NYノマド 第24回 2021年の明るい未来を牽引する30歳未満の若者たち

21.01.06 03:23 PM By s.budo

Part1.Forbesによる「30 UNDER 30」
30歳未満の世界の未来をつくるトレイルブレイザーたちを表彰

様変わりするコロナ禍のホリデーシーズン

皆さん、新年明けましておめでとうございます。


2020年はコロナ禍で在宅時間が多かったせいか、あっという間に過ぎ去り、2021年を迎えてしまったような気がします。

2021年の幕開け、いかがお過ごしでしょうか。

アメリカではだいたい元旦1日の翌日、2日から仕事や学校初めとなりますので、すでに日常がスタートしています。

写真:2019年のロックフェラーセンターのクリスマスツリー、筆者撮影

今年のホリデーシーズンはコロナ禍で全く様相が変わり、ほとんどのイベントがオンラインやアウトドアで開催されました。


市内の複数個所で毎年実施されていた恒例のホリデーマーケットも2020年はブライアントパークのみの開催となり、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの鑑賞もソーシャルディスタンシングのため、予約制でした。

画像:https://www.facebook.com/fortleetoday/videos/859339388175266よりスクリーンショット画像を掲載


毎年約25万人が訪れていたというこのイベント、渡米した2018年に一度参加したことがありますが、時間予約制にもかかわらず、1時間以上の行列に並ぶという大人気のイベントでした。

外出機会が減ったこともあり、クリスマス気分を物理的に感じることが少なく、寂しく感じるホリデーでしたが、私が住む街では今年はサンタクロースが消防車に乗って、街中をパレードするというホリデーイベントが開催されました。

クリスマスのライトをボディにまとった消防車がサイレンを鳴らして道路をパレードする様子はなかなかの圧巻の景色で、消防車が通るたびに子どもたちが歓声を上げていました。
そして、アメリカではコロナウィルスの感染者が引き続き増加しており、予断を許さない状況となっています。


こちらニュージャージー州では12月から医療従事者や消防や救急など患者への接触可能性がある業務に関わる人、老人介護施設などの利用者、スタッフへのコロナウィルスのワクチン接種が開始されており、続いてその他の医療従事者、65歳以上高齢者、その後、徐々に一般の人への接種が行われる計画となっています。


ホリデーシーズンはレストランやホテルなどの観光業も書き入れ時ですが、感染拡大の懸念から、ニューヨーク市内のレストランの店内営業も12月14日から禁止されることになりました。


私の近所でスーパーやドラッグストアなどが集まった小さなショッピングプラザにあるスターバックスでも、店内での飲食ができず、テイクアウトのみの営業が続いています。広い駐車場があるのですが、その駐車場に車を停め、スターバックスでテイクアウトしたコーヒーを車内で友人とおしゃべりしているようすを度々見かけるようになりました。


オンラインではなく、直接会って、駐車場に停めた車の車内で、寒い冬に温かいコーヒーを手にしながらするおしゃべりは楽しいですよね。車社会のアメリカでは、こんな光景が増えているのかもしれません。

我が家では、12月初旬に娘の学校が突如、コロナ感染を受け、全校でリモートラーニングに移行することとなり、平日も娘のオンライン授業の面倒を見たり、例年ホリデーシーズンに先生にギフトを渡す習慣がアメリカではありますが、これらのギフトの準備をしたりとあっという間に12月が過ぎ去ってゆきました。
写真:トナカイ用のエサのオートミール、筆者撮影
アメリカでは学校はクリスマス前に冬休みに入ることが多いのですが、休みに入る最終日には、学校の授業でクリスマスイブにプレゼントを渡しに来てくれるサンタクロースとトナカイのための準備をしました。

アメリカではサンタクロースのために、子どもたちがクッキーと牛乳を用意して置いておくという習慣があります。それに加えて、トナカイにも餌を用意してあげるということで、担任の先生から、オートミールとグリッター(きらきら光るアートやクラフト用の粉)とキャンディーケーン(杖の形の飴)を準備するように指示されました。

そして最終日の授業時間に、先生と子どもたちは一緒に、オートミールにグリッターの粉を入れ、キャンディーケーンで混ぜ混ぜ。


キャンディーケーンは何をするかと思ったら、混ぜるためのものだったんですね。そしてグリッターを入れるのは、キラキラ光らせて、トナカイが見つけやすいように、だそうです。

トナカイはオートミールを食べること、全く知りませんでした。


我が家はグリッターの粉がなかったため、製菓用のスプリンクルを入れて、ビニールバッグに入れて出来上がり。これをサンタへのクッキー(我が家ではクッキーの代わりにシフォンケーキを置きました)と一緒に置き、サンタとトナカイを迎える準備はばっちり完了です。

そんなこんなで、クリスマスがあっという間に過ぎ、新年を迎えました。



TIME誌による2020年のKIDS of the YEAR:今年のこども

画像:https://time.com/5916772/kid-of-the-year-2020/より引用
消費も落ち込み、なかなか気持ちも明るくなりづらい12月でしたが、TIME誌が12月4日に発表した、"KIS of the YEAR(今年の子ども)"の記事は明るい話題をもたらしてくれました。


2019年は環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが選ばれたこの"KIS of the YEAR"、世界にポジティブな影響を与えている若い世代を評価するために創設されたもので、2020年はアメリカコロラド州在住、15歳の科学者・発明家のギタンジャリ・ラオさんが選出されました


彼女が生まれたのはなんと、2005年です。彼女はネット上のいじめをなくすためのAI技術を活用したKindlyを発明、様々なソーシャルメディア上でメッセージや投稿を行う際のテキスト入力時にいじめに関するワードをAIエンジンにより検知、いじめに関するワードが含まれていることを知らせることで、いじめに対する自己改善行動を支援するアプリで、Google Chromeのエクステンションでも利用することができます。

このソリューションは、彼女自身が家族の引っ越しにより経験した11年間で7回の転校経験に基づいて開発されおり、開発には、いじめに関する統計、エキスパートへのインタビューといったリサーチ情報をもとに現状理解をし、ソリューションの検討、プロトタイピングを経て、現在のアプリが展開されている開発プロセスなどもビデオで紹介されています。


このKindlyの開発経緯を紹介したビデオを見て、心の底から彼女の考えや行動、研究や発明に共感するとともに、賞賛と尊敬、そして未来へのポジティブな気持ちで一杯になりました。


いやはや、目の前のネガティブなモノコトだけに囚われている自分を恥ずかしく思うとともに、目の前の現状や課題に疑問を呈し、考え、行動することから未来が生まれてくるのだということを噛みしめておりました。
彼女はTIME誌のインタビューの中で、利用している情報源は、”MIT Tech Review(マサチューセッツ工科大学から発行されている技術レビュー誌)”をあげ、このコロナ禍、自宅でパンやクッキーを焼いたり、サイエンスをしたりして過ごしているといいます。私も子どもとお菓子作りでもしたら、子どもがサイエンスに興味を持つかしら?と安直に影響を受ける私でした。


他にも、彼女はミシガン州フリントで起きた、水道水の鉛汚染をきっかけに開発した飲料水に含まれる鉛を調べる装置では、「アメリカの最も優れた若い科学者」に選ばれそして、2019年には、Forbsの30歳未満の30人に選出されています。

新しい年を迎え、2021年のスタート、ポジティブな未来を感じ、明るい話題で気持ちを鼓舞したいもの。そこで第24回NYノマドでは、「2021年の明るい未来を牽引する30歳未満の若者たち」をテーマに、昨年12月に発表された、Forbesによる「30 UNDER 30 (北アメリカを変える30歳未満の30人)」の2021年候補者600人のリストから、主に、すでに巨額の投資がされているスタートアップの起業家、"BIG MONEY STARTUPS"からポジティブな未来を感じさせてくれる若者起業家、活動家をご紹介したいと思います。

  • Part1. Forbesによる「30 UNDER 30」 -30歳未満の世界の未来をつくるトレイルブレイザーたちを表彰
  • Part2. 巨大3Dプリンターで建てたコンクリートの家で低所得者地域を救え
  • Part3. 二酸化炭素をより多く吸収する樹木の開発で気候変動、環境問題に立ち向かえ
  • Part4. "アンダーウェア=セクシー"の呪縛から女性を解き放て

Part1.Forbesによる「30 UNDER 30」
30歳未満の世界の未来をつくるトレイルブレイザーたちを表彰

画像:https://www.forbes.com/30-under-30/directory/ より
Forbes社が毎年発表する"30 UNDER 30"とは、各界で活躍する30歳未満のイノベーターを表彰する、米国Forbes発祥のアワードです。
2011年から始まったこのアワードは、ビジネス、アート、テクノロジー、教育、メディア、音楽、サイエンス、スポーツ、フード、社会起業家など多様なカテゴリーから、次世代を担う若者を毎年選出しています。現在は、アジア、ヨーロッパ、アフリカなど地域別のアワードも派生、2018年には日本版"30 UNDER 30 JAPAN"も始まっています。


2021年のアメリカ版"30 UNDER 30"は10周年を迎え、2020年12月に、起業家、活動家、科学者、エンターテイナーなど600人の候補者が発表されました。
未曽有のパンデミックを経験するなか、今年の候補者はCovid-19にもかかわらず、病院で働く医療従事者を支援したり、A.I.を活用して新たな薬を発見したりと果敢に事業創造に立ち向かっている若者から、TikTokやYouTubeのインフルエンサーなど、様々な若者がノミネートされています。

平均年齢は26.6歳、最年少は15歳。
候補者600人のうち、およそ20%が62か国からの移民です。
ジャンルも、ソーシャルメディア、メディア、教育、金融、ベンチャーキャピタル、エネルギー、企業向けテクノロジー、消費者向けテクノロジー、ヘルスケア、製造、小売・eコマース、マーケティング・広告、飲食、ソーシャルインパクト、サイエンス、ゲーム、アート、音楽、スポーツと多種多様。中には1500万ドル(日本円でおよそ15,45億円)以上のファンドが投入されているスタートアップを率いる起業家もいます。

計算機学者でユーザーインターフェースの祖、アラン・ケイは"The best way to predict the future is to invent it.(未来を予測する一番の方法は未来を発明することだ)"といいました。
ピーター・ドラッカーも同様の言葉を残しています。

未来を創っている若者から、ポジティブな未来とその可能性を学んでいきたいと思います。
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Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

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