さて、最終章では、Amazon Go店舗のサービスデザインの総括、そして、二章でご紹介したDirty LemonによるDrug Store体験も踏まえ、オンラインリテーラーたちが今なぜ、実店舗を仕掛けているのかについて、未来の店舗について思考を巡らせてみたいと思います。
徹底的な効率化と緻密な顧客カスタマイズの賜物
今回のAmazon Goの来店で実感したのは、特にこのニューヨークのAmazon Go店舗は、合理性、効率性を重視するニューヨークのビジネスマン、ビジネスウーマンに徹底的に特化した店舗デザイン、商品ラインナップを提供している点です。
逆に言えば、それ以外の人にとっては、何度も訪問するようなお店ではないかもしれません。
事実、たくさんの買い物には向いていませんし、スマホがないと買い物ができないため、年配者やスマホを持っていない人を排除するという批判もたくさんあるようです。

単品購入や5個以下の購入をする買い物客の数が最も多いということを元に、顧客にとってもロス時間がなく効率的にショッピングができる、かつ、"滞在時間もミニマム、でも来店頻度を増やすショッピングのデザイン"を徹底的に具現化しているといえるのではないでしょうか。
さすが、Amazon、データに基づいて、次の手、次の手をどんどん繰り出してきますね。

アメリカだけでなく、日本でもすでに2018年からスタートしていますが、AmazonはAmazon Freshでミールキットをオンラインで販売していますが、最近近所のWhole Foodsに買い物に行ったところ、なんと、Whole FoodsでもAmazonミールキットの店舗販売が始まっていました(写真)。
オンライン、オフラインの境界なく、顧客から必要とされている商品、サービスを、必要とされている時空間に提供するという、オンラインリテーラーの王様として君臨するAmazonの哲学や目指す未来が透けて見えてきます。
あなたのニーズに先んじて、目の前に利便性を提示、提供してくれるAmazonは日々の生活の動線のあらゆるショッピングの効率化を目指して、オンラインと物理的店舗の両方で、新しいショッピング体験、動線、商品サービスを革新し続けており、そこから、Amazon Goのような新しいショッピング文化が生まれ、革新的なショッピング体験のストーリーが顧客に共有され、さらなる購買や顧客増加を推し進めていくのでしょう。
妄想的考察 〜なぜ、今、物理的な店舗なのか、そして未来の店舗はどうなってゆくのか
Drug Store by Dirty LemonとAmazon Goの物理的店舗でのショッピング体験レポートをご紹介してまいりましたが、この2店舗の体験をもとに、最後に未来の店舗につながるキーワードについて考えてみたいと思います。

Drug Storeでは、インスタ映えするデザインや無人店舗というイノベーティブで話題性のある店舗を作り、顧客がシェアしたくなるストーリーや体験の提供をしています。
近年では、このDirty Lemonのとっている戦略はビジュアルマーチャンダイジングと呼ばれ、より重要視されるようになっています。
ビジュアルマーチャンダイジングを軸に、新たな顧客層との接点の獲得と、イノベーティブでスタイリッシュな健康ドリンクを購入するライフスタイル自体の提供拡大を図るとともに、顧客はストーリーと体験を通じてDirty Lemonとの関係性が構築され、強化していこうとしているのでしょう。

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