二酸化炭素をより多く吸収する樹木の開発で気候変動、環境問題に立ち向かえ

Maddie Hallさん(28歳)
3番目にご紹介するのは、Maddie Hallさんです。
サンフランシスコベースのバイオテクノロジースタートアップ、Living Carbon社を創業し、なんと、従来よりも二酸化炭素をより多く吸収する樹木を開発し、気候変動という大きな環境問題にチャレンジしています。
日本でも農林水産省や経産省などで同様の研究開発が以前から展開されているようですが、一スタートアップ企業がこのような大きな技術開発に挑戦し、ビジネスとして展開しようとしているという点で、Living Carbon社はテスラに似た匂いと未知なる可能性がぷんぷん漂ってきます。
Living Carbon社のウェブサイトにはほとんど具体的な情報掲載がなく、ベールに包まれた同社ですが、この未来のスーパー樹木が地球の気候変動を救う日が訪れることが楽しみですね。
アメリカの刑事司法システムの課題解決を支援する元グーグルのプロダクトマネージャー

Clementine Jacobyさん(29歳)
続いては、ソーシャルセクターから、非営利団体Recidivizを立ち上げたClementine Jacobyさんです。
彼女はスタンフォード大学を卒業し、卒業後の1年間をプロのサーカスパフォーマーを目指してアクロバティックを教えながら過ごし、後にプロダクトマネージャーとしてGoogleに勤務した経験を持ちます。

Googleで開発していた分析ツール製品をどのように州の刑事司法機関が収監数を減らすという課題に応用できるのかという問いを持ち、非営利団体Recidivizを2018年に立ち上げ、刑務所や保護観察などの州の刑事司法機関や関連組織が保有するバラバラで断片化された様々なデータを一元化し、意思決定を促す分析ツールやプラットフォームを開発しています。
彼女がある州と話をした際、90件以上のプログラムを提供しているものの、年間3件ほどしか評価することができていないと語ったそうです。
アメリカ司法統計局の2019年の報告書によれば、2017年に220万人の人が刑務所や拘置所に収容されており、この10年間でその数は減少し、収監率も10%以上下がっているものの、世界の中では収監数が最も多く、よりよい解決策が求められている現状があります。
同団体では、州と協業し、デザインスプリント(短期間で製品やサービスコンセプトを開発するデザイン思考を用いたワークショップ)を開催したり、保護観察官をシャドウィングするなどを重ね、その人々やチームがどのように意思決定をしているのか、どのような情報を持っているのか、彼らが何を求めているのか、そして新たなデータがどのように彼らの異なる意思決定を支援できるのかなどを学ぶことで、テクノロジーがその意思決定を短縮したり、支援できる領域を特定していったといいます。
その結果、刑務所や保護観察所、仮釈放に関する様々なデータを一元化し、標準化、コロナウィルスによるパンデミック発生時には、ノースダコタ州などで早期釈放が可能な個人を特定し、その釈放が公衆衛生にもたらすインパクトをシミュレーション、トラッキングするモデリングツールを開発、1か月間で25%もの刑務所収容人口を削減しました。
アメリカでは物理的に距離を置くことが難しい刑務所内での院内感染が多発、このツールは公開から48時間で47の州からダウンロードがあったといいます。このツールはMozilla社からの表彰を受けています。
Clementine Jacobyさんは、
「営利企業として、同様のシステムや技術を提供し、お金儲けをすることもできるが、それでは収監率を下げることは難しい。この目的に沿うよう、非営利法人として活動している。」
といいます。そして州の刑事司法システムが、収監率を減少させ、懲罰的なプログラムやシステムから、リハビリを促すようなシステムにシフトしていけるようにしたいと語っています。
昨今、優秀な若者がプロフィットを優先し、倫理や道徳に書いたビジネスを結果として展開している巨大テックカンパニーに辟易、ハイテク企業離れが進んでいることが指摘されていますが、人類が開発した有益なテクノロジーをお金ではなく、より社会のために、道徳や倫理に沿った活動やプロジェクトに活用していくことを思考しているClementine Jacobyさんのような若い世代は今後も増えていくのではないでしょうか。