NYノマド 第18回 孤立経済と社会的課題解決の懸け橋となるか?!次世代サブスクリプションサービス Part1

20.07.02 01:37 PM By s.budo

日々の生活でもリオープンの変化を少しずつ感じる瞬間が。

皆さんこんにちは。


先月から30℃を超える日が増え、すっかり夏の季節となったニューヨーク。まだまだ気を引き締めて行動しなければならない状況と頭では理解しているものの、燦燦と照る日差しと青空がまぶしく、外出や外食に飢えている今日この頃です。


6月22日からニューヨーク市はようやく経済及び社会活動再開の第2ステージに入り、15万人から30万人が業務に復帰することになります。
クオモ州知事のコロナウィルスの感染状況に関するデイリーブリーフィングも6月19日をもって一旦終了となりました。
22日からオフィスワーク、デパートなど店内での小売り、ヘアサロン、理髪店、レストランは店外での飲食(アウトドア・ダイニング)が許可され、マンハッタンにも人が戻りつつあります。


まだマンハッタンに足を運ぶ気持ちにはなれないのですが、テレビなどでマンハッタンのレストランの前の道路で料理やお酒を楽しんでいるようすを見るたびに、心がうずうずしてしまいます。
やはり、人間、家の中にこもり続けることはストレスになるのでしょうか。


先月のコラムでお伝えした腹痛事件は、1週間を経過しても収まらない激痛に耐え切れず、Urgent care(予約なしで診察をしてくれる医療機関サービス)を受けることに。
今回は直接クリニックに足を運び、診察してもらったところ、なんと帯状疱疹にかかっていたことが判明しました。
ご紹介したテレメディスン、便利は便利ですが、スクリーン越しに患者から症状を説明し、その情報をもとに医師が簡易的に診断するため、物理的に患者の身体を診察して発見できていたはずの症状が見過ごされてしまうという致命的なデメリットを、体験を持って知ったのでありました。
ちなみに、クリニックでは通常待合室で問診表を記入したり、診察までの間を過ごしますが、コロナ禍のためのSocial Distancing策が講じられており、診察の順番が来たら電話で知らせるので、自分のクルマの中など、クリニックの外で待つように指示されました。
無事に帯状疱疹と診察された後は抗ウィルス薬を処方してもらい、2週間かかりようやく回復するという帰結と相成りました。



メット・ブロイヤー 画像:メトロポリタン美術館のウェブサイトより
さて、少しずつ回復に向かっている現地ですが、メトロポリタン美術館の分館である MET Breuerは閉館が決まり、さらにブロードウェーミュージカルが来年1月3日まで閉鎖することが決まるなど、やはりコロナの影響の大きさを感じずにはいられません。


外出欲は高まる一方ですが、まだまだ自宅待機が推奨されていることから、外出は必要最低限に留めています。


しかしながら、人との距離が取れ、比較的安全に過ごせる州立公園などに家族で行き、自然と太陽の日差しの下で日ごろの運動不足やストレス解消するということを始めました。
写真:筆者撮影、訪れたアウトドアレストランの様子
先日は、約4か月弱ぶりに、ニューヨークでようやく営業再開したレストランのアウトドアダイニングにトライしてみました。


マンハッタンからおよそ1時間強のドライブしたニューヨーク州の西側に位置し、ワイナリーや農場などが拡がる地域のファームレストランです。


ニューヨーク州でも人口密度が低いこの地域はコロナウィルス感染が比較的軽く、ニューヨーク市より一足先に経済活動が再開していました。


アウトドアダイニングであれば、感染のリスクも比較的低く、家にこもりがちだったストレス解消と夏の気候も楽しむ機会にしようと勇んで出かけたのでした。


一軒家レストランですが、レストランの裏庭にテーブルとイスを配置してのアウトドアダイニングでした。各テーブルは4~5メートルの距離が取られ、座席数もかなり制限していた印象です。



写真:筆者撮影、アウトドアダイニングを運営する裏庭に設置された簡易トイレ
さらに印象的だったのは、レストランの室内にもちろんトイレがあるのですが、屋内トイレの利用はさせず、裏庭に簡易トイレを設け、運用していたことです。

トイレの前には、芝生の上にテープが張られ、トイレを待つ際にもSocial Distancingを取るためのサインが設置されていました。

アウトドアダイニングによる営業を再開するにも、様々なSocial Distancingの規制に従い、そしてそのための投資が必要になります。こうした苦境を乗り越え、営業を再開してくれているレストランに感謝しながら、久々の外食と暑い夏を存分に楽しむ時間となりました。


写真:筆者撮影、卒業式用に飾られた写真
レストランからの帰路は高校の卒業式をお祝いする、生徒の卒業写真ディスプレイにも遭遇し、晴れやかな気持ちで帰宅しました。
日々の生活でもリオープンの変化を少しずつ感じる瞬間が増えてきたように思います。


例えば、日中、外を見上げると、このロックダウンで、ほとんど姿を見せなくなっていた飛行機の姿が。
以前は外を見上げると上空に数機の飛行機を見ることが当たり前でしたが、5月半ばまでは目にする機会がぐっと減っていました。
データ:https://www.businessinsider.com/firework-sales-up-noise-complaints-increase-new-york-city-2020-6より引用
外で何かパッとストレス解消をしたいというニーズが増えているのか、こちらでは花火の売上が例年と比較して急増しているというニュースを目にしました。

いくつかの花火製造メーカーでは400%の売り上げ増を記録していますが、ニューヨークでは花火による苦情が4000%増となっているというもので、過去5年間の間は花火による苦情はおよそ10数件から30件の間で推移していましたが、今年に入り、なんと6400件にのぼるといいます。

日々のローカルニュースなどでもニューヨーク市内のアパートにいたずらで花火が撃ち込まれ、やけどを負った女性の事件など、花火に関連した怪我や事件の報道を目にするようになってきました。

長く続いたロックダウンでのストレスと、夏の到来で、溜まっていたストレスを花火で解消したいというスイッチが入ってしまったのでしょうか。

花火は安全第一で、楽しみたいものです。


第18回NYノマドでは、「孤立経済と社会的課題解決の懸け橋となるか?!次世代サブスクリプションサービス」をテーマに、フードロス(食品廃棄)問題と戦う定期規格外野菜宅配サービス(Misfits Market)、ファストファッションの廃棄問題に着目した洋服のレンタルサービス(Nuuly)、子ども専用にキュレーションされたブッククラブのサービス(Literati)を取り上げ、この3社の事例から共通する未来への価値や示唆について考えてみたいと思います。

  • Part1. 在宅中心の生活者と拡大し続けるオンラインのタッチポイント
  • Part2. コロナウィルスによる孤立経済"The Isolated Economy"の到来と存在感が増すサブスクリプションサービス"The Isolated Economy"の到来と存在感が増すサブスクリプションサービス
  • Part3. ファストファッションの廃棄問題に着目した洋服のレンタルサブスクリプションサービスーNuulyNuuly
  • Part4. サステナビリティを実現する循環型ビジネス

Part1.在宅中心の生活者と拡大し続けるオンラインのタッチポイント

同じように少しずつ増えてきているのが、郵便受けに入る紙のダイレクトメールの数です。


金融系のダイレクトメールが再開しているようですが、紙のダイレクトメールの半数以上を占めていた小売系のダイレクトメールはまだまだ2週間で数通、という程度です。
小売業の広告は、コロナウィルスによるロックダウンで完全にオンラインでのダイレクトメールに移行してしまったのでしょう。スマートフォンよりもパソコンを利用する機会が増えているというデータを前回のコラムでも紹介しましたが、コストや広告効果だけでなく、Social Distancing策を取るという点でも有効なのかもしれません。


消費者のタッチポイントとしてのオンラインはアフターコロナで確固たる地位を確立していると言えそうですが、日々スパムボックスに直行している数十通ものダイレクトeメールを見るたび、オンラインのタッチポイント環境に追い立てられている気持ちになってしまいます。


複数人での集会やパーティも許可がおりましたが、まだまだオンライン中心で、複数人での室内での集会やパーティは以前として少ないままです。
プリスクールに通う娘の卒園式もGoogle meetingを利用したリモート開催となりました。一人ひとりが卒園のメッセージのパートを担当し、諳んずるというかたちの式で、修了証は事前に学校に引き取りに行き、当日親が子どもに渡し、1年間の子どもたちの写真を集めて動画にしたものを見てお開きになりました。


スクリーンで集う卒園式は、4歳の子どもたちには少々難しく、実感も湧きにくいように見受けられましたが、修了式をやってくれただけでも感謝です。

最近、こちらの友人のベビーシャワーのZoomパーティにも参加しました。

ベビーシャワーは、これから赤ちゃんを迎えるママを家族や親せき、友人たちでお祝いする会ですが、これらのパーティもオンラインでの開催に移行しているようです。

既に2回のオンラインベビーシャワーに参加する機会を得ましたが、オンラインならではの企画やアクティビティが楽しめ、また、参加者一同の顔を見ながらの時間は、赤ちゃんを迎えるカップルへの温かな笑顔に包まれ、心温まる時間でした。

画像:https://www.forbes.com/sites/josephwolkin/2020/06/02/nascar-revs-up-digital-efforts-with-no-fans-in-the-stands/#2955baec6f25 より引用


新たな観戦スタイルを生み出し、新たなファン層の獲得を見込むといいます。

物理的環境での開催ができないという困難な状況は、逆にリモートやオンラインのプラットフォーム、技術を介して新たな観戦やパーティの楽しみ方やサービスが生む機会となることを示してくれています。


8月に開催されるテニスのUSオープンも無観客観戦での開催となる予定です。
また他のプロスポーツもそれぞれどのような形で試合を運営するのか、そしてそこからどのように収益を得ていくのかをウォッチするのが楽しみです。


Keep in Touch !

ビジネス、公的な活動問わず、アメリカのこれらの事例から何かのヒントがお届けできれば幸いです。みなさんからのコラムに関するご質問や、こんなことを聞いてみたい、知りたい!というリクエスト、叱咤激励などなど、24時間365日お待ちしております。ではまた次回コラムでお会いしましょう。

columnist
Aya Kubosumi ノマドマーケター


コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

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