巨額のマネーがつぎ込まれるスーパーボウルサンデーの広告
2021年のスーパーボウル広告のお値段は?


これだけの巨額の投資を行って、どのような企業が、どのような広告を展開したのでしょうか。
そして視聴者たちはどのように受け止めたのでしょうか。
3つのソーシャルメディアの反応から考察したスーパーボウルサンデーの広告
つづいて、視聴者の関心を喚起したり、支持されたスーパーボウルサンデーの広告を3つのソーシャルメディアの反応から見てみたいと思います。
最もGoogle検索されたスーパーボウルサンデー広告は?
スーパーボウルサンデーの試合終了後、インターネットでは瞬く間に、広告への反応やまとめサイトなどがアップされます。スーパーボウル中に放映されたTVコマーシャルの全てのラインナップは主要メディアなどでも取りまとめられ、一覧することができますので(例えば、CNBCのウェブサイトでCM動画へのリンクと共に紹介されています, https://www.cnbc.com/2021/02/07/super-bowl-2021-commercials-live-coverage.html)、見逃してしまった人も、広告だけチェックすることができます。
では最初に、Google TrendsのTwitterで紹介されていた、ハッシュタグ "#superboulads"で、Google検索されたスーパーボウルサンデーの企業広告ナンバー5を見てみたいと思います。

第5位:バドワイザー(Budweiser, https://www.budweiser.com/)

第5位はビールなどの飲料を展開するバドワイザーです。
バドワイザーはスーパーボウル広告に連続37年も出稿し続けてきた常連企業なのですが、今年は広告を取りやめたのです。
それにもかかわらず、多くの人がバドワイザーのスーパーボウル広告をGoogle検索したという事実には驚かされます。
なぜ今年バドワイザーは広告を取りやめたのでしょうか。
米バドワイザーはTwitterでその理由について語っています。
今年はこのビッグゲームへの広告をやめ、その広告費用を、米広告評議会とCOVID Collaborative(2020年5月に設立された、コロナウィルス対策に関する取り組みや情報発信を行う専門家、企業、大学などが協業する公的プラットフォーム)が展開するCOVID-19ワクチンを啓蒙する広告に全額寄付しますという内容です。
他にも、コカ・コーラ、ペプシ、自動車のアウディなど常連企業が売り上げの落ち込み等を理由に今年はスーパーボウルへの広告を中止しました。
Bud Light sheltzer(バドライト・セルツァー、バドワイザーブランドのサワーのようなアルコール入り炭酸飲料)はスーパーボウル広告を出していましたので、この広告を出さずにコロナウィルスと戦うための啓蒙広告に寄付するという意思決定はなかなか戦略的なものであると感じずにはいられません。
恐らく、飲酒離れ、特にビールの飲酒離れが進むミレニアル世代以降の若年層をターゲットに、バドライト・セルツァーの広告を打ち、バドワイザーのビールについては、社会的課題への取組に敏感な若年層に対しては、ビールの広告よりもコロナウィルスへの取組への熱心さを打ち出し、ブランドイメージの向上を図る方が得策と判断したのではないかと推測します。
第4位:T-Mobile(ティーモバイル, https://www.t-mobile.com/)

第4位はティーモバイル社が今年のスーパーボウルで優勝したタンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディさんとロブ・グロンコウスキーさんを起用した広告です。
Tom Brady氏はクオーターバックを務め、NFLの現役レジェンドでもある超スーパースター、そしてRob Gronkowski氏は2018年に現役を引退したものの、2020年にシーズンに復帰したタイトエンドのポジションの選手です。
このCMはロブ・グロンコウスキーさんが現役復帰したエピソードをもとに、コメディ化されて作られたもの。
場面は1年前、引退したロブ・グロンコウスキーさん氏がフロリダでゴルフを楽しみながらTom Brady氏に電話し、引退生活の良さを得意気に話し、同じように引退するように誘います。しかしながら、スマートフォンの通信回線不良の影響でTom Brady氏が聞き取れず、間違って、「ロブ・グロンコウスキーさんが引退から引退したいと思っている」と解釈し、記者会見で発表してしまうというもの。
T-Mobileの通信回線の信頼性をアピールする内容になっているのですが、実はこのCMはNFLから当日のオンエアを禁止されたものなのです。
NFLのオフィシャルスポンサーである競合Verizon社の圧力があったとか、なかったとか、様々言われていますが、オンエアされないことをティーモバイルがTwitterでツイート、それが瞬く間に拡散されたのです。
オンエアされなくなった幻のスーパーボウル広告であるという事実と、ビッグゲームの主人公を登場させたタイムリーな話題性と、「あれ、見た?」とつい友達にテキスト会話したくなってしまうコミカルなストーリーが第4位を獲得しました。