NYノマド 第27回 女性の心身の健康を取り巻くタブーやネガティブなステレオタイプを刷新するフェムテック  Prologue

21.04.06 11:30 AM By s.budo

皆さん、こんにちは。


3月8日は国際女性デーでした。

第27回NYノマドでは、アメリカで次々に生まれつつあるフェムテックスタートアップの製品サービスなどをご紹介し、その動向やそこから生まれつつある未来へのドライビングフォースについて探ってみたいと思います。
※フェムテックとは、"Female × Technology"に由来し、女性の心身の健康やウェルネスをテクノロジーを介して支援するサービスの総称です。
  • プロローグ ワクチンの接種が進むニューヨーク
  • Part1. 進化する様々なフェムテックデバイス ―スマートピルケースから骨盤底筋矯正デバイスまで
  • Part2. 気軽でアクセスしやすく、透明性のあるサービス提供を ―女性特有の心身の悩みに寄り添うサービスの登場
  • Part3. 続々と生まれる女性専門テレメディスン・ワンストップ医療サービス、アメリカのフェムテック業界からみえるトレンド

プロローグ  ワクチンの接種が進むニューヨーク

ようやく春が到来したニューヨークでは、少なくとも1回以上のワクチン接種を行った人が26.5%(3月23日時点)となり、レストランの店内営業が50%以下の収容率で許可されるなど、少しずつ、回復への道のりを歩んでいます。


先日1年ぶりにニューヨーク市内のセントラルパーク至近にあるレストランを利用しましたが、その日は気温が16℃近くまで上がったこともあり、久々にセントラルパークが多くの人で賑わう様子を目にしました。


少しずつ活気が戻るニューヨークを嬉しく感じるとともに、気を引き締めないと、と自戒する気持ちになりました。

ここ最近はアジア人に対するヘイトクライムも多発しており、まだまだ警戒しながら歩かなければなりません。


3月5日にはニューヨークの映画館がおよそ1年ぶりに営業再開が許可されました。

一スクリーンあたり最大収容人数の25%以下、もしくは50人以内での営業とはなり、パンデミックにより自宅でのストリーミングサービス利用生活に慣れてしまった観客をどのように映画館にカムバックしてもらうのか、まだまだ先行き不透明な点は多くありますが、大きな前進になることでしょう。

ちょうどニューヨークでは3月26日に、"エクセルシオール・パス"というコロナワクチン接種証明書やPCR検査の陰性結果の証明書をQRコードで表示するデジタルパスのアプリをローンチしました。

こちらのデジタル証明アプリはIBMの協力を得て開発され、すでに大規模イベント会場で実証実験を終えており、今後、コンサートやスポーツなどのイベントや、ウェディングパーティなど個人のイベントなどで利用できるよう、整備を進めています。

すでに、ニューヨーク市内では、マディソンスクエアガーデンやタイムズユニオンセンターなどのイベント施設で導入されています。


ワクチン接種と共に、こうした様々なデジタル技術やインフラが社会活動や経済活動の再開を後押ししてくれそうです。

2021年の国際女性デー in アメリカ

画像:https://amp.cnn.com/cnn/2021/03/16/us/ginsburg-statue-brooklyn-trnd/index.html より

また、国際女性デー当日はマンハッタンにあるワンワールドトレードセンターがシンボルカラーである紫色にライトアップされるなどのイベントが開催されたり、先の大統領就任式で詩を朗読したアマンダ・ゴーマンさんがモデレーターを務め、ヒラリー・クリントン氏と下院議長であるナンシー・ペロシ氏が登壇するディスカッションがオンラインで開催されたりしていました。

私は後日オンライン記事でその概要を読みましたが、パンデミックで特に男性と比較して女性の失業率が上がり、子どもを抱えて働きに出ることができず、苦境に陥っている女性が多いこと、男性が多くを占める政治界や企業のエグゼクティブ職等への女性の進出などについて、自身の経験等を交えてディスカッションが行われたようです。

何より、このお二人のディスカッションをモデレートする大役をされた20歳のアマンダ・ゴーマンさんには未来を担う若い世代の女性の力強さを感じ、勇気をいただきました。


以前のコラムで、ニューヨーク州がピンク税廃止(ジェンダーによる商品やサービスの価格差を廃止する法律)したことを紹介しましたが、アメリカではジェンダーや人種、LGBTQなどの人種的マイノリティ―が直面する格差や機会損失に対して積極的かつ活発な活動が展開されています。


3月24日はアメリカで女性の賃金格差是正を目指すイコール・ペイ・デイ(Equal Pay Day)でした。
毎年日にちが変わるこのイコール・ペイ・デーは、男女が1月1日から同時に働いた場合、男性が1年間稼いだ給与と同額を女性が稼ぐためにエクストラでかかる日数がプラスされた日が設定されています。


したがって、2021年は、女性が2020年に男性が稼いだ給与と同額に達するためには、およそ3か月近くも追加で働かなければならないということを示しています。
Drew Angerer/Getty Images Megan Rapinoe of the U.S. Women's National Soccer Team testifies virtually during a House Oversight Committee hearing titled "Honoring Equal Pay Day: Examining the Long-Term Economic Impacts of Gender Inequality" on Capitol Hill on March 24, 2021, in Washington. https://abcnews.go.com/GMA/News/soccer-star-megan-rapinoe-testifies-congress-gender-pay/story?id=76635386よりスクリーンショット画像を引用

そして今年3月24日は、最近もアメリカのナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグで活躍し、2019年にFIFA女子最優秀選手賞を受賞したミーガン・ラピノー選手が、女性のイコール・ペイ問題に対してアメリカ下院で証言を行ったり、ラピノー選手、同じくアメリカのサッカーリーグで活躍するマーガレット・パース選手、そしてファーストレディのドクター・ジル・バイデンの前でバイデン大統領がイコール・ペイに関する大統領布告に署名をしました。


ちなみに日本の2020年のイコール・ペイ・デーは5月6日でした

同様に、昨年12月に米国証券取引所ナスダックが、ナスダックで取引を行っている上場企業 3,249社に対し、女性や黒人、LGBTQといったマイノリティを取締役に複数登用するよう義務付ける規則を米証券取引委員会(S.E.C.)に申請しました。


この新規則は、企業のボードメンバー構成に対し、取締役に女性1人に加え、人種的少数派または性的少数者1人の最低計2人の登用を義務化するものです。

ナスダックによれば、およそ75%の企業がこの要件を満たしておらず、基準に満たない場合は上場廃止となる場合もあるとのこと。一定の移行期間を設け、企業にこの基準の義務化を図っています


このように強制力のある規則の制定をナスダックが積極的に行っていることからもアメリカでのマイノリティ支援の真剣さをひしひしと感じます。

じわじわと成長、浸透しつつあるフェムテック市場

それに関連して、国際女性デーにちなんで日本で行われたフェムテック(Femtech)に関する調査結果のデータを目にしました。

データ:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000051296.htmlより引用
※フェムテックとは、"Female × Technology"に由来し、女性の心身の健康やウェルネスをテクノロジーを介して支援するサービスの総称です。

月経、妊娠・出産、産褥期、不妊、更年期、閉経などの女性が抱える心身の問題や悩み、セクシャルウェルネス、メンタルヘルスが主な領域です。

女性を支援する様々な商品サービスやビジネスはまだまだ黎明期と言われていますが、近年アメリカを中心にたくさんのスタートアップが誕生しています。
日本では女性の生理日予測や妊活などを支援するアプリ、ルナルナなどもフェムテックの一つに挙げられます。
主に、まだまだ発展途上のフェムテック、主力は4~5年ほど前から少しずつフェムテックの記事やニュースを目にしたりすることが増えてきているように感じます。

そこで今月のコラムではアメリカで次々に生まれつつあるフェムテックスタートアップの製品サービスなどをご紹介し、その動向やそこから生まれつつある未来へのドライビングフォースについて探ってみたいと思います。


さて先にご紹介した日本におけるフェムテックに関する調査データですが、SOMPOひまわり生命保険株式会社が2021年3月2日に発表した「日本のFemtech(フェムテック)市場の可能性に関する調査」第2回(全国の20代〜60代の働く女性1000人を対象)で、2020年の第1回に引き続き今年も実施されたもので、フェムテックの認知度や期待などについて尋ねています。

実際に現在日本ではフェムテックについてどの程度の認知度があるのでしょうか?

調査結果によれば、日本におけるフェムテック認知率は1.9%、昨年度と比較して若干0.4ポイントアップに留まっています。他方、フェムテックを理解した後でのフェムテックへの期待は58.7%となり、昨年に引き続き高い期待値を示しており、また、フェムテックと意識しないながらも、「女性のからだ・健康の悩み」に対応するサービスは全体の26.4%が使用しているという結果が呈示されています。


まだまだ日本での認知度は低いフェムテックですが、グローバルでのフェムテック市場は2019年でおよそ8億2060万ドル(日本円でおよそ900億円)と推定され、世界各国に200社以上のスタートアップがあり、そのうち92%が女性により設立されています。

現状の市場規模としてはまだまだ緒に就いたばかりですが、年平均成長率12.65%とさらなる拡大が期待され、2030年までにはおよそ30.04億ドル(日本円でおよそ3778億円)に達すると推定されています


女性を顧客ターゲットとするフェムテックは、コマーシャルな市場としてはもちろんまだまだニッチな存在ではありますが、現状、どのような製品やサービスが展開されているのでしょうか。

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Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。