第10回 オフラインコミュニティ【特別編】オンライン飲み会は、オンライン化された飲み会ではない

20.05.27 04:20 PM By s.budo

このコラムでは、これまで社外の様々な見識を持つメンバーとオフラインで交流する方法、オフライン異業種交流会についてのノウハウを語ってきました。また私自身、都内で異業種交流会を開催していたのですが、昨今の新型コロナの流行と非常事態宣言を経て、3月の中旬以降、参加者の安全確保の面からオフラインでの交流会を開催できておりません。

そのため、急遽オンラインでの会議に切り替え、4~5月と異業種交流会を実施してきたので、今回はその経験を元に、オンラインで異業種交流会を行うノウハウについて記載したいと思います。



まず、私が言う異業種交流会とは、



 ・参加者は主催者もしくは、参加経験者から招待されて参加する。


 ・参加者同士が知り合いではなく、初対面であることもある


 ・話し合いは、参加者同士で行う。(1対多数の講義形式ではないという意味)


 ・1回の参加人数は10人前後で、2時間程度開催する


というような条件での飲み会です。


これまで80回以上、150名以上のメンバーと交流してきましたが、このスタイルを維持して、オンラインでの会議を行いました。

(概要以下)

【開催数】計3

【開催時期】2020年4~5月

【参加者】22人(3回の合計)

【参加者の接続先】東京都、神奈川県、愛知県、米国カリフォルニア州、テキサス州

【開催時間】

第1回 1時間30分

 第2回 2時間

 第3回 3時間

【オンライン接続方法】Zoom(Pro)

さて、上記の経験を踏まえて、異業種交流でのオンライン会議について記載します。

1.  デメリット①:いつもの仲間が誘えない

普段は居酒屋で開催されている飲み会を、オンライン上の会議に変えて行おうとした場合、発生する問題の一つ目はメンバーが集まらない、という理由です。家だと、家族がいるのでゆっくり話せる場所がない、子供を起こしてしまうので参加できないというような環境が準備できないという問題です。Zoomであれば、スマートフォンで参加することも可能ですが、自宅にPCがないので参加をためらうようなケースも結構ありました。最近は、理系のソフトウェア開発の従事者であっても自宅に個人PCがないという方もいるようですね。


普段の飲み会からオンラインに切り替えるには、参加者に環境があるかの確認が重要な要素の一つです。



2.  デメリット②:いつもの時間、拘束できない

普段は居酒屋で2時間程度、気付いたらだらだらと3時間話し込むなんてこともありますが、オンラインで相手を2時間拘束するのは、大変です。理由は大きく二つ。


一つは通常の外での飲み会に比べて、相手からプライベートな時間を奪うためです。外での飲み会の多くは、会社からの帰り道に参加するスタイルで、プライベートと言っても仕事の延長に近いためです。一度家に帰ってしまうとそれはプライベートな時間に入ってきてしまうため、家でやりたいことと競合してしまいます。普段から家で2時間きっちり友人と電話をするような習慣でもない限り、家での2時間を相手から奪うのは困難でしょう。また気軽に参加できるのがTV会議のいいところですが、気軽故に、短い時間だけ参加したいと思う人が多いためです。(これはいい面でもあるので口述します)


もう一つは家で、オンライン開催だと相手がきっちりと後の時間にスケジュールを入れてしまうためです。外で飲み会がある場合は、外出の移動などもろもろ考えて、2時間の飲み会といっても、そのあとにバッファとなるような時間があるため、時間の感覚が緩くなります。一方、家で開催する場合、90分やりましょうと言えば、移動などないため。その後に家事や別のタスクをいれやすくなります。普段の飲み会は終了予定時刻が来ても、残る人がそれなりにいるのですが、オンラインになってからは、終了時間きっかりで退席する人の割合がぐっと増えたと感じています。


普段の飲み会からオンラインに切り替えるには参加時間帯をぐっと短めに、30分でも参加を許容するような構成が必要です。



3.  デメリット③:いつものように進行できない

普段から私は飲み会の幹事として10人を超すような会議を主催してきました。幹事としての主な仕事は、参加者の出欠確認、お店の確保、案内連絡、開始・終了の挨拶ですが、オンラインの飲み会となると、より高い司会進行スキルが必要になります。10名を超す飲み会であっても、1つのテーブルの数は4~6人程度で集まるため、幹事としては、そのテーブルでの会話を盛り上げればよく、隣のテーブルに関して気を配らなくともメンバー同士で話し合い盛り上がることが出来ました。しかし、オンラインとなると全員が同じ一つの話題にむかって話すことになるため、メンバーすべての会話に対した進行が必要です。1テーブルならあまり意識せず、好きなことを話せばよかったものの、全員が楽しめるような話にするというのはかなり難しいです。


FGI(グループインタビュー)のファシリテータや、TV番組「踊るさんま御殿」の明石家さんまのようにひな壇の芸人から順序良く楽しい話を引き出すようなそんなスキルが必要になります。ちなみに以前グループインタビューのファシリテータを10年以上やってきたようなプロの方と話した際に、10人を超えるとファシリテーションが困難になるということを聞いたことがあるので、一方的に講演するセミナーではなく、交互に話を引き出すような場合は9人程度が限界で、参加者全員が知り合いではないような関係性の中で、インタビューの経験がない人であれば、対応できる人数はずっと下がります。私自身も80回を超える飲み会の幹事経験者でも5~6人くらいが限界だと感じました。


普段の飲み会からオンラインに切り替えるには参加人数をやみくもに増やさないことが重要です。



 4.   メリット①:いつもと違う仲間を誘える

さきほどデメリット①としていつもの仲間が誘えない、と記載しましたが、その一方でメリットとして、


いつも会えない人と会えることもあります。海外や県外など物理的に離れていて会えなかった人、子供の世話が忙しくて参加できなかった人が子供を寝かしつけた後で参加したり、外出を控えていた妊婦さん、仕事が忙しくて参加できない人が内職しながら参加をするなど、普段飲みに行けなかった人と飲めることも増えました。


ただし、これらは実際に飲んだことがある人です。私は、仕事など知り合った人を自身の交流会に呼んで話したりすることもありますが、まだオンラインではそのような試みはしていません。この項で紹介した参加してくれたメンバーは、過去に交流会に来ていたり、交流会には来ていないがこれまで別で会ったことがあるような人が前提なので、マネするときは注意して下さい。



 5.    メリット②:話がじっくり聞ける

デメリット③で、全員が同じ話題に向き合うことになるので、隣のテーブルについて気にしなくてよかったオフラインの飲み会に比べてオンラインは大変だったと書きましたが、その一方で全員が同じ話題をするからこそ、隣のテーブルで盛り上がっているけどなんで盛り上がってるかわからない、というような事態は避けることが出来るようになっています。その集まりで交わされた会話についてはもれなく把握できるようになる、というのがオンライン会議の強みだと思います。



このようなメリット、デメリットを踏まえて、現在私が実施している会議のスタイルは以下になります。

■工夫1 開催時間 入退時間自由なセッション

人によって短い時間でも参加できるように、入室、退室の時間は自由とします。ただし自由と言っても自分から言い出しにくい人もいるのでセッション制を導入します。


まず、具体的に私が流した案内から抜粋すると以下のようになります



  • 2020年5月*日 オンライン会議スケジュール
  • 19:20開場 接続可能です
  • 19:30-20:00 第1セッション
  • 20:00-20:30 第2セッション
  • 20:30-21:00 第3セッション
  • 30分ごとに退出するように声をかけますが、どこからでも参加&退出して下さい。



あらかじめ、区切りがあることを明言し、時間が来たら会話を強制的に止め確認します。


抜けたいなと思っている人は抜けやすくなるとともに、後半からの参加者の入るタイミングが揃うようになり、自分一人だけでなく複数のメンバーが入ることで、自己紹介などスムーズに行えるようになります。



工夫2 参加人数について

私自身、話を振りながら会話を進行できるのは5~6人くらいといいながら、現在は10人以上で組んでいます。


がっつりと議論をしたくて、そのような人を集めるのであれば制限は必要かと思いますが、他人の話を聞いているだけで楽しめる人や、仕事の片手間に参加してラジオを聞くように楽しんでいるような人であれば、増やしても特に問題はないでしょう。ほとんど発言していないのに、自身からまた呼んでくださいと声をかけてくるような人がそれにあたります。それぞれのメンバーの個性を踏まえて人数を調整しましょう。



工夫3 飲み物・食べ物について

ここまで触れてきませんでしたが、飲み物・食べ物について記載します。オンライン飲み会というとそれぞれで飲み物やご飯を用意する、というイメージが多いですが、もともと異業種交流会として位置付けている私の会議では特に制限や強制はありません。事前に飲食の用意は自由と伝えることで、食べ物やお酒なしでの参加も許容しています。私自身ホスト役をすると食べる暇はありませんし、それぞれがマイク等注意することで咀嚼音が問題になることも特にありません。喉を潤すソフトドリンクくらいあれば十分なので、食べ物などに関しては、メンバー同士統一させる必要はない、というのが私の考えになります。

これらがオンライン飲み会を行う上での工夫になります。


オンライン飲み会は、単にオンライン接続で飲み会を開くのではなく、競合はむしろ電話やチャットというようなコミュニケーションであり、今まで以上に相手のプライベートの大事な時間を奪っている、という自覚をもって取り組む必要がある場となりますので、オンライン飲み会に挑戦したいと思っている人は、それらを意識して開催してみてください。



プロフィール
Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー

電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。




パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得