NYノマド 第16回 コロナウィルスが変えた日常~長期化するStay homeとSocial Distancingの影響と新たなビジネスチャンス Part4

20.05.27 09:00 PM By s.budo

Part4. 非常事態が生む新ビジネスやソリューション~ドライブイン/ドライブスルー〇〇とSocial Distancingビジネス

自宅からなかなか外に出れず、在宅で様々な生活をこなさなければならない環境は非常事態ではありますが、新しいソリューションやビジネスを生む土壌にもなっています。アメリカだからこそ?と思うものの一つが、『ドライブイン/ドライブスルー〇〇』です。

画像: https://thecr.com/Content/News/News/Article/Drive-in-diplomas/1/1/70523より引用

先にご紹介した、オンラインで何かを購入した後、お店の前に車を停めて、店員が購入したものをトランクにいれてくれるサービス、BOPIS(Buy 0nline and Pick up in store)もドライブスルーで、他者との接触を最小限にすることを目的としたソリューションですね。


コロナウィルス感染のテストも、こちらではドライブスルーによる野外テスト施設で多くなされています。

このようにドライブスルー〇〇のソリューションはこちらでは様々な領域で展開されています。


まずはドライブイン映画館、Drive-in Theater。


これは昔からアメリカにあったものですが、大きなディスプレーがある野外映画館で車で乗り付けて、車内から鑑賞するスタイルがここに来てまた再燃しています


映画館の営業を禁止している州も少なからずありますので、これから営業が再開になると、さらに来場者が増えるのではないかと思います。



画像: https://www.mcall.com/coronavirus/mc-nws-coronavirus-teachers-parades-20200324-7jpjp6jojnaide3g7j2uyaqesy-story.htmlより引用

続いて、ドライブイン卒業式


Zoomなどのオンラインミーティングツールを利用したオンライン卒業式や、ドライブスルー形式で卒業証書を受け取る卒業式もあるようですが、広い国土と車社会がなせる卒業式ですね。


学校が休校となり、先生たちが車で生徒の通学学区をパレードし、子どもたちに挨拶して励ますという先生たちによるドライブスルーイベントもアメリカ各地で開催されているようです

画像: https://www.youtube.com/watch?v=XYkO8C9LKc8より引用

私の住む街では、誕生日を迎える子どもたち向けに、ロックダウンで友人や家族を招いてバースデーパーティが開けない代わりに、消防車や救急車、パトカーが毎月1回、その子供の自宅の周辺の道路をライトを点滅させ、サイレンを鳴らしながらパレードし、お祝いしてくれるという温かい催しがあります


アメリカでは子どものバースデーパーティは自宅や娯楽施設などに子どものお友達を呼び、割と盛大にお祝いをすることが一般的です。

私の娘もお友達のお誕生日会に何度か招待されましたが、中にはボーリング場でやったり、といったバースデーパーティもありました。

動物園や子ども向けのアートスクール、運動クラブなどでもバースデープランが用意されています。

ですので、子どもたちもせっかく楽しみにしていた一年に1度のバースデーパーティが開けないことはとてもショックで悲しいことなのです。

そんな中、自宅の前にたくさんの消防車、救急車、パトカーが来てお祝いしてくれるのは、この状況でないと実現しなかったことですので、子どもにとっても特別なバースデープレゼントになるのではないでしょうか。

最後にご紹介したいのはこちら。Social Distancingが求められる生活が続くなかで、生まれている、もしくはブレイクしているビジネス、ソリューションです。

画像:https://www.washingtonpost.com/technology/2020/04/30/zoom-virtual-babysitters-pandemic/よりスクリーンショット画像を引用

まずはZoomベビーシッターです。

保育園や幼稚園、学校が全て閉まり(医療従事者向けの預かり施設などは空いているところもあります)、在宅ワークを余儀なくされている親向けのサービスで、従来はベビーシッター派遣サービスを提供していたり、ベビーシッターと親とを繋ぎ、マッチングさせるプラットフォームを展開する企業がオンラインでのベビーシッティングサービスを開始しています。


子どもがいる場所から離れて、遠隔からパソコンやタブレットの画面を介して子どもの世話をするというのは、想像するに、同じ空間にいて子供の面倒を看るよりもはるかに難しいのではないでしょうか。

実際、Zoomベビーシッターサービスを利用した経験についても書かれているワシントンポストの記事によれば、子どもが画面の前にいてくれる間はなんとか、歌を歌ったり、子どもの好きなものやことをしたり、話したりすることで子どもの関心を引きつつ、面倒を看るということができますが、ひとたび画面から離れてしまうと、子どもたちはもう画面には戻ってくれないようです。


こうした課題に、オンラインベビーシッターの提供を始めたUbern sitter社は、選りすぐりの"Super talented vitural baby sitter(超腕利きのバーチャルベビーシッター"の紹介を始めました。

歌や読み聞かせ、学習指導、ヨガ、ダンスなどのジャンルで紹介されていますが、その実力はどうなのでしょうか。


私の娘のオンラインラーニングの様子を見ていると、すぐにパソコンの画面に飽きて集中できずに、「ママー、もうやだ。」と言いに来ることもしばしば。残念ながら、うちではあまり機能しないかもしれません。

オンライン関連でのサービスをもう一つご紹介します。

バーチャルセラピーです。


実はバーチャルセラピーはアメリカではすでに以前からサービスとして存在していましたが、このコロナウィルスのパンデミックにより、その需要や存在感が増しているオンラインサービスの一つです。合わせて、対面でセラピーを提供していたセラピストも、Social Distancingにより、オンラインでのセラピー提供に移行せざるを得なくなりました。アルコール依存症やトラウマなどを抱えており、従来からセラピーを必要としていた人だけでなく、この不安な社会状況の中で、ストレスや不安軽減のために新規でバーチャルセラピーを求める人も増えているといいます。


このバーチャルセラピーを提供している代表的な企業は、AmwellBetterHelp、NYベースのTalkspaceなど。

Talkspaceは有資格者のセラピストと患者を繋ぐプラットフォームを提供し、患者は従来の対面形式でのセラピーよりも安価な金額でセラピーを受けることができるサービスを展開しています。

Talkspaceでは心理カウンセリングなどのセラピー以外にも、カップルの関係性に関する問題を扱うカップルセラピーやソーシャルメディア依存のセラピーなども受けることができ、今ではなんとおよそ100万人のユーザーを抱えています。


おおよそのサービスの価格Talkspaceで65ドルから100ドル(週1回)、Amwellで85ドルから99ドル(1回あたり)ほどのようで。


日本でも緊急事態に対応した措置として、期間限定で遠隔医療の初診が解禁になりましたが、このようなバーチャルセラピーサービスは、鬱などの精神疾患患者が増える日本でも、精神科医やカウンセラーに相談しに行くことを恥ずかしいと思って診察にいけない人や、地方でカウンセリングに対応する医療機関へのアクセスが難しい人たちへの新たな需要に応えうるサービスなのではないかと思います。

画像:https://www.forbes.com/sites/petertaylor/2020/04/25/could-pandemic-drones-help-slow-coronavirus-probably-not-but-covid-19-is-a-boom-for-business/#36a1a51e62a4より引用
続いてはドローンによるサービスです。

Air delivery serviceというサービス名で、Googleを親会社に持つバージニア州ベースのスタートアップWingは、田舎町にドローンによる薬局からの処方薬やFedexの宅配便を配送サービスを提供しており、このドローンによる配送サービスの売上はバージニア州のロックダウン後、なんと2倍になったそうです

そしてこのサービスがあるおかげで、ケーキ店やレストランなど、地域に根差したスモールビジネスを展開しているオーナーにとって、このロックダウンの厳しい経済状況の中での助けになっているそうです。

Wing社だけでなく、アメリカでドラッグストアを展開するCVS Pharmacyでは、UPSと提携し、同様にドローンにより処方薬を配送するサービスを始めています


ドローンは配送サービスに留まらず、無人飛行できるというメリットを生かし、Social distancingが適切に実行されているかどうか、監視するツールとしても活用ができないか検討されているようです

この記事を読んだとき、監視ツールに利用されるということが、個人情報やプライバシーを侵害したり、犯罪に活用されたりするようなことが少なからず起きる可能性に不安を感じます。

新しい技術は私たちにとって適切に利用され、様々な場面での助けになることを願います。



ドローンによってどのように配送するのか、Wing社が提供する注文から配達完了までの動画がありますので、ご興味があればぜひご覧になってみてください。

そして最後は、Social distancingなオフィスの内装デザイン業です。


6フィート(1.8m)のオフィスデザインコンセプトは、コロナウィルスのパンデミックが落ち着き、ビジネスを再開することができるようになった企業に、より安全に執務を行うためのSocial distancingに配慮したオフィスデザインを、クイックかつ安価に提供すること、です。
既存のオフィスで6フィートの距離を開けて従業員同士がコミュニケーションできるよう、床に6フィートの距離を示す黒の円形枠のサインを配置したり、向かい合う机の間には透明のアクリル板を配置、執務机には毎日紙のクロスを敷き、交換できるようにする、などです。

その効果はいかに、、、?ですが、ロックダウンとSocial Distancingが続く最中で、ビジネス再開という次の未来を先取りし、New Normalcy(コロナウィルスパンデミック後の新たな正常状態)に提供すべきサービスを準備、展開し始めている同社。

ここに生き残る企業と生き残れない企業の差が生まれているのかもしれません。



画像: https://www.cushmanwakefield.com/en/netherlands/six-feet-officeより引用

Stay homeが長期化する中、次から次へと生まれるソリューションやビジネスを見るたび、アメリカらしさとアメリカにいる人々の前向きなパワーを感じます。

私も、New Normalcyに備えて、何か準備をしたり、仕込んだりしなければと思いつつ、ストライキが決まったAmazonやホールフーズのニュースや、食肉工場が閉まり、食肉が品薄になるというニュースを聞いて、さて食品の買い物をどうしたものかと検索したり、毎朝投稿される娘の学校の課題を1枚、1枚プリントアウトして、娘のおしりを叩きながら課題をやらせたりするとあっという間に一日が終わってしまっていることに気づきます。


長い夏休みの時間を無駄に過ごし、新学期1週間前になり泣きべそをかきながら宿題をする小学生の私と同じようなことにならないよう(汗)、今日から、何か小さなこと一つでも、未来に繋がること、自分への学びや投資になることを始めたいと思います。


それではみなさん、健康にどうぞお気をつけて、Stay homeもきっとあともう少しの辛抱となることを祈りつつ、また次回のコラムでお会いしましょう。

Keep in Touch !

ビジネス、公的な活動問わず、アメリカのこれらの事例から何かのヒントがお届けできれば幸いです。みなさんからのコラムに関するご質問や、こんなことを聞いてみたい、知りたい!というリクエスト、叱咤激励などなど、24時間365日お待ちしております。ではまた次回コラムでお会いしましょう。

Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。