Part2. 子ども向け玩具店CAMPとコロナ禍
―オンラインをフル活用した体験の提供
以前第14回のコラムでご紹介したニューヨークを中心に子どもの玩具店を展開するCAMPは7月から店舗営業も再開しています。
しかしながら、コロナウィルスのパンデミックで物理的店舗を通じて顧客におもちゃだけでなく遊ぶ体験を提供するということが困難な状況下で、次々と次の一手を展開しています。
ウォルマートと提携し、ウォルマートのアプリでCAMPが提供する子ども向けのクラフトやアート、歌、運動などのレッスンをバーチャルコンテンツで提供することを初めています。
このことを知ったのは娘が迎える誕生日向けにバーチャルバースデーパーティを無料で提供することを知らせるメールをCAMPから受け取ったからです。普段よほど興味がない限り、広告と思われるメールは開封しないのですが、この送られてきたメールはキャンプの会社の個人名からのアドレスと、娘の名前を含むバースデーパーティのタイトルが記載されており、思わず、開封してしまったのです。
申し込んだオンラインバースデーパーティの3日前に、誕生日の子ども用のZoomリンクと、ゲスト用のZoomリンクがメールで送られてきて、子どもにバースデーソングを歌うときに何かキャンドルや小さなプレゼントなどを用意してもらえると盛り上がりますよというような説明がありました。仲の良いお友達にもリンクを送り、いよいよ、当日を迎えます。

無料のオンラインバースデーパーティですが、5人ほどの誕生日を迎える主役の子どもたちのほかに、CAMP担当スタッフ、パーティ司会とパペット、そしてマジシャンが登場。
パペットはなんとセサミストリートの制作チームと連携して提供しているもののようで、なかなかの本格派。
主役の子どもたちをスライドで子どもの写真とともに、事前にメールでお知らせした内容が持ち込まれたバースデーキッズの紹介がされました。
子どもたち一人ひとりに名前を呼びかけ、「素敵なダンスを踊って見せて」や「変な顔できるかな?」といったように声をかけながら、巻き込み、アメリカではここ最近オンラインミーティングやオンラインラーニングで定番になりつつある、アイスブレイクの一つ、"スカベンジャーハント"を実施。
これは、宝探しゲームのようなもので、あるお題が出され、それを家の中で見つけてくるというものです。
娘の学校の遠隔授業でもよくやられていたのですが、例えば、リサイクルを学ぶ授業で、「今家の中にあるリサイクルマークがついているものを見つけてきて」というお題が出され、それを家の中で探して、オンラインミーティングの画面上に見せるというものだったり、食べ物の授業で、「栄養がある食べ物を見つけてきて」というようなミッションであったりでしたが、子どもたちは大好きで、真剣な顔で家中を探し回り、誇らしげに見つけたものをスクリーン画面で見せるという、自宅にいながら、オンラインで繋がり、共に学んだり、楽しむのにうってつけのアクティビティです。
今回はクイズ形式で、「毎日2回、使うもの。これをすることで、とってもきれいになって、虫歯がなくなるよ。これなあに?」といったお題が出され、それを家の中から取ってきてスクリーン画面で見せるというようなことを何問かやりました。
子どもたちはみんなノリノリです。

そして満を持して、メインのエンターテナーが登場。
なんと、マジシャンでした。
子どもたちはこのマジシャンのユーモラスなトークとマジックに大いに魅せられ、始終、大笑い。参加してくれた娘のお友達も、これは楽しかったと大満足でした。
最後にハッピーバースデーの歌を皆で歌い、ダンスをしてフィナーレ。30分程度と事前に告知があったオンラインパーティですが、終わってみると50分間のボリュームでした。
これで無料というのはなかなか素晴らしいサービスだと、娘の友人の親たちにも大好評でした。
CAMPにとっては、なかなか物理的な店舗に来てもらうことが難しい中で、顧客との関係性を作り、継続するとともに、バースデーキッズの友達や親も参加するオンラインパーティで、新たなポテンシャル顧客に広告したり、見出す機会ともいえますし、新規に始めたオンラインパーティサービスのお試し、広告の機会にもなっているのでしょう。CAMPのコンセプトである、"Family Experience Store(家族体験型店舗)"をオンラインで実現し、さらにオンラインのメリットを生かした形のサービスを提供している同店の、オンラインでも進化し続ける攻めの姿勢に未来を感じました。
物理的な学びの場を支えるオンラインラーニング
はじめに -アメリカの学校事情
アメリカでは日本と異なり、子どもの教育においてはざっくりになりますが、大きく分けると
- 公立学校
- 私立学校
- ホームスクーリング(家庭内教育)
という選択肢があります。他にも、マイクロスクーリングという少人数の学びなどもありますが、もちろん、別の定義や弁別の方法もたくさん存在するとは思いますが、日本と比較して分かりやすいように、上記に分けてみました。