NYノマド 第30回アップステート・ニューヨークをリバイブする元ニューヨーカーたち   プロローグ

21.07.06 10:55 AM By s.budo

皆さんこんにちは。
このコラムも3年目に入り、気づけば30回を迎えることができました。ありがとうございます。

米国は6月下旬から学校も夏休みに入り、すっかり夏一色です。
ニューヨーク州では6月25日に長らく続いていた緊急事態制限が最終的に解除され、全面的にリオープンとなり、私自身もようやく外でマスク着用なしで歩ける日常を噛みしめています。


今回のコラムでは、アップステートと呼ばれるニューヨーク州の北部に、山々や牧場が拡がる地域への小旅行をきっかけに知った、都会のニューヨーカーたちとアップステートのローカルの人々との間に生まれているビジネスや、エコシステムの変化についてご紹介したいと思います。


初回のプロローグでは、米国のナショナルアイデンティティに思い至たる出来事をご紹介させていただきます。

  • プロローグ 30年ぶりに新たな連邦の祝日が誕生 ―ジューンティーンス(Juneteenth)
  • Part1.  ローカルに都会のテイストをミックスしたニューローカルビジネス
  • Part2.  手触り感のある心通った時空間を提供する小さなホテル、リノベーションした不動産販売、週末バケーションに沸くキャッツキル
  • Part3.  週末移住文化とコロナウィルスによるパンデミックが生んだ3種類の部族

30年ぶりに新たな連邦の祝日が誕生 ―ジューンティーンス(Juneteenth)

画像:ABC社ABCニュースウェブサイト、 https://abcnews.go.com/Politics/biden-signs-bill-making-juneteenth-marking-end-slavery/story?id=78335485よりスクリーンショット画像を引用
1863年のリンカーン米大統領の奴隷解放宣言に続き、1865年6月19日にテキサス州で奴隷制の廃止が宣言され、この日は"ジューンティーンス(Juneteenth)"と呼ばれるようになりました。
1980年にテキサス州の祝日となりましたが、祝日として制定した州はニューヨーク州、ニュージャージー州など少数にとどまっていたという経緯がありました。


バイデン大統領は署名式典で「ジューンティーンスを連邦の祝日にすることで、全てのアメリカ人がこの日を通じて歴史から学ぶことができる」とその意義を述べるとともに、「大統領になってまだ数カ月しかたっていないが、私にとってこれは、大統領としての最大の栄誉の一つとして語り継がれることになると思う」と語りました


テレビのニュースを観てこのことを知った私にとっても、この新たな連邦の祝日制定は、過去の痛ましい歴史を受け入れ、ともに学び、乗り越えながら未来に向かい続けるアメリカの意思を感じる出来事でした。

ニューヨーク市内での行進が復活!
ニューヨークプライドマーチ月間

画像:ABCニュースによるニューヨークプライドマーチ当日の様子、https://abc7ny.com/nyc-pride-live-stream-2021-when-is/10824362/よりスクリーンショット画像を引用
そして同時に6月はLGBTQの人々の権利や差別撤廃を求める祭典やイベントを開催するプライドマーチ月間でもありました。


1969年ニューヨーク市内マンハッタンのゲイバーでの警察による摘発からの暴動が発端となったこの性的少数者の法的権利を求めるプライドマーチ、ニューヨーク市が中心となってこのイベントをオーガナイズしています。
2019年はおよそ15万人が集ったプライドマーチ(NY ノマド12回2019年12月)、2020年は完全にバーチャルでの開催となってしまいました。そして今年はハイブリッド型の開催となり、物理的なイベントもカムバック!6月26日には第40回を迎えるセントラルパークでのランニングイベント、フロントランナーズ・プライド・ランや27日にはメインイベントであるプライドフェストが開催されました。



当日の様子を報道したニュースをみると、ダイバーシティを源泉とするニューヨーク、人々が集い、共に活動し、声を上げ、これが私たちだと表現することを通じて、この多様な文化が生まれ続けているのだなあと感じます。

このプライドマーチ月間を支持し、共に活動するために様々な企業がこのプライドマーチ月間とタイアップした限定商品を販売し、活動を支援していることも印象的でした。

画像:レゴ社ウェブサイトhttps://www.lego.com/en-us/aboutus/news/2021/may/everyone-is-awesome/より引用
画像:UNO社のインスタグラムより引用、https://www.instagram.com/p/CQrFVTkFm8t/?utm_source=ig_web_copy_link

夏休みが本格的にスタート 
緊急事態宣言の全面解除とトラベルシーズンの到来

そしてこちらニューヨークでは6月下旬から学校も夏休みに入り、すっかり夏一色です。
昨年の夏はパンデミックでほとんどの観光業はクローズの状態でしたが、テレビをつけるとニュースで今夏のバケーションはすでにフライト予約が昨年比24%増となっている状況や大型船クルーズでのワクチン接種義務についてなどやプールを兼ね備えたリゾートホテル、チョコレートで有名なハーシーズがペンシルベニア州に展開する子ども向け遊園地&プールのハーシーパークのテレビコマーシャルなどがひっきりなしに流れるのを目にするようになりました。

観光産業も今年から回復に向かってアクティブにプロモーションを打っているようすが伺えます。
ニューヨーク州では6月25日に長らく続いていた緊急事態制限が最終的に解除され、全面的にリオープンとなりました。ワクチン接種もニューヨーク市では希望する全ての人が自宅でワクチン接種を受けることが可能になり、スーパーやレストランなどでのマスク着用義務もワクチン接種を終えた人に対してはマスク着用義務を課さないお店がほとんどとなりました。
日差しが照り付け、夜8時30分頃にようやく日没となるニューヨーク、私自身もようやく外でマスク着用なしで歩ける日常を噛みしめています。


アメリカでは学校の夏休みがおよそ2か月間ありますので、多くの家庭ではサマーキャンプと呼ばれる夏季スクールプログラムに子どもを送ることが通常です。
サマーキャンプはキャンプと名前がつきますが、日本でイメージするような自然の中で体験学習をするようなネイチャーキャンプ型のものもあれば、プログラミングを行うSTEM(科学)系キャンプ、数学キャンプ、さらにはファッションをテーマにしたもの、音楽、ダンス、ミュージカル、テニスやサッカーなどのスポーツ、動物園や博物館が提供するものなどバラエティに富んでいます。
我が家は子どもが通う学校の施設で行われる、教会の教育団体が運営するサマーキャンプに子どもを通わせることにしましたが、6月末のキャンプ開始までの間の1週間の休みを利用して、車で2時間ほどのアップステートと呼ばれるニューヨーク州の北部に、山々や牧場が拡がる地域に小旅行に出かけました。

今回のコラムでは、この小旅行をきっかけに知った、都会のニューヨーカーたちとアップステートのローカルの人々との間に生まれているビジネスや、エコシステムの変化についてご紹介したいと思います。

日本の軽井沢?セカンドハウス、別荘地として人気が高いアップステート 
キャッツキル、ハドソンバレー

今回の旅行で訪れたのはアップステートの中西部に位置するキャッツキルというニューヨーク市内から車で2~3時間ほどの地域です。


スキーリゾートや山間の別荘地が拡がるエリアにある牧場のテントに2泊3日、少し南下し、リビングストーンメナーという最近地域活性化を進め、おしゃれな旅行先として人気が出始めている小さな街から少し離れた小川沿いの家にAirbnb経由で2泊3日滞在しました。

画像:© OpenStreetMap contributorsよりマップ画像をダウンロードし、筆者加工

リビングストーンメナーはアメリカのフライフィッシング誕生の地なのだそうです。

リビングストーンメナーをはじめキングストンなどキャッツキルの小さな町の周辺にはおしゃれなビール醸造所や地元の素材を使ったレストランや個性的なお店がちらほらあり、日本でいえば長野県の軽井沢や白馬のようなエリアをイメージでしょうか。

軽井沢まで大きな町になってはいませんが、スキー場や山や川のアクティビティを楽しみ、ゆっくりと家族など親しい人と過ごす場所です。

軽井沢の別荘ように夏季や冬季のバケーションのみに訪れるというよりは、ニューヨーカーたちが平日は市内で仕事をこなし、週末にアップステートのセカンドハウスを訪れ、ゆっくりと自然との豊かな時間を過ごすという週末移住ライフスタイルとして根付いているようです。ちなみにカナダとの国境もあり広大なニューヨーク州、アップステートはニューヨーク市を除く、どこを指すのかはニューヨーカーの中でも認識が分かれる難題だそうです。


キャッツキルでの旅の様子は、次回Part1で。

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Aya Kubosumi ノマドマーケター

コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

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