第14回  オフラインコミュニティー(2020年総括-Zoom飲みを頑張った人の話)

21.01.14 02:01 PM By s.budo

2020年総括-Zoom飲みを頑張った人の話

https://www.digitaltrends.com/computing/tips-and-tricks-for-your-zoom-happy-hour/
これまで私は趣味と実益を兼ねて、自身の知識と見聞を広げるためにオフラインでの異業種交流会を続けている、という話をしてきました。しかし、このコロナ禍の中では、直接会うことが難しかったため、この数か月はオフラインでの交流会、いわゆるZoom飲みに移行してきました。

今回は2020年の総括としてZoom飲みを振り返ってみたいと思います。


因みに、洋の東西を問わずZoom飲み会は「Tips and tricks for your Zoom happy hour」を一例に、海外サイトでも多く目にしました。

Zoom飲みへの移行

私が最後にオフラインでの飲み会をしたのは3月上旬。その頃すでにコロナの話は出ていたため、体調不良者は参加しないというルールで開催し、実際2名が発熱はないものの咳があるという理由で欠席しました。その後コロナが拡大し、自身の主催するイベントから罹患者を出してはならないと決め、Zoomを契約。緊急事態宣言が発令される直前の4月4日から第一回目のオフライン飲み会を実施しました。


ちなみに、記念すべき第1回はなんと、海外へ移住したオフ会の常連3名、海外への留学経験のある常連1名、海外へ移住したばかりの会社の元後輩1名とZoomの良さを全開にして会議を行いました。テーマはフリーでしたが、久々に連絡をとった仲間のためお互いの近況を報告することで会話は進み、1回目はかなりイレギュラーな催しとなりました。


その後はそのような海外とつなぐようなことはなく、第2回目以降は普段のオフ会の舞台をオンラインに替える形で取り組みました。

Zoom飲み会移行 前期:緊急事態宣言~7月

Zoom飲みに移行してまず感じたのは、Zoom飲みのハードルの高さです。

当初、家は居酒屋よりも距離が近いし飲み物食べ物のコストも安いから参加者は多いだろうと思っていました。確かに、安くて近い居酒屋であれば、普段の居酒屋よりも魅力的でしょう。

しかし、メンバーは家を、近くてコスパのよい居酒屋とはとらえられておらず、あくまで家(プライベートな場所)としてとらえており、誘うのは困難でした。

これまでは家に入るまでの時間を参加者から割いてきましたが、家にいる時間を割いてもらうのは大変でした。オンラインへの抵抗感も重なったため、「家族が家にいるので参加できません」「オンラインでの会話は苦手です」というような至極まっとうな断りをいくつか受けました。そのため、遠方で普段なら物理的に会えないメンバーを積極的に取り入れ、会を維持しました。

物珍しさも重なり、この頃までは普段通りやそれ以上の参加者を維持しながら開催してきました。

Zoom飲み会移行 中期:8月~10月

8月を過ぎ、感染者数の増加もあったものの緊急事態宣言が再び出されることもなかった夏ごろ。開催してもいつもより人数が集まらない状態になってきました。Zoom疲れもあったと思いますが、以前よりも社会が人と会いやすい環境になったことで、直接会えることに対して、オンラインのつながりがあまり魅力的に感じなくなったのだと思います。Zoom飲みって実際盛り上がるんですか?という質問を受けたこともありました。この頃は、てこ入れのために、何か具体的なテーマを設けて開催するなどの取り組みを行いました。

Zoom飲み会移行 後期:11月~ 第三波到来

参加者が減りつつあった飲み会のてこ入れのため、いろいろなテーマで飲み会を盛り上げてきましたが、元々は何も用意せず気楽に見返りを求めないメンバー同士での雑談がメインだったので主催者の私が疲れてくる頃でした。そこで思い切って、過去のオフ会のように何も考えずにフリートークで開催したところ、参加者が上昇しました。


個人的な推測ですが、コロナの第三波の影響でしょう。冬季に入り活発化したコロナの前に自粛の空気が高まり、不要不急の外出がしづらい環境の中において、不要不急の集まりの価値がぐっと上がったのではないかと考えています。ここにきて緩い集まりであることが強みになったのではないかと思います。
ここまでは私の所感を中心に振り返ってきましたが、ここからは実際のデータで振り返ってみます。


過去2年分込みで4月~12月の開催状況を振り返ってみます。
2018年 2019年  2020年
 ①4~12月の開催数10回9回13回
 ②のべ参加人数56人59人87人
 ③重複なしの参加人数38人36人47人
 ④③のうち新規参加した人数14人12人8人
 ⑤1回あたりの参加者(②÷①5.6人6.6人6.7人
 ⑥③÷①3.8人4.0人3.6人
 ⑦新規参加者の割合(④÷③)37%33%17%

開催数

2020年が一番開催回数の多い年となりました。

2020年については4~8月までの開催数が特に多く、開催回数を押し上げました。オンラインだから開催しやすかったとみることもできるかもしれませんが、どちらかと言えば前半は単に物珍しさから気合を入れて開催したことが原因だと思います。

参加人数

続いて参加人数を比較してみます。開催数は違うので1回あたりを参加者数で比較すると以下になります。

平均的な参加人数は2020年が若干高いように見えます。各月の参加人数の平均を示したのが次のグラフになります。人数がない月は開催がなかった月となります。

こう見ると2020年は人数の変動が多く、冒頭の所感で書いた通り、4~7月までは参加者が多く、8~10月では人数が減り、後半でまた参加人数が増えています。

参加人数(重複なし)÷開催数

1回あたりののべ参加人数ではなく、重複なしでの参加人数を開催数で割ったものが以下です。

この値は、高ければ高いほど、より多様な人を交流会に誘っていたといえる数値になります。あまり大差はないようにも見えますが、TV会議の良さを活用し、遠方から参加者を募ったにも関わらず2020年が最も値が少ないというのは、オンラインという環境下ではメンバーが偏っていることを示唆しているとも言えます。


物理的な距離を抜きに、オンラインの飲み会でなければ参加しないというような人はわずかで、大半はオフラインの飲み会を好む人の方が多かった結果を反映していると思われます。

新規参加者の傾向

参加人数(重複なし)に対する初参加者の数を表したのが以下の値になります。

2020年はぐっとその割合が下がっています。


やはり、いきなりオンラインでの飲み会に誘うというのは難易度が高く、それが結果として現れたと思います。この会を開催する以前から知っていた人でなくては誘うのは難しく、そうでない状態で誘えたのは一人だけでした。遠距離だからこそ誘えたメンバーもいますが、オンラインというのはなかなか人と打ち解けるのは難しいものだと実感しています。

総括

以上の振り返りから、2020年のオフラインとオンラインの特徴は以下のような位置づけとなります。

開催頻度オフライン<オンライン
参加者数オフライン≒オンライン
参加者の多様性オフライン>オンライン
新規メンバーの勧誘オフライン>オンライン

上記の項目だけ見るとやはりオフラインの方が、深く結びつくコミュニティとしては優れていると言わざるを得ません。ただ最近はオフラインの方が優れているからオンラインは参加しないではなく、オフラインの方はいいのは分かっているが、それにこだわって交流の機会を失うのは避けたいと思う参加者も増えてきておりますので、来年はオンラインの制約の中で、その良さを最大に発揮できるように取り組んでいきたいと思っています。

この総括に関連して以下の書籍を見つけました。




プロフィール
Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー

電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。


パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得

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