Part3.製品広告にみる企業のダイバーシティ、ソーシャルインクルージョンのメッセージ
こちらはホリデー向けの広告ではなく、アメリカで最初に設立された最も大きなLGBTQの人やその両親、家族を支援する団体であるPFLAGとコラボレーションしたもので、10月11日のカミングアウトデーにリリースされました。
レインボーカラーのクリームに彩られたオレオクッキーとレズビアンのカップルの帰省をテーマにしたショートストーリー型の動画広告です。
レインボーオレオと動画がこちらです。
次にご紹介するのは日本でもビジネスを展開し、DIYマーケットプレイスを展開するEtsyです。
Etsyは2005年創業、ニューヨーク市ブルックリン区をベースにする企業で、コロナ禍のオンラインショッピング需要の増加の追い風を受ける企業の一つです。

今回Etsyは、一人ひとりの個性とカスタムメイドの価値を重ね合わせたホリデー広告キャンペーン、"Gift Like You Mean It(心からの贈り物)"の動画シリーズを展開しています。
YouTubeで展開されているこちらの動画広告は、ハッシュタグ#giftlikeyoumeanitで、3人の主人公の3種類の贈り物のストーリーと、贈り物の"モノ"を紹介した4種類の動画が公開されています(https://www.youtube.com/playlist?list=PLwu9gSmfQdCJ7U9b93uf_hkQ4xjMxXWIU)。
例えば、"New Guy"というタイトルの動画では、ゲイの黒人男性が初めてパートナーの自宅を訪れ、パートナーの家族と会う場面が描かれ、こちらもオレオクッキーと同様、LGBTQの人々が他者から受容されることに関わる葛藤や喜びが表現されています。
そしてもう一つ紹介したいのがアメリカで生活する日本人の"Shiori(しおりちゃん)"が主人公のバージョンです。
日本語の名前は英語で発音することが難しいものが多くあり、なかなか覚えてもらいにくかったり、アメリカ人が綴りをかけなかったりします。このような場面に私もたびたび直面します。
このストーリーでは、ティーンのしおりちゃんが、アメリカのコミュニティの中で、自分の名前が見つからない、間違って書かれる、覚えてもらえないという出来事にあい、自分のアイデンティティと葛藤する様子とともに、パーソナライズされた母親からのクリスマスプレゼントがアイデンティティのよりよい受容の機会をもたらしている場面を描いています。
いずれも、パーソナライズされた手作りのギフトが、一人ひとりの個性に寄り添い、鼓舞し、エンパワーする価値を持っていることをアピールしています。
ちなみに、知り合いの黒人男性に、New Guyバージョンの動画を観てもらい、感想を聞いてみたのですが、ソーシャルインクルージョンのメッセージへのポジティブな評価をするとともに、サービスや企業名を知ってもらうための広告としては弱いかもしれないという辛口な批評ももらいました。
Etsyでは、こうした動画以外にも、"Gifts from Black-owned shops(黒人オーナーのショップからの贈り物)"と名付けた特集ページを展開し、黒人の人々やコミュニティを支援する機会を提供しています。