Part3. ユニークなポジショニングのCookunity
ミシュラン星付きのレストランなどNYで活躍するシェフによる美食メニュー提供
さて今回は多様なプレイヤーがしのぎを削るサブスクリプション型オンライン宅食サービスの中で、独自のポジショニングをとるcookunityのサービスを実際に試し、顧客視点からサービスデザインのプロセスや提供価値について検討してみたいと思います。
健康コンシャスで舌の肥えたニューヨーカーたちの支持を得るか?
現在Cookunityはニューヨーク州、コネチカット州、ニュージャージー州などの東部の州を中心に9つの州でサービス展開をしています。
Cookiunityのウェブサイトはデザインがシンプルで、簡潔でキャッチ―にコンセプトやサービスの特徴が記載されています。これもせっかちなニューヨーカーに対応したウェブデザインなのかもしれません。
サービスの特徴としては、
- 毎週4食(1食あたり、13.49ドル)から16食(1食あたり、10.49ドル)を自宅に配達、配達料は無料。
- 初回注文はなんと太っ腹の50%オフ!
- 食事はおよそ4~5日間冷蔵保存することができ、レンジやオーブンで温めてすぐに(およそ2分以下)で食べる準備が完了。
- 200種類以上の多様なメニューの手作りの食事が楽しめ、中にはJean-Georges Vongerichtenといった、世界で活躍するミシュランスターシェフのメニューも!
- Farm to Kitchen to Table(農場から調理場、そして食卓)の質の高い食材
- 遺伝子組み換え食品(GMOs)、人工的な保存料(Artificial)を使用しておらず、人道的に育てられた食材(Humanely Raised)を使用。
- 栄養の専門家から健康的な食習慣を続けるための食事の選び方についてのアドバイスを毎週得ることができる。
Coockunityの1食の価格帯については、コンビニやスーパーなどで安くて美味しいお惣菜やお弁当を購入できる日本と比較すると、高く感じられる方が多いのではないでしょうか?
しかしながら、今回ご紹介した16社の価格帯と比較すると平均より少し高めという程度で、マンハッタンなどのニューヨーク市内のレストランでデリバリーをしたり、ランチをすると実際にこの金額では済みません。また、前述のConsumers Pay a Premium for Increasing Levels of Convenienceの図でご紹介したように、温めるだけの調理済みの食品と比較してレストランでは25%以上プラスで支払っているとされていますので、レストランレベルの食事がこの金額で可能になるのであれば、ニューヨーカーにとっては魅力的な価格帯と言えるかもしれません。
プロのレストランシェフの料理が手軽に楽しめるという点では、日本のプライベートシェフ出張サービスのマイシェフが若干類似のサービスといえるかもしれません。
こちらは自宅にシェフが出張し、料理を自宅キッチンで作ってくれるサービスですので、品数が多く、作り立てのお料理をいただくことができますので食事自体の価値は全く異なり、1名あたり5000円程度かかり、複数人での利用が必要です。
せっかちなニューヨーカーも納得のサブスクリプションデザイン
では、実際にこのCookunityを試してみた結果のご紹介に移りたいと思います。
Facebookの広告からCookunityのウェブサイトにアクセスし、サブスクリプションと1回目の宅食配達を行いました。

①ではサービス提供エリアに顧客の配達先があるかどうかでスクリーニング、
②と③のステップでは、サブスクリプションの基本条件を選択させています。
②では5つのコースから選ぶようになっていますが、人間が認知しやすいチャンクである、マジカルナンバー7の数(7±2の数に設定すると、人間がその情報を認識しやすく、選びやすいと言われています)に設定されており、選び安くなっています。
また、③ではすでに初回配達日と時間帯などを選ばせ、ほぼサブスクリプションサービスへの顧客の必要条件を3ステップで完了させています。
コロナウィルス対応で、配達員との接触が全くない、「ドアの前に置く」というコンタクトフリーの配達方法を選ぶこともできます。
その後のステップ④では、いよいよメインの食事メニューを選択するプロセスに移行しますが、ここではメニューの選択のしやすさと、メニューを探索する楽しみを同時に提供しようと設計を試みているようすが伺えます。