NYノマド:第1回 NYのホリデーシーズンと白熱するショッピング戦争_ part.1

19.01.21 04:17 PM By s.budo

人の心を扇動する巧妙なマーケティング ノマドマーケター at NY

体当たりのNYライフ!、"大恥かきながらなんでも体験”をモットーに


みなさん、こんにちは。

私はメーカー、エネルギー業で行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、起業しました。が、夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(マンハッタンの対岸のニュージャージー州在住です)に昨年末に移住しました。現場の観察や顧客のリサーチを生業としていた身とすれば、この絶好の機会、徹底的にNYを観察し尽くしかない!と開き直り、異文化の生活にどしどし飛び込んで、”大恥をかかないと何もわからない”をモットーに、自分の肌で体感してみたいと意気込んでいます。そしてこのコラムではノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいNYのトレンドや最新情報、インサイトを綴り、私の心の声とともにお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します!


懐と頭を悩ますホリデーシーズンのギフト選び


さて、2019年のNYの年明けは大雨で始まりました。1月は日本もお正月の初売りや新春セールで賑やかな時期ですね。 アメリカでは11月のサンクスギビングデーに始まり12月のクリスマスまでが一大ホリデーのシーズン。


アメリカではクリスマスシーズンには日頃お世話になっている人にギフトをプレゼントする習慣があります。日本のお歳暮のようなものでしょうか。例えば、会社の上司、習い事の先生、そしてマンションやアパートのコンシェルジュ(管理人さん)に渡すようです。引っ越しして間も無く、私たち家族が住むアパートメントのフロントにも、コンシェルジュと掃除などを担当してくれているスタッフの名前が一覧されたレターサイズの紙が置かれ、その個人宛に直接ギフトを送る仕組みになっています。名前のリストは10人ほど。さて、引越したばかりの私たちもコンシェルジュに渡すべきかどうか、どのくらいの金額の、何を渡すのだろうかとウェブで検索してみたり、主人の職場仲間に聞いてもらったりしましたが、ギフトカード(金券)や現金をだいたい数十ドルから100ドル程度、メッセージカードに挟んで渡すとのこと。なんと!10人全員に渡したら、なかなかの金額になるではないですか。悩んだ挙句、主人の同僚からのアドバイスをもとに、引っ越したばかりだから年間分を滞在した月で割った金額を、日中もっともよく会い、荷物の受け取りなどをしてくれる数名のコンシェルジュによろしくの意味を込めて渡そうという結論に至りました。なるほど、この時期近所のスーパーやドラッグストアでは、VISAやAMEX, Google Play、Amazon、子供服ブランドやH&Mといったファッションの特定の小売店のギフトカードがたくさん売られており、かなりなくなっている光景に出くわしたのを思い出しました。一番売れていたギフトカードは、、、Amazonでしたね。メッセージカードも、ギフトカードが挟めるように、カード内に切り込みがありました。日本でもコンビニエンスストアなどで、Google PlayやAmazonのギフトカードを取り扱っていますが、誰がどんな目的で購入するんだろう?と思っていました。が、アメリカのこの贈り物の慣習から来ていたのかと妙に納得しました。


ブラックフライデーとサイバーマンデーの本場に見る、これでもかプロモーションのあれこれ


ショッピングでは、ホリデーシーズンの中でもサンクスギビングデーの翌日金曜日のブラックフライデーの小売店の大規模セールを幕開けに、その翌月曜日は同様にサイバーマンデーと称し、オンラインショッピングのセールが華々しく催されます。2018年のこの時期の消費データがAdobeから発表されていましたが、$7.9 billion(1ドル110円換算で約8690億円!)に達し、記録的な売上となったようです。

この時期にMacy’sのデパートやブランドショップ、Amazonなどのサイトを開くと、いやはや、ポップアップの嵐です。そして、消費をあからさまに煽るような仕掛けがたくさん施されています。

        

ちょうど、引っ越して来たばかりで、物が入用の時期だった私は、いろんなオンラインショッピングのページをよなよな眺め、家具や生活用品を探していましたので、一消費者として、その様々なオンラインマーケティング戦略にはまったわけであります。

例えば、あるショッピングサイトでは、「最大60パーセントオフで買えるサイバーマンデー終了まで、残り◯◯時間××分」、というカウントダウンがトップページの一番上に表示され、ああ、あと残りこれくらいの時間でセールが終わってしまう、早く買わなければと煽られます。また、ホリデーシーズンに限らず、こちらではどこのオンラインショッピングサイトでもよくあるのですが、ポップアップで、「今あなたのメールアドレスを登録したら、初回の購入限定で購入金額の15%オフがゲットできますよ、ただし48時間以内の購入限定」とメールアドレスの登録を促されます。日本でもAmazonには日用品などで日頃からお世話になっており、オンラインショッピングもかなりしていた私ですが、ポップアップだけはかなり嫌いで、必ず無視していました。が、「このタイミングでメールアドレスを入力しておかないと、ポップアップがなくなったり、このサイトで購入することになったときに、チェックアウト時に忘れてしまうかもしれない!」という不安に駆られ、出て来た瞬間にメールアドレスを入れてしまっていたのでした。。。その結果は、大量のプッシュ型プロモーションメールがメールボックスに溢れております。 


オンラインだけではありません。この時期は、自宅の郵便ポストに大量のクーポンが送りつけられます(左写真)。これらのクーポンは安くなる金額もそこそこ大きいので、なかなかすぐにゴミ箱に捨てることができない私がそこにいます。日本でしたら、通販ショップから送られてくるハガキは500円オフ、多くて1000円オフでしょうか。それと比較して、バス用品やキッチン用品を主に取り扱うBED BATH AND BEYONDでは、購入金額の20%オフです!気がつけば、BED BATH AND BEYONDのオンラインショッピングサイトを開いて、さて、どんなものが、いくらくらいで売っているのだろうかと見始めてしまうのです。バスマットや必要な調理器具を一通りチェックし、Amazonサイトで価格をチェックし、20%オフの金額が安いかどうかを確かめ、20%オフクーポンを適用したショッピングカートをクリックするのでした。そして数日後、、、クリスマスが過ぎた翌週には、再度BED BATH AND BEYONDの20%オフクーポンが郵便ポストに入っており、常に表示価格は2割り増しになっているのではないかと疑いたくなりましたが、結局クーポンは捨てずにとってあります(ちなみに、BED BATH AND BEYONDでは、年間29ドルを支払うと常に20%オフかつ送料無料というメンバーシップサービスす)。

わかっていてもひっかかる理由


さて、まんまと戦略にひっかかった私ですが、これらのマーケティングの共通点はなんでしょうか? 
一つのキーワードは行動経済学です。これらのマーケティング戦略にはダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱された理論である"損失回避性 "が巧みに利用されています。損失回避性とは、 "人間は利得よりも損失の方が2倍強く感じる" という人間の心理傾向です。
そして、二つ目のキーワードは低コンテクストです。アメリカはご存知の通り、移民の国です。様々な人種、国籍の人が集まってできている国です。​

この2つのキーワードを、Part.2後半で読み解きます!
Columnist

Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。