NYノマド 第32回 金融とアートの中心、ニューヨークで生まれたNFTアート Part1

21.09.07 10:22 AM By s.budo

みなさん、こんにちは。

日差しは強いものの、涼しい風が秋の到来を感じさせる晩夏のニューヨークです。


コロナウィルスはデルタ種などの影響でこちらでも下火にならず、新規感染者数は8月31日で3894件と増加の傾向をたどっています。

8月17日からニューヨーク市内ではレストラン、ホテル、バー、カフェ、映画館、劇場、美術館、水族館、フィットネスジムなどの屋内施設では従業員および利用顧客(12歳以下の子どもを除く)に対し、ワクチン接種証明の提示が求められます

そして9月13日からは違反者には1000ドル以上の罰金が科される予定となっています。

 

アメリカではTwitter社が収容率50%でオープンしていたニューヨークやサンフランシスコのオフィスを再度クローズすることをすでにアナンウンスしており、アップル社も9月から再開予定だったオフィスを10月以降に延期する旨を発表しています

 

9月からの新学期開始で、この状況がさらに悪化することが予想されてはいるものの、レストランやお店などはオープンしており、マンハッタンも一定程度の人出はある状況です。

コロナ感染の抑制と経済活動のハンドルとブレーキを巧みに使い分ける状況がしばらくは続きそうです。

 

コロナで多くのアートギャラリーがビジネスの中断を余儀なくされ、苦しい状況に追い込まれていますが、そのような中でも、ニューヨークでは新たなアートビジネスが生まれ、頭角を見せ始めています。

 

今月のコラムではニューヨークの新たなアートビジネス、スタートアップをご紹介し、そこから見える変化の兆しについて考えてみたいと思います。

  • Part1. ストリートアートNo.1の都市、ニューヨーク
  • Part2. NFT(非代替性トークン)アートの誕生と歴史、NFTアートとパンデミック
  • Part3. プレイフルで前衛的なNFTアートたちが飾られたイマーシブなギャラリー空間、アーティストを支援するプラットフォームとしてのNFTアート
  • Part4. 誰がNFTアートを買っているのか?、NFTアートはどこへゆくのか ―NFTアートの可能性と未来への示唆

ストリートアートNo.1の都市、ニューヨーク

画像:ロックフェラーセンターのKAWS、筆者撮影

5.5メートルあるこの作品、KAWSがよくモチーフにしている アイコニックなキャラクター、“コンパニオン(COMPANION)”“ビー・エフ・エフ(BFF, Best Friends Forever)”から構成されています。


以前のように観光客であふれるニューヨークに戻るにはまだまだ時間がかかりそうですが、このような状況でも商業施設やニューヨーク市という街からアートを介してメッセージを発信するとともに、アートが組み込まれた生き生きとした公共空間を生み出そうとしている姿勢にニューヨークらしさを感じます。

 

ニューヨークはメトロポリタン美術館ニューヨーク現代美術館などの著名な美術館だけでなく、パブリックアートが地下鉄の駅や公園、商業ビルや日常の公共空間に埋め込まれているとともに、道を歩くたびにカラフルでポップなグラフィティや力強いメッセージを感じるミューラルなどのストリートアートを目にすることができます。

画像:https://www.maxpixel.net/Banksy-Street-Art-Wall-Graffiti-2096469より

マンハッタンのアッパーウェストの建物の壁に書かれたバンクシーの"ハンマーボーイ"の写真を目にしたことがある皆さんも多いかと思います。


ゲリラ的に表れるパブリックアートやグラフィティを、街を歩きながら楽しむことができるのもこちらニューヨークの醍醐味です。

画像:ニューヨーク地下鉄、23ストリート駅プラットフォームのパブリックアート

記憶にある初めて見た著名なアート作品は美術の授業の教科書の中という私にとっては、こちらに来てから何気なく歩いていると目の前に現れるグラフィティやウィットに富んだニューヨークの地下鉄駅構内のパブリックアートに、アートとの物理的、心理的距離が縮まったように感じます。

昨年の年末、旅行なども行けずにコロナ禍で自宅で過ごす毎日に、たまには非日常的な時間を過ごしたいと、ストリートアートのメッカ、ニューヨークのブルックリンでグラフィティアートのワークショップに家族で参加をしました。


テキスタイルのキャンバスにスプレー缶でグラフィティを描く体験をするものです。

 

ワークショップやグラフィティツアーのホストを務めているGabe Schoenbergさんに手取り足取り教えてもらいながらの時間の中で、

  • 人目に触れぬように深夜や人がいない場所で描かれるグラフィティグラフィティがコロナ禍で人通りが少なくなったニューヨークでかなり増えていること、
  • 観光客メインだったグラフィティツアーやワークショップの客足が落ち込んでいるものの、地元ニューヨーカーたちの参加が増えていることなど、

ストリートアートシーンとビジネスの狭間で起きている変化をぽつぽつと語ってくれたことが印象的でした。

写真:グラフィティのメッカ、ブルックリンのブシュウィック、筆者撮影

ストリートアートはニューヨークの街になくてはならない存在です。


それを示すように、最近、オンラインでアートギャラリービジネスを展開するフランス企業のシンギュラート(Singulartソーシャルメディア内に投稿されたストリートアートに関連したハッシュタグデータを分析したLinkfluenceデータをもとに、アメリカのストリートアートの首都(ホットスポット)を決める試みをした記事を公開していました。

 

結果は圧倒的な大差でニューヨークが第1位でした(307,000エンゲージメント、第2位シカゴ 76,300エンゲージメント、第3位ポートランド 57,200エンゲージメント)。


ストリートアートやパブリックアートなしにはニューヨークを語れない、そんな存在になっていることが分かります。

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Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

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