーガーテンの一つ下の学年となるため、公立校ではなく、私立の学校で地元の小さなキリスト教系の小学校とプリスクール(幼稚園)を併設する学校で、コンピューターの授業はあったものの、このコロナウィルスによるロックダウン以前はオンラインラーニングという仕組みはほぼなかったと言えます。
ほぼ、と書いたのは、クラスの先生により、学校や先生と保護者とのコミュニケーションがテキストメッセージ、電子メール、もしくはスマートフォンのアプリでなされていたためです。
学校全体から保護者への連絡は紙で来る場合もあれば、降雪による急な休校措置などはテキストメッセージや電子メールで来たりしていました。
クラスの先生からの連絡は、先生によって全く異なります。
娘の担任の先生は比較的オンラインを好んだのか、スマートフォンのアプリで連絡が来ました。
隣のクラスの先生はかなりのおばあちゃん先生で、紙もしくは口頭のみの連絡手段です。
ですので、学校内で統一して、オンラインによるコミュニケーションの仕組みやプロセスが提供されていたわけではありませんし、先生によって異なる連絡手段が運営されていました。
が、この突然のコロナウィルスによる休校措置で、休校になる前週の木曜日に、突然、各家庭でのパソコンやタブレット、プリンターの所有・利用可否についてのアンケートが配られ、そして翌週月曜日から、名目的にオンラインに移行しました。

当初2~3週間ほどは先生の情報リテラシーや経験の有無により、オンラインラーニングのやり方、連絡の仕方などはかなりばらつきがあったのではないかと推察されます。
娘のクラスはクラスのウェブサイトが先生によって作られ、その中に体育、音楽、図工、サイエンスといった各専科の先生のページが設けられており、毎週、クラスのウェブサイトに今週の勉強内容や課題、オンラインで集合授業をする(とはいっても、20~30分ほどのもの)予定、教科ごとの外部の教材へのリンクとアカウントが呈示されるというかたちでした。
そして春休みを経た後から、Google Meetのプラットフォームを使ったオンラインラーニングに学校全体が統一されたようです。

現在はGoogle Meetに毎日課題や教材が投稿され、毎日30分程度のクラス担任のリーディング、算数、宗教などの学習時間が設けられ、各専科の授業が週に1回あります。
各専科の授業は学校に通学していた際もそれぞれの教科は週に1コマでしたので、徐々に通学していた授業時間と内容に近づきつつあります。
放課後のクラブ活動は学内もしくは外部の専門の先生により運営されていましたが、クラブにより、オンラインで実施しているものと、そうでないものがあります。娘の場合、ダンスクラスは先生がオンラインミーティングツールのZoomを利用して、継続してレッスンを行っているものに参加しています。



このように、こちらでは、準備を用意周到にして、足並みそろえてオンラインラーニングが始まったわけではないのです。
何もが雪崩のごとく、やらざるを得なくなり、試行錯誤しながらやっている状況が続いています。

日本では大学などの高等教育機関は近しい対応状況かもしれません。
もちろん、パソコンやタブレット、インターネット環境を全ての家庭が自分たちで負担で賄うことは難しいです。それはこちらも同じです。
4月28日にニューヨーク市のデブラシオ市長はコロナウィルス対策に関する毎日のブリーフィングで、今学期の成績評価方法をオンラインラーニング環境に合わせて変更すること、全ての生徒が遠隔授業を受けられるために4月30日までに24万7000台のiPadを生徒に配布することを決定したと発表しました。
iPadが必要な家庭は、https://www.schools.nyc.gov/にアクセスするか、指定の電話番号窓口に電話し、申し込む形式です。
卒業式も重要なため、公立学校の卒業式はオンラインで行われることにもなりました。

経済がストップし、失業者が増える中、不動産税(日本の固定資産税に該当)などの支払い期間に猶予を持たせるなど、税収も有事対応になっている状況で、行政も感染対策や治療、コロナウィルスによる対応にかなりの金額を投入しています。
そんな中でも子どもたちの教育を止めないために、次から次へと今できることを継続し続ける姿勢には感謝の気持ちでいっぱいになります。

それに対して日本では公立校の義務教育は休校のまま。
先生たちももどかしく、つらい思いをなさっていることと思います。
子どもたちのこの時間が無駄になってしまうことがあるとすれば、私は親として、日本人としてとても残念で悲しく思います。

全てのことを用意周到に準備して、スタートさせることは難しいですし、混乱も必須です。
そのことが子どもの学びを妨げることもあると思います。
しかしながら、何もせずにコロナウィルスが落ち着くまで立ち止まったままでいることは、ポストコロナウィルスの生活や学習環境を再開するためには不十分なように感じてなりません。

それぞれの国や地域で、教育についての環境や考え方はもちろん異なりますが、他国や他地域の対応や工夫から学び、今できることを実践することがポストコロナウィルスの経済、社会、教育といった活動のよりよい再開に繋がるのではないでしょうか。



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ビジネス、公的な活動問わず、アメリカのこれらの事例から何かのヒントがお届けできれば幸いです。みなさんからのコラムに関するご質問や、こんなことを聞いてみたい、知りたい!というリクエスト、叱咤激励などなど、24時間365日お待ちしております。ではまた次回コラムでお会いしましょう。

columnist
Aya Kubosumi ノマドマーケター


コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。