NYノマド 第8回:<夏の特別編>攻めるオンラインビジネス企業 〜顧客に響くデジタルとフィジカルな空間と経験(序章)

19.08.23 09:47 AM By s.budo

夏真っ盛り、記録的猛暑とイベント盛りだくさんのホットなニューヨーク

皆さん、こんにちは。

日本は、遅い梅雨明けから一転、連日猛暑だったようですね。日本の湿度の高い暑さと比べてこちらは湿度が通年は低いようですが、今年の夏は湿度が高い日も多く、先日は熱波の到来で週末に軒並み40度近くまで上がり、体感温度が44度にまで上昇しました。記録的猛暑でニューヨーク市ではデブラシオ市長が危険な暑さとして非常事態宣言を行い、オフィスビルなどに節電を呼び掛けたり、私が住んでいるハドソン川対岸のニュージャージーでもローカルガバメントからエアコンがきいていて無料で涼める公的施設の場所と時間の案内メールが届いたりしておりました。

ニューヨーク市でも無料で涼める施設の検索がウェブサイトでできるようです(https://www1.nyc.gov/site/em/ready/extreme-heat.page、現在施設検索のページは、最近猛暑がないため運用されていないようです)。

さて、皆さんはどんな夏休み、そして夏を過ごされているでしょうか?

ニューヨークでは、夏は野外イベントが盛りだくさんです。公園などでのコンサートは朝、昼、そして夜と様々な場所で頻繁に開催されており、夕方からは野外での映画上映イベントなど、無料のイベントも多くあります。


先日私も、マンハッタンのミッドタウンにあるブライアントパークで毎年恒例の"Broadway in Bryant Park"という無料のコンサートに初めて参加してみました。


このイベントはブロードウェイで上映されている人気の演目の楽曲を、演じている(もしくは代役の)俳優たちが生で歌ってくれるというもので、とても人気のあるイベントです。

今年は7月11日から8月15日まで、毎週木曜日のお昼の時間帯に、1回あたりブロードウェイの3-4演目程度の俳優たちが出演し、まとめて人気のある楽曲をダイジェストで楽しめるイベントとなっています。

私も早速7月後半にブロードウェイでも人気の高い、ディズニーの演目を集めた会に参加してきました。


"Disney on Broadway Takeover"と題した会で、“Aladdin(アラジン)”、“Frozen(アナと雪の女王)”、“The Lion King(ライオンキング)”、子どもから大人まで楽しめるディズニーの定番ブロードウェイ演目のコンサートとあって、12時過ぎに会場に到着したものの、なんと、すでに大勢の人で埋め尽くされ、ステージのセンター付近には足を踏み入れるのは難しい状況でした。仕方なく、ステージ右横から眺めることにしました。


コンサートは大盛況、役者たちの熱唱に会場のオーディエンスも大盛り上がり。

Frozenの"Let It Go"など、馴染みのある歌は会場と一体となって炎天下の大空の下、大きなハーモニーがこだましていました。


野外の空気感、そして、役者さんたちから繰り出される生の音楽や歌声を肌で体感し、物理的な空間でみんなで経験を共有するという、生パフォーマンスのすばらしさを存分に楽しめる時間となりました。

きっと、このコンサートをきっかけに、劇場に足を運ぶ人も多いでしょう。広告宣伝としても、大きな効果をもたらすコンサートなのではないでしょうか。


(写真:筆者撮影 老若男女問わず、思い思いにコンサートを楽しむ、ミッドタウンだけあり、中には近隣オフィスから休憩がてら同僚と楽しむ姿も。ステージがほとんど見えず、すみません。。)

閉店相次ぐ、物理的店舗

日本でもニュースで取り上げられていたかと思いますが、こちらアメリカではニューヨークを代表するデパートのバーニーズ・ニューヨークが、推定1億ドルから5億ドルの負債を抱え、破産申請を行い売りに出されることになりました( https://www.theguardian.com/business/2019/aug/06/barneys-new-york-files-for-bankruptcy)。


1923年にニューヨークに開店したバーニーズ・ニューヨークはここ数年、アメリカ国内のフラッグシップ店の閉店などを重ねていましたが、今年に入り、オンラインショッピング競争の熾烈化と家賃の高騰が利益をひっ迫したことが致命的となり、チャプターイレブン(米連邦破産法11条、日本では民事再生法に相当)を申請する運びとなりました。
同じく、日本でもニュースになっていたのが、日本でも人気のある高級デリ、Dean & DeLucaディーンアンドデルーカ)の相次ぐ店舗閉鎖です。
2014年にアメリカ国内で40以上あった店舗は、現在はニューヨーク2店舗、ハワイ2店舗の4店舗のみ。ニューヨークのアッパーイーストにあった店舗も、先月閉店となりました(写真)。

現在はタイの不動産会社がオーナーで(日本などのアジア、中東は経営が別)、約1.6億ドルの負債を抱え、再生に四苦八苦している状況のようです。

この2事例だけではありません。
2019年に入り、アメリカではたくさんのデパートや小売店などが次々に店舗を閉鎖している状況があります( https://moneywise.com/a/retailers-closing-stores-in-2019)。
スターバックスやアパレルのGAP(ギャップ)メイシーズシアーズなど、アメリカを代表する小売店や飲食店が軒並み物理的店舗を閉鎖しているのです。

このデジタル時代に、日々、移ろう顧客のニーズ、そしてオンラインショッピングにより、物理的店舗に行かずとも、安価な商品を手に入れられることを知っている消費者たちにとって、物理的な店舗でショッピングをすることのメリットが薄れてきていることが一つの要因に挙げられるでしょう。
広告宣伝などのメディア戦略への投資など、従来のやり方では消費者にお店の魅力が十分伝えられていないことも挙げられています。(Deloitte, 2019 Retail Industry Outlook

写真:筆者撮影

野菜、フルーツ、デリ(お寿司もありました!)、ケーキやペストリー、コーヒー豆、チーズ、ハムなどのおつまみ、スナック、オリジナルグッズなど、幅広い品ぞろえだった、今はなき、アッパーイースト店



攻めるオンラインリテイラー

小売店の店舗閉鎖が相次ぐ中、Amazonなどのオンラインリテイラーは、逆に物理的店舗をここぞとばかりにオープンさせています。

シカゴからオープンしたAmazon Go は現在、シカゴに4店舗、ニューヨークに3店舗、サンフランシスコに4店舗、シアトルに4店舗あり、尚、オープン予定の店舗が複数あります。


なぜなのでしょうか。そして、この動きは何を意味するのでしょうか。


今回はアメリカで展開されつつあるキャッシュレス店舗のAmazon Goと、高級健康飲料のオンライン販売で飛躍中のDirty Lemonがプロデュースしている、マンハッタンのトライベッカ地区にある無人店舗Drug Storeに実際に行き、私自身が購買体験した経験をもとに、物理的店舗の意味、今の小売業に必要なエッセンスについて検討した内容を、次回よりお伝えしたいと思います。

​夏の特別編

夏といえば、怖い話が定番ですが、今回NYノマド特別編として、皆様より読者アンケートにご協力頂ければ幸いです。


アンケートにご回答いただいた方の中から抽選で5名の方に1,000円分のAmazonギフト券(Eメールタイプ)をプレゼントさせていただきます。

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columnist
Aya Kubosumi ノマドマーケター



コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。 

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