NYノマド 第30回アップステート・ニューヨークをリバイブする元ニューヨーカーたち Part1

21.07.12 05:58 PM By s.budo

ローカルに都会のテイストをミックスしたニューローカルビジネス

写真:筆者撮影
実は昨年の夏の終わりにもキャッツキルにあるAirbnbに滞在したのですが、コロナ禍でもあり、ほとんどのレストランやお店は閉まり、営業していない状況で、お店に立ち寄ることができませんでした。
ほとんどの時間を滞在した家で過ごしていたので、今回が初めてキャッツキルの町の訪問となります。


最初に訪れたのはリビングストーンメナーの町の中心地からほど近いアップワードブルーウィングカンパニーに立ち寄り、ランチに舌鼓。
2019年にオープンしたばかりのこのブルーワリーはシンプルでモダンな建築、タップルームを兼ね備え、ハンバーガーからキムチフライまでローカルな食材を中心としたメニューを提供、広々とした池を囲みテント、テーブル、イスが併設され、アウトドアでも室内でもゆったりとビールとの時間を楽しむことができます。

シンプルなアメリカ料理が中心ですが、フライドポテトなどもなかなかの美味。家族連れも多く、子どもたちが池の周りでオタマジャクシをつかまえて遊んだりしていました。
写真:筆者撮影
写真:筆者撮影

家族連れ以外に犬を連れたカップルや家族、友人同士でハイキングの途中に立ち寄った人々などがみられました。

ビールのプラスチック容器に目を移すと、"Go Hike Beer Mountain"の文字がプリントされています。


ハイキングとビールを楽しむがコンセプトのようです。


青い空と池に緑の山々と森、贅沢な空間に黄金のビールが映えます(もちろんスタウトなどの黒ビールもあります)!

他にもこの豊富な自然、ローカルな食材など地元の資産をふんだんに活用したレストランやセンスの良さを感じるお店などがあり、ゆっくり探索したくなる町です。

今回の旅行では平日半ばに行ったため、複数のお店が週末中心の営業で休業日、残念ながら私たちは町散策をじっくり楽しむことができませんでした。

インターネットでリビングストーンメナーのトラベル情報を検索すると、ニューヨーカーが紹介するトラベルブログ(ny to Anywhere )などでリビングストーンメナーの町にある素敵なレストランやお店が紹介されていますので、気になる方はぜひ覗いてみてください。

ニューヨークの田舎町へ週末移住するニューヨーカーたち向けのビジネス

さて、実は今回の旅行、ひと悶着ありました。
たまたま一晩かなり激しい雷雨に見舞われ、その影響で宿泊したAirbnbに到着するとWi-Fiが完全にダウンしてしまっていたのです。ホストに連絡をして修理を依頼したところ、付近一帯が同じような状況でテクニシャンの派遣がひっ迫しており、私たちが滞在を終えた以降の派遣になってしまうと言われてしまいました。そしてこの一帯は携帯電話の電波も入らないエリアで、車で20分ほどかけて町の中心地に行ってようやく電波が1~2本立つというネットワーク貧困地域だったのです。


宿泊先から車を飛ばすこと20分、携帯電話の電波を確保してのホストとの連絡やり取りにも一苦労です。何より滞在中にパソコンからいくつか仕事関連のミーティングに参加する予定がありましたので、滞在中の修理が不可能とわかり、これは大変だと慌てて町に出て電波を拾い、ミーティングキャンセルのお詫びメールを数本書く羽目に。
到着してほっと一息つく間もなく慌ただしい時間となってしまいました。


幸いホストがとても良い方で、もともと仕事でWi-Fiを使うことを伝えていたためか、宿泊費用の一部を返金してくれることになりました。あわせていくつか町周辺でWi-Fiを使わせてくれそうなホテルやレストラン情報を教えてくれました。
翌日また電波が入る場所まで車を走らせ、路駐しながら教えてくれたいくつかのホテルなどを調べていると、その中にコワーキングスペースが含まれていました。
残念ながら会員制で一時利用がなく、利用はあいにく断念となりましたが、ウェブサイトを見るとなかなか興味深いコワーキングスペースとコミュニティを提供している企業だったのです。
画像:Barnfox社のウェブサイトhttps://barnfox.com/よりスクリーンショット画像を引用
Barnfox社(バーンフォックス)はコワーキングスペースをキャッツスキルにある3つの田舎町でおしゃれで機能的な会員制コワーキングスペースを展開、提供しています。
ウェブサイトのトップページに"Work & Retreat Club(ワーク・アンド・リトリート・クラブ)"と書かれており、仕事、健康、遊びのバランスをとり、より健康でハッピーで生産性の高いライフスタイルを送ることをコンセプトに複数のサービスを展開しています。


その会員向けサービスの中には、3つの町の周辺にあるおしゃれなローカルホテルやAirbnbの宿泊施設と提携し、会員向け価格で宿泊を提供するBARNFOX AWAYや、カヤックやサイクリング、ハイキング、ディナー、中にはコウモリの家づくりワークショップやバレエクラスなど、バラエティに富んだ会員向けのコミュニティやイベントをオーガナイズし、提供するものなど。 特にクリエイティブやテック系の企業や仕事に従事している人を意識してサービスデザインがされているように感じます。
画像:Barnfox社のウェブサイトhttps://barnfox.com/accommodations/よりスクリーンショット画像を引用
キャッツキルの美しい山々に囲まれ、ユニークで美しくデザインされたスペースに地元の住人やリモートワーカーたちが集い、仕事だけでなく、一緒に集い、遊ぶコミュニティをというこのBarnfox社のコンセプトは、創業者2人のニューヨーカーの都会での働き方やライフスタイルに横たわるニーズと、キャッツキルのローカルビジネスや住人が置かれていた状況、そしてコロナによるパンデミックで一気に拡大したリモートワークのトレンドが折り重なって出来上がってきたものなのでしょう。
おしゃれな都会型コワーキングスペースとコミュニティを展開していたウィ・ワーク(WeWork)の田舎町版ともいえますが、どこかまた違ったものも感じます。


俄然興味が湧いてきます。


さらにキュレーションされた宿泊施設の詳細をたどってみると、紹介されているホテルの中はAirbnbのホストが宿泊前に周辺情報で教えてくれた人気があるというホテルの名前が。
通常は1泊300ドルから500ドル強の高価格帯のもので、地産地消の洗練された料理が楽しめるレストランを兼ね備え、部屋はインテリアにこだわった小規模のシックなホテルを複数展開する地元企業が運営しています。


他にはリノベーションされた別荘や家を、Airbnbを通じて貸し出す不動産マネジメント会社の物件が複数あります。
やはり、2社ともどこかBarnfox社と同じような匂いを感じます。

それぞれどんな会社で、どのような経緯でこのようなビジネスを展開しているのでしょうか。
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Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

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