NYノマド 第24回 2021年の明るい未来を牽引する30歳未満の若者たち Part2

21.01.12 04:09 PM By s.budo

巨大3Dプリンターで建てたコンクリートの家で低所得者地域を救え

画像:https://www.forbes.com/profile/alex-le-roux/?list=30under30-big-money-startups&sh=4395536072f2よりスクリーンショット画像を引用

Alex Le Rouxさん(28歳)


画像:ICON社の3Dプリンター, https://www.dropbox.com/sh/zvnw6m55maqh7nw/AACZW-If7VqnYhblqUAkjigra/Vulcan%20II%20Printer?dl=0&preview=Vulcan_II_concept_PrintingAffordableHome.jpg&subfolder_nav_tracking=1より引用

まずトップバッターにご紹介するのは、巨大3Dプリンターで家をつくるICON社のファウンダーである、カナダ出身のAlex Le Rouxさん。日本でもニュースやネット記事で紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれません。テキサス州オースティンで創業したICON社、オースティンはシリコンバレーやサンフランシスコ、ニューヨークといった都市と比較して、生活費や経営コストが低く、次世代の才能が多く集まるスタートアップのメッカとして名を馳せつつあります。


Alex Le Rouxさんは大学在学中に、「もし3Dプリンターがもっと大きかったらどうだろう?コンクリートを使えたらどうだろう?」と考え、24時間で30%も安いコストでコンクリートの家を作る事業を立ち上げました。



画像:https://www.iconbuild.com/technology/spaceよりスクリーンショット画像を引用
彼が共同創業したICON社で、2018年に初めてアメリカで規格基準に適合した3Dプリンターの家を建て、その後テキサス州オースティンにホームレスのための家を建築、その後メキシコにも進出し、メキシコでは低所得者層のコミュニティに安価な3Dプリンター住宅を供給するプロジェクトを展開しています。

すでに$44 million(約45億円)というビッグマネーが投入され、最近はNASAが月面に建造物を作る方法の検討プロジェクト、プロジェクトオリンパスに参画、プロジェクト支援のファンドも獲得しています。



建築業界での3Dプリンターやロボットは様々なスタートアップが生まれ、活況を呈しつつありますが、こちらのICON社は建設業界が抱える3つの課題、


1. Affordability(価格の高さ:平均的な人でも家を買えない), 
2. Sustainability(サステナビリティ:住居建築は非効率で不経済), 
3. Availability(入手可能性:10億人の人が必要な最低限の住まいを持てない)


に対して、ミッションとして、


"ICON社は、3Dプリンティングロボットやソフトウェア、先進的な素材を活用し、人類(人間性)を前進する先進的な建築技術を開発します"


と表明し、ビジネスを通じて課題解決を成し遂げようとしています。
3Dプリンターというテクノロジー主導の建築ビジネスですが、全ての人に住まいを届けるという社会課題、サステナビリティや建築・建設業界自体を革新するという複数の課題の同時解決を目指して活動していることに感服します。

ローカルな飲食店オーナーを救え 
レストランと顧客、双方にとってハッピーなデジタルプラットフォームを届けるLunchbox

画像:https://www.forbes.com/profile/nabeel-alamgir/?list=30under30-big-money-startups&sh=3c36ca4c1ae7よりスクリーンショット画像を引用

Nabeel Alamgirさん(29歳)




続いては、ニューヨーク市内クイーンズ区アストリアのフードテックスタートアップ、Lunchbox社を率いるNabeel Alamgirさんです。


バングラディシュとクウェートで育ち、ニューヨーク市内クイーンズ区に10代の時に移住しました。
Bareburgerなどの飲食店でのアルバイトやマーケティング職といった飲食業界でのバックオフィスから顧客に給仕する最前線に従事する経験を経て、2019年にLunchbox社を創業しました。
Lunchbox社はオンライン注文システムとマーケティングエンジンを兼ね備えた集合飲食店プラットフォームを提供し、2200万ドル(日本円で約27億円弱)の投資を調達しています。

コロナ禍でアメリカでは多くの州で店内飲食が制限されており、飲食業界はパンデミックで最も打撃を受けている業界の一つで、特にローカルで小規模の飲食店オーナーが倒産や減益の波に苦しめられています。
そんな中、テイクアウトやデリバリーが飲食業界の主要な収入源になっていますが、顧客から支持を得ているUberEatsやGrubhub、DoorDashといったオンラインデリバリーサービスプラットフォームは、飲食店が加盟し、サービスを利用することで顧客獲得をすることができるものの、利用するためには25~30%という大きな利用料やマージンを支払わねばなりません。
さらにGrubhubなどのオンラインデリバリープラットフォームは自分たち自身の洗練されたブランディングを行い、ユーザーフレンドリーなUIや顧客体験を提供することで顧客を獲得しますが、その一方で加盟している飲食店のブランドは影を潜め、飲食店は価値ある機会を喪失してしまいます。
画像:https://lunchbox.io/よりスクリーンショット画像を引用

元々通ってくれていた顧客に戻ってきてもらい、テイクアウトやデリバリーをオンラインでしてくれるほうが、違った結果を生み出すのではないか。

そこで、Lunchboxでは、飲食店オーナーと顧客の双方に真に役立つようなレストランオペレーションを可能にする、導入が簡単で低コストのオンラインソフトウェアだけでなく、ブランディング、マーケティングツールなどをオールインワンのSaaS(Software as a service)として提供しています。


オンラインのデリバリー、テイクアウト、ケータリング、カーブサイドピックアップ(店舗外の駐車場などのスペースで品物を渡すソーシャルディスタンシングを考慮した引き取り方法のこと)といった主要な飲食販売だけでなく、店舗外のエリアで自社メニューを販売できるクラウドキッチン、さらには、ウェブ、アプリ、テキストメッセージ、Facebook上でのビジネス展開や顧客とのコミュニケーションデリバリートラッキング、電子メールマーケティング、飲食店で利用できるギフトカード販売や寄付の機能など、飲食店のコロナ禍でのビジネスを全面的かつきめ細やかにバックアップする機能が揃っています。

Lunchboxというネーミングも、お弁当箱が持つ、複数の食べたいものが一つの箱にコンパクトかつコスパよく入って食べられるというイメージが、同社のSaaSソリューションやサービスにぴったりですね。


コロナ禍でも、同社は売上30%増、自社顧客は昨年度比925%増

今後もローカルで小規模の飲食店向けのソリューションを強化していくといいます。

こうした、飲食店オーナー目線で痒い所に手が届くSaaSでの展開は、ひとえに、Nabeel Alamgirさんが飲食業界でフロントからバックと様々なポジションで働いた原体験と課題認識が源になっているといえるでしょう。現場での原体験と観察をもとに、業界が抱える課題を一つ一つ解きほぐし、進化し続ける同社のビジネスに驚くばかりです。

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Aya Kubosumi ノマドマーケター


コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。