デジタルトランスフォーメーション 第2回

19.06.13 12:16 PM By s.budo

中小企業に見るデジタルトランスフォーメーション(DX)の超克(中編)

前編では、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation; DX)における国内の取り組み状況を概観し、中堅・中小企業における特有の課題を整理しました。
中編では、中小企業A社の事例を参考にKeyword1~4についてご説明させて頂きます。

【Keyword】
  1. オンライン予約システムの導入
  2. サービス開発による予約件数の向上、収益化
  3. データの蓄積、一元化
  4. データ分析による効果的なマーケティング施策
  5. 業務の現状・問題点分析による新業務フローの確立
  6. 働き方改革
  7. IT投資

オンライン予約システムの導入

オンライン予約システムは、さかのぼる事30年余前、ITが収益に寄与した(戦略的情報システムの)代表例の1つであるアメリカン航空の座席予約システムに始まり、その後、旅行先のホテルやレストラン、セミナー、イベントチケット等、様々な業態の予約ニーズに対応する形で拡大し、インターネットの普及とも相まって大きく発展して今日に至ります。(図はbooking.comより転載)

30年前には、数百億円を投資して構築された座席予約システムですが、現在では、小規模なホテルの部屋数やレストランの席の予約には、リーズナブルな月額価格で導入可能なオンライン予約システムが、国内外の1,000を超えるSaaS(Software as a Service)ベンダーより提供されています。
今回のA社のシステム導入検討に当たり、SaaS候補の絞り込みに、SaaSベンダー情報をグローバルにカバーする米国の比較ポータルサイトG2 Crowd(https://www.g2.com)とGetApp(https://www.getapp.com)を参考にしました。

国内ベンダーからも様々なSaaSが提供されていますが、SaaSビジネスは、「global supply advantage drives scale benefits」の特性から、国内市場のみを対象としたSaaSは価格、機能、セキュリティ面から二の足を踏みました。国内に拠点を有しない海外ベンダーを採用する場合、英語によるサポートやシステムの日本語対応等に一抹の不安を感じますが、一方で、豊富な導入実績に裏打ちされた高品質のサポートや最新機能の提供等が期待できます。

数社を検討した結果、今回は以下の評価選定ポイントよりカナダに本社を有するCheckfront社(https://www.checkfront.com)のオンライン予約システムを採用しました。(図はg2.comより転載)

【評価選定ポイント】

  • 特殊な予約形態にも対応できる柔軟なカスタマイズ性
  • 個別システムや他のSaaSと連携が容易なAPI開発環境
  • グローバル、かつセキュアなクラウドシステム環境

サービス開発による予約件数の向上、収益化

オンライン予約システムは、現在、様々な場面で利用可能となっていますが、システムでの予約はID登録に始まり、各条件選択~指定・確認~申込処理等の手続きを要し、PCやスマートフォン操作に不慣れな方や予約頻度が少ない方にとっては電話予約よりも面倒であり、全ての顧客がシステムを利用する状況には至っていません。それでも多く場合、予約システムの導入により予約件数が向上するのは、


  1. 24時間の予約受付、
  2. リアルタイムの空室状況確認による予約機会の最大化(チャンスロスの低減)、
  3. 予約後~利用日まで自動連絡メールによるキャンセル率の低減等 


が理由となっています。

因みに、「東京2020大会」のチケット予約は、最寄りの窓口や電話での対応はなく、インターネットのみの予約受付でしたが、多くの競技を申し込みたい方にとって当予約システムの使い勝手はいかがでしたでしょうか?

データの蓄積、一元化

人気のあるチケットや商品、サービス等、一部のコンテンツを除き、現在でも、オンラインと電話受付を併用する所が多く存在しますが、重複予約受付や予約確認漏れ、キャンセル料の請求漏れなどを防ぐ上で、運用上、データの蓄積、一元化が必要となります。
電話受付した予約データを、顧客に代わって受付担当者がシステム登録する作業が増えることになりますが、(見方を変えれば、受付担当者の予約データ登録作業を、顧客自らが行っているとも言えますが。)着実にデータ蓄積、一元化を行うことで顧客関係管理(CRM)システムを整備することが可能となります。
大手ECサイトでの買い物に前後して販促、確認、レビュ投稿勧誘等、様々なメールが届く(コミュニケーション)きますが、これらのメールはCRMよりほぼ自動的に送信されています。

データ分析による効果的なマーケティング施策

CRMで、よりきめ細かな顧客対応が可能になりつつある現在、注目されているマーケティング施策の一つにダイナミック・プライシングがあります。ダイナミック・プライシングは、ご存知の通り、スーパーの生鮮や量販店における値引き商品やポイント還元、また、繁忙期における航空料金や宿泊料金の大幅値上げ等、需給に応じて価格を変更することで売上げの最大化、または在庫圧縮を行う価格戦略の1つです。
これ事態は特に目新しいものではありませんが、CRMによって膨大なデータの分析から購入意向を持つ(需要の高い)“個”客に限定した(プレミアム)価格を自在に設定・管理できる段階を迎えたことで、その戦略的な活用が企業における重要な差別化ポイントになってきています。
商品・サービスのデジタル化を推進するデジタルトランスフォーメーション企業にあってCRMの展開は、マーケティング管理のMA、営業管理のSFAとの業務連携も含め、とても重要なテーマとなっています。

第3回(後編)では、Keywordの5~7をご説明させて頂きます。