オフラインコミュニティ 第1回

19.05.14 03:07 PM By s.budo

「オフラインコミュニティ」のプロモーター、プランナー、デザイナーとしてのナレッジ×マーケティングサービス

皆さん、こんにちは。この度、副業の立場でmo4maのGoodwill Partnerに参画することになりましたItoです。これからmo4maの一員として様々なマーケティングのお手伝いをしていきます。よろしくお願いいたします。
私はメーカーの企画部門に所属し、市場調査やマーケティング戦略策定等に携わっています。専門は行動観察を中心とした市場調査の設計やマネジメントですが、今回
Goodwill Partnerとしてオファーされた最大の理由は、自身の形成しているオフラインコミュニティです。

私はオフラインコミュニティの主催者で、月に1回のペースで社会人10名程度との飲み会を開催しています。そこまでなら大して珍しくもない、ただの飲み好きと思われてしまうかもしれませんが、参加者は70代のベンチャー企業の社長の男性から大学生の女性までの140名超のメンバーで、それぞれが不定期で参加する会となっています。会話の内容は多岐にわたり、仕事やプライベートの相談、趣味の話、時には参加者が検討中のビジネスのコンセプトに関する議論や評価など様々です。私自身は一介のサラリーマンかもしれませんが、このコミュニティを通して自身やメンバーの課題解決に取り組んできており、それらの活動を通じてmo4maに誘われることになりました。これまでメンバー内での活動が中心でしたが、外部と接する機会も通じて活動を拡大できればと思い、また、会社の副業解禁というタイミングにも恵まれたことで、挑戦することにしました。今後は自身のコミュニティのユニークなメンバーとともに様々なマーケティングサービスを展開して行きたいと思います。

「メディチ効果」の威力

そもそも、私がオフラインコミュニティの構築を始めたのは、私が社内で新規技術開発の企画に携わっていた頃に、社内で開催された外部有識者の講演において「メディチ効果」という言葉を知ったのがきっかけです。「メディチ効果」とは大富豪メディチにより、ダヴィンチやミケランジェロを始めとする、画家や彫刻家、詩人、哲学者、建築家、実業家などあらゆる分野の芸術家や学者・文化人がフィレンツェに集められ、異文化や異分野の学問や思想の交流から、新しいコンセプトやアイデアに基づく新しい文化を創造しルネサンスへの道が開かれた現象・効果のことであり、要は新しい創造は人と人との交流から生まれるというような考え方です。

※「メディチ効果」の出典は、原題:The Medici Effect: Breakthrough Insights at the Intersection of Ideas, Concepts, and Cultures is a 2004 book written by Swedish-American entrepreneur Frans Johansson(邦題:アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方)です。

その有識者は「まずは、遠くへ出張したら、現地で飲み会をするようなことでもいいので、人に会いなさい」というようなことを加えて言っており、当時、関東圏以外で勤務していた私は、2か月に1度ほど東京への出張機会があり、その度に東京駅の終電の新幹線まで、学生時代の友人やサークルの仲間と飲むようになりました。そんなことを1年以上続けていたある出張当日、飲む仲間がなかなか見つからず、大学のサークルの後輩と学部の友人という初対面同士の二人を集めて三人で飲むことになりました。一応、同じ大学だからなにか話が合うのだろうと思い集めた飲み会でしたが、二人の働いている業界が偶然に近かったこともあり、とても盛り上がりました。帰り際、二人から「普段は会社の同僚としか話す機会がないので非常に楽しかった」「またこういう飲み会を開催してほしい」と言われたのがきっかけで、異業種飲み会を始めるようになりました。

4年間、60回以上の開催、140名を超えるユニークなメンバー

参加者から「また呼んでください」と言われているうちは続けようと思いながら、気が付けば、開始から4年で60回以上開催するようになっていました。
メンバーは140名を超え、知人の知人も含めながらメンバーを集めたため、エンジニア、マーケター、研究者、大学教授、建築士、金融関係、ベンチャー企業の代表や役員(ニュースWBSで取り上げられた人も複数)、イラストレーター、ミュージシャン、サウンドクリエイター、デザイナー(グッドデザイン賞の受賞者も複数)など様々なメンバーが存在しています。

新規事業探索に向いた調査

このコミュニティの良いところは、気軽に違う業界、業種、役職の人の意見を収集できる点です。市場調査が不慣れな企業や大企業において、新規事業探索のための市場調査をしようとした場合、問題になるのは成果見込みです。特にビジネスモデルが確立し、顧客を熟知し、効率の改善がベースとなっている企業は、日常の業務の多くは想定できる範囲の誤差の修正が基本であり、先を見通すことは比較的容易です。そのため新規事業の探索といった場面においても、結果がある程度想定できる前提で業務やプロセスが進みがちです。これは担当者にとってはかなりプレッシャーです。新規事業探索では畑違いの場所に飛び込まなくてはいけないのに、かなり精度の高い要求をされ、調査の良し悪しが事前に想定した要求を満たせたかどうかで評価されてしまうのです。行動するために仮説や目的を持つことは必須ですが、調査において重要なのは新たな発見や認識の誤りに気付くことです。それにも関わらず従来事業の改善に手慣れた組織では、想定された結果の入手できたかどうかが調査の成果として判断されるため、認識の誤りに気付くことはマイナスの評価となり、調査を実施すべきかの判断もそこを中心に議論されてしまい、どんな結果が得られるか予想できないと調査が始まらないということがよく起こってしまいます。(結果が想定できる調査なんてしなくていいのに)
私のコミュニティは、意外性を求める、好奇心旺盛なメンバーが気軽に集まってくる場であるため、調査の仮想対象となるメンバーがいた場合は、仮説設定をするための事前調査に活用することが可能で、私やメンバーの仮説構築のインプットを得る場所として活用してきました。(どのように気軽にメンバーが集まる場所になったかは、今後のコラムでご紹介いたします)

Elizabeth Houston - How To Successfully Blend Online and Offline Community Building Tactics

三つの層からならコミュニティ

また、このコミュニティで会えるメンバーは、現在100余名であるものの、数万人を超えるモニターが抱える一般的なインタビュー調査会社が抱えるモニターとは異なる層を抱えています。


一つはエクストリームユーザーです。私のコミュニティでは様々な人が集まり、それぞれの知識や経験を交換する場であるため、エクストリームユーザーと呼ばれるようなレアで経験豊富なメンバーも集まってきます。具体的には起業経験者が20名以上、その他、ベンチャー企業で働く人やアーティスト、フリーランサーなどがいます。そのような人たちは自身の時間を、換金できない経験や情報に価値を求めるため、調査謝礼をベースにモニターを確保している一般的な調査会社のモニターには登録していない傾向にありますが、私のコミュニティにはそのような方も参加しており、貴重な経験を知ることが出来ます。

また二つ目は一般ユーザーと呼ばれる層です。そのような「普通の人」こそ、調査会社が多く抱えている層ではないか?と思うかもしれませんが、厳密には違います。本当に「普通の人」であれば、調査会社のモニターに登録していない方が「普通」ではないでしょうか?モニター登録者に対して否定的な意味で言っているわけではありませんが、モニターに登録した場合は「モニターに登録した」という一種の能動的、自発的な属性が付加され、一定の偏りが発生してしまいます。私のコミュニティでは「モニターとして登録していない」メンバーや、コミュニティの規模や参加のハードルが小さいことを生かして、「オープンイノベーションの交流会のような場には行ったこともない」というような人も集まっています。

そして最後に三つ目に集まる層はノンユーザーと呼ばれる層です。調査対象者のジャンルに寄りますが、例えば、スマートフォーンを使っている人というのは見つけやすいのですが、使っていない人は見つけにくい、というような現象が調査対象者を確保する場ではよく起こります。新規の商材のアイデアを得るためには、通常のユーザーだけでなく、無関係な人を観察することでアイデアを得ることも多いのですが、能力や経歴などによらずメンバーを集めている私のコミュニティでは、ノンユーザーの確保にも対応している場面が多いです。特にノンユーザーは利害関係がないため忖度なく意見を出してくれる貴重な存在です。
このような三つの層が参加することにより、マーケティングにおいて重要な働きが可能なコミュニティが形成されています。

三つの層を貫くアイデンティティ

三つの層は、上記の様に異なる特徴を持っていますが、マーケティング的な素地を持つ理科系的集団というアイデンティティを有しており、デザイン思考、経営≒アート+サイエンス+クラフト、スペキュラティブデザイン等が提唱される時代にとても親和性の高いメンバーと自負しています。

これらのコミュニティのメリットを通じて、これまでにどのような課題を解決してきたのか?また私がどのようにこのようなコミュニティを構築してきたのか?というような経験について、引き続き、当ナレッジコラムで発信していきます。

プロフィール

Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー


電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。
パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得