NYノマド 第33回 高速スケール&ピボット(拡大&転換)し続けるアメリカのスタートアップ Part4

21.10.25 02:18 PM By s.budo

スタートアップたちの大胆なピボット、高速アジャイル改善から学ぶこと

全てを最初から完璧にすることはありえない、ベータ版でも、ダーティプロトタイプのレベルでも、外に出してブラッシュアップしていく、これが成功の近道と言われれば、確かにそうであると思います。

デザイン思考が日本企業の間で採用され、ラピッドプロトタイピング、という言葉が浸透するようになっても尚、このプロセスをやればいいという認識に留まっているように感じます。

やればいいのではなく、やり続けることがマストなのです。
そしてこれにはリソースはもちろんのこと、根気と勇気も要ります。
画像:https://www.forbes.com/ より

スタートアップや起業家向けに製品開発、デザイン、マーケティング、オペレーションや事業拡大のためのチームを提供しているビジョンエックス・パートナーズ(VisionX Partnersを率いるアブド・ライアニ氏(Abdo Riani)はフォーブズに寄稿した記事でこのように述べています。

―"The most common reason for startup failure is lack of product-market fit. (…中略) The market is full of complexity, and the ideas and practices in it go through an evolutionary process. Because of this, the industry-standard practices (business models, features, offerings, prices, etc.) are the ones that have survived constant tests and pressure from the market. One should not discard them lightly.

(最も共通のスタートアップの失敗はプロダクトマーケットフィット(PMF)が欠けていることです。(…中略)市場は複雑性の塊でその中でのアイデアや実践は漸次的なプロセスを経験します。このため、その産業の標準的な実践(ビジネスモデル、特徴、提供物、価格等)はコンスタントなテストと市場からのプレッシャーの中で生き残っていきます。これらを軽々しく、捨象すべきではありません。)"

―"In fact, while the field of innovative tech startups is by definition the most progressive in the world, it pays dividends to be able to adopt a conservative mindset while sailing these waters. The time-proven industry-standard practices are your anchor of safety that helps you experiment with the opportunity but also the danger of true innovation.(…中略).The majority of early-stage startup work boils down to finding if your innovative idea and product is viable and needed, and if the feedback from the market is negative - to iterate and pivot until your idea transforms to meet the real needs of the market."

(実際、革新的なテックスタートアップのフィールドは、定義としては世界で最も急進的なものですが、この海原を航海する間に、配当金を払うために保守的なマインドセットを身につけいってしまうのです。この時間が証明した産業標準の実践は、機会を実験することを支援する安全のアンカーではありますが、真のイノベーション危機ともなります。(中略)。アーリーステージのスタートアップの仕事は、あなたの革新的なアイデアやプロダクトが実行可能で、必要とされていることを煮詰めていくことであり、もし市場からのフィードバックがネガティブなものであれば、あなたのアイデアがその本当の市場のニーズに合致するまで繰り返し思考し、ピボットすることです。)

アボは2021年9月29日に8000万ドル(日本円でおよそ89億円)の資金提供を獲得ミスフィッツは9月14日に2億2500万ドル(日本円でおよそ250億強)の資金を孫正義氏率いるソフトバンク・ヴィジョン・ファンド2から受けたと報じられています

 

アブド・ライアニ氏が強調するように、愚直に、かつ息をもつかぬような高速で実践、ピボットという試行錯誤を通じてアイデアや価値を市場にフィットさせ、結晶化していくことがこれらのスタートアップたちの成長を生み出しています。

 

今回のコラムで共有させていただいたように、正直なところ、両社ともに配送クオリティはお世辞にもよいと言えない程のレベルです。しかしながら、実践、ピボットできる領域から着実に取り組み、高速改善することが成功への近道であることを、この両社のサービスを利用する顧客の一人として実感せずにはいられません。

「できることからとにかく実行する」、シンプルで当たり前のことですが、これがアメリカのスタートアップたちのイノベーション創出とスケールを支えています。

 

それではみなさん、また次回のコラムでお会いしましょう。
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Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。