発言の表面だけを見ていても本質はつかめない
議事録でしっかり確認してあるのに「それは、そういう意味じゃない」などと上から目線で言われます。打ち合わせのたびに追加と変更を繰返して、結局、最初に戻ってしまうこともあります。依頼を受けた側としては、「今まで、何だったの?」。まさに不毛なやりとりです。今までの時間と労力を返してくれと言いたくなります。当然です、しっかり考えて作っているのですから。
指示がコロコロ変わる理不尽な顧客とか上司の場合、感情的になっても意味がありません。当の本人は、その場・その場で一生懸命です。目の前に置かれた企画書や提案書を見て、その場で頭に浮かんだ「ここが違う・これを追加して」と言うのです。それまでの打ち合わせで何を指示したのかには興味がありません。記録していません。覚えてもいません。その結果、言うことはがコロコロと変わると感じられてしまうのです。それを指摘しても、自分は正しいし一貫性を持って臨んでいると本気で思っています。こういう人ばかりではありませんが確実に仕事の現場にはいます。自分でしっかり考えないで、思いつきのアイデアで新規事業や業務改善をしようと他人を巻き込んでリーダーシップを取ろうとします。でも、しっかりした旗頭を示せないので途中で投げ出すこともあります。若い頃に、これに何度も悩まされました。これに対処するには議事録をしっかり作ることです。でも、これは保身にはなりますが、根本的な解決策にはなりません。
図1 発言がコロコロ変化する構造
コロコロ変わる根本原因は?
なぜ、指示がコロコロ変わるのか、その根本原因を理解して対処することが必要です。
図1の氷山モデルを使って考えてみます。
行動や発言は、氷山の上にでた現象でしかありません。行動がコロコロ変り、発言に一貫性がない原因は、水面に近い表層部分の「何を(What)・どのように(How)」に影響されるのです。「何を」→「どのように」→「行動・発言(Do)」が変化します。この「何を」→「どのように」部分は、まわりに大きく影響を受けます。
- 目の前にある環境や条件
- 自分や関係者の利害や感情
必要なことは指示や依頼を再定義すること
図2 相手の発言を考える材料とする