第8回 オフラインコミュニティ 「覚悟」を決めた人の共通点

20.02.06 10:34 AM By s.budo

「覚悟」を決めた人の共通点

私はこれまで異業種交流会で、新旧問わずビジネスを立ち上げてきた人と交流してきました。
今回は、その中で彼らに共通していた要素について話したいと思います。


私はこれまで会社の中で、組織内の新規事業創出に向けたプロセスの構築に携わってきました。社内やグループ会社へ向けた教育もしました。
教育をするとき思っていたのは、根性や気合は非常に効率が悪いということ。そのためしっかりと考えるためにまずは理論がなければいけないと思い、教育法や最新の理論の導入など様々なことをしながら指導方法を考えてきました。

そのためにビジネスや実績を積み上げた社外の人たちから何か盗める者はないかと異業種交流会を立ち上げ情報を収集してきました。

しかし、ビジネスを立ち上げてきた人と会ううちに、彼らが理論を越えたものを持っているのではないかと思うようになりました。経験や感性といったものも重要ですが、それらとはもっと別の存在を感じています。


概念として、どのような言葉をあてるかは難しいのですが、私はそれを「覚悟」と呼んでいます。
ビジネスを立ち上げなければならないと本人を突き立てる衝動、そういったものがあって初めて理論や経験、感性が生きると。
理論なんて成功を支える1割未満のものでほとんどはこの「覚悟」ではないかな?と思っています。



他の人の言葉を借りれば「原体験」「パッション」「好きなことを仕事にする」というような言葉が近いのではないかと思います。

その本人を動かす動機について、具体的に見ると千差万別で「自分自身も抱えている問題を解決したい」といった課題解決型の気持ちや、「この技術で世界を変えたい」というような手段先行のものもあれば「自分のイメージを形にしたい」「こだわったものを作りたい」というアーティスティックな思いや、「地元に早く帰りたい」「早めに引退して遊びたい」というような個人的なものなどさまざまあり、同じ理由でも人によって「覚悟になったりならなかったりと複雑です。
ただ、そういった気持ちが理論を上回る場面を多くもった人たちに会ってきました。


先ほど、根性や気合は非効率的だと書きましたが、「覚悟」とは根性や気合、また責任感といった言葉とは全く別物です。いや、成功したのは責任感が強いからだ、ということもあるかもしれませんが、その責任感の強さにはきっと本人を突き動かす源泉となる強烈な重みがあると思います。


どんな優れた理論もかすんでしまうような強烈な「覚悟」の存在をどのように伝えるかということに長年悩んできましたが、最近それを簡単に紹介する事例を見つけたので、それについて書いてみます。
それは日本テレビで放映されている「ザ!世界仰天ニュース」で不定期に放送されるコーナー、「仰天チェンジ」です。
投稿してきた視聴者の、過去に一番太っていた時期と現在のギャップがいかにすごいかを実際のエピソードを踏まえて紹介するコーナーなのですが、そこに私の表現したい「覚悟」というのが分かりやすく表れています。


紹介エピソードの中で、ダイエット方法はそこまで詳細に説明されません。一応運動したとか、こんにゃくを食べたとか、においでごまかした、など出てくるのですが、そこが成功の要因として紹介されていません。
このコーナーが焦点をあてて、エピソードの軸にしているのは、本人が絶対に痩せてやると決めた強烈な経験であり、それこそ私の言う「覚悟」にかなり近いのです。

紹介される経験は、毎回人によって違いますし、非常に滑稽な理由もあります。ただどれもが本人にとって本気になれる体験であり、ダイエットに目覚めるスイッチを入れる経験となり、最終的に成功させる下りは、私が言語化に苦しんだ「覚悟」をよく表現しています。


それぞれのエピソードを見ればダイエットの経験は、ダイエットの手法ではなく、本人をその気にさせた経験であり、それが私の言う理論を越えた「覚悟」という存在なのです。


人気コーナーのようで、定期的に開催されているようなのでぜひ見て、私の言う「覚悟」を感じていただければと思います。

私は、現在も70回を超える異業種交流会を継続させています。
この継続にも二つの「覚悟」があり続いています。


一つは、「覚悟」がある人に知識や経験を届けるためです。

これまで異業種交流会の中で、多くの成功者と会い、その「覚悟」を目の当たりにしてきましたが、それと同時に彼らとの対比から自分自身にはその「覚悟」がないと痛感してきました。そして、異業種交流会が盛んになるにつれ「覚悟」がない自分に、なかなかの経験や知識がたまっていることに焦るようになったのです。
「覚悟」を持って取り組んだ人の貴重な経験や知識が集まっているのに、「覚悟」のない自分では使いこなされず無駄になっているという焦りです。そのため「覚悟」がある人を見つけるとその人に対して、適切に知識や経験を届けなければならないと思い、現在の会を続けています。
自身の会には優れた人を呼び何か学びたいと思う一方で、優れた人が伝えてくれるものを無駄にしないようにそれを受け取れる優れた人を呼びたいと思っているからです。

It`s never too early, or never too late, it's your timing, 
not those who discriminate!!!

そして二つ目は、「覚悟」がない人のための場を作るということです。

私は成功するためには「覚悟」が必要で「覚悟」がなければ成功しないとも思っています。だからといって「覚悟」がない人を成功しない人と判断しようとは思いません。「覚悟」がなければ交流会に呼ばないとも思いません。誰かに会うことで潜在していた「覚悟」が、知覚できる具体的な「覚悟」になり、またゼロから「覚悟」が生まれるのではないか、と思います。


この二つの理由は自分自身の悩みであり、交流会を継続して開催したいと思う「覚悟」となっています。

みんなが呼んでほしいと思ううちは続けようとか、人に会うのが楽しいから開催しようでは、70回を超える会を続けることは出来なかったのではないかと思います。
プロフィール
Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー

電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。


パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得

s.budo