WEリーグが牽引 2021年後半に進む女性活躍マーケット

21.06.07 06:19 PM By s.budo

2021年9月に女子プロサッカーリーグ・WEリーグがスタート

2021年9月に女子プロサッカーリーグ・WEリーグがスタートします。

Jリーグの女性版だと想像してください。全国の11クラブが女子プロサッカーの日本一を争うリーグ戦を展開します。
WEリーグはWomen Empowerment Leagueの略称です。
この名称には「私たちみんな(WE)が主人公として活躍する社会を目指す」という思いが込められています。

Jリーグのチェアマンに相当するチェアは岡島喜久子さん。Riggs Bank、メリルリンチ等の金融機関に勤務した経歴を持ち、現在も米国に居住。WEリーグの理事会にはリモートで参加されている国際派女性です。
WEリーグの開幕は、日本の社会を大きく変える起爆剤となるかもしれません。
名称から分かるように、このリーグの名称は「サッカー」よりも「女性」「私たち」の意味が重い。ここに強い意志を感じるのです。
事実、WEリーグの設立意義は、このように書かれています。1番に書かれている項目にご注目ください。

設立の意義

1. 日本の女性活躍社会を牽引する。

2. 日本に「女性プロスポーツ」を根付かせる。

3. 日本の女子サッカーの発展に貢献する。

4. なでしこジャパンを再び世界一にする。

WEリーグの理念

女子サッカー・スポーツを通じて、

夢や生き方の多様性にあふれ、

一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する。
ところで、サッカーといえば、やはりJリーグです。
このJリーグが開幕したのは1993年5月。それ以来、大きく日本社会を変える影響を及ぼしてきました。

Jリーグは「Jリーグ百年構想 〜スポーツで、もっと、幸せな国へ。〜」というスローガンを掲げてスポーツ振興に取り組んできました。
「地方創生」という単語も概念も一般的ではなかったバブル崩壊直後から「地域密着」「地方振興」の価値づくりを実践。
下記のような効果を生み出し、地方を元気にしていきました。

Jリーグが切り拓いた地方の時代

●地域ブランド、地域のアイデンティティを創出した。


●スポーツツーリズムを生み出し地域の交流人口やつながり人口を拡大した。


●民間による地域振興施策の実践「民活」を率先した。
Jリーグがなければ、プロ野球は地域密着に転じませんでした。
プロバスケットボール・Bリーグは生まれませんでした。
市町村が「シビックプライド」の確立を競うこともありませんでした。
観光庁が「住んでよし、訪れてよしの国づくり」に取り組むこともありませんでした。

強い意志を持ったスポーツには、社会を変える力があるのです。


さて、話をWEリーグに戻します。
WEリーグもJリーグと同様に強い意志を持ってスタートします。その影響力で、2021年末には、さまざまな企業や機関が変革を迫られると予想します。


既にWEリーグは、国連グローバル・コンパクトと、UN Womenが共同作成した「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」へ参加しています。また、JFA女性リーダーシッププログラムも始まり、サッカー界、スポーツ界をけん引する女性役員、経営人材を養成しています。

プログラムは
「ジェンダーと自己理解」
「マインド改革」
「経営リテラシーの獲得」
等のテーマで構成されています。

女性活躍を率先する役割を果たしつつあります。

Femtech(フェムテック)プロダクトや サービスを提供する企業・fermata株式会社の佐々⽊裕華さんは、このように言います。

「⼥性たち⾃⾝が変わることよりも『社会が⼥性を⾒る⽬』が変わるような期待をしています。
実際、WEリーグ参⼊基準に『⼊会から3年以内に運営法⼈の役職員の50%以上を⼥性とすること、役員の少なくとも1⼈以上を⼥性とする』とあることに明確な意志を感じました。


これは J リーグクラブの例なのですが、⽇本には⼥性の役員雇⽤が進まない地域がいくつも存在していて、その地域のクラブの⼥性社員が役員になり、地⽅新聞に取り上げられることで地域全体の⼥性昇進が進む、といったことを期待されている例も複数あると⽿にします。」

2022年4月1日から改正女性活躍推進法が施行されます。行動計画の策定や情報公表の義務となる事業主の範囲を常時雇用する労働者数101人以上の事業主までに拡大されます。法律の施行は2022年ですが、その機運は、WEリーグの人気と連動して高まるはずです。

2021年のうちから、女性活躍拡大のムードが、じわじわと拡大していくことを留意して、各企業は施策導入の計画を早める必要があるでしょう。

プロフィール

石井和裕


2006年~2007年女子サッカーモックなでしこリーグ冠スポンサー、全国高校女子サッカー選手権スポンサー、全日本大学女子サッカー選手権スポンサー担当者。現在はWE Love 女子サッカーマガジン主筆。サッカー関連以外では、観光振興ビジョン等、観光庁、農林水産省、地方自治体による地方創生の業務、子育てサイトのSNS運用や調査等、子育て環境支援の業務等を行なってきた。

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