第3回 オフラインコミュニティ『オフ会の組み立て方』

19.07.12 10:52 AM By s.budo

みなさん、こんにちは。


これまでは、私のもつ人脈と人脈を通じた困りごと相談の一例を記載しましたが、今回はオフラインのネットワーキング・コミュニティの形成の作り方(組み立て方)についてご紹介したいと思います。


※私がこれまでに作り上げたコミュニティのコラムはこちら

参加者同士がWIN-WINになるマッチング

「また呼んでください」と呼ばれるうちは続けようと始めた異業種交流会(飲み会)も先日ついに70回を迎えました。


そもそも今は複業こそしていますが、一介のサラリーマンである私に、多くの人を引き付けるような有益な知識や経験といったものはありませんでした。そこで私がしたのは、「他の参加者を引き付けるような魅力的な人物を二人集める」ということです。


例えば、大企業に勤めるサラリーマンに「IT系ベンチャー企業の社長さんと飲むのですが、来ませんか?」などと声をかけると多くの方は興味を持ってくれます。一方IT系ベンチャー企業の社長さんに「今度、大企業に勤めるサラリーマンと飲むのですが、来ませんか?」と声をかけてもあまり興味は持ってもらえないでしょう。そこで私はITベンチャー企業の社長さんに、「医療系ベンチャー企業の社長さんと飲むのですが、来ませんか?」と声をかけ、医療系ベンチャー企業の社長さんには「IT系ベンチャー企業の社長さんと飲むのですが、来ませんか?」と声をかけることで飲み会のメンバーを集めます。このように主催者の私ではなく、参加者同士WIN-WINになるようにマッチングをすることで、興味を引き付ける飲み会を主催してきました。

メンバーの3グループ

魅力的な人物同士を組み合わせるマッチングで会を盛り上げてきた、と書きましたが、単にそれだけを実行するのは難しいでしょう。次に、どのように魅力的な人物同士を組み合わせてきたかについてより詳しく説明します。
まず、コミュニティのメンバーを次の3種類のグループに分類します。
※第1回では、エクストリーマ、一般ユーザー、ノンユーザーという3つの層でメンバーをカテゴライズしていますが、ここでは、マッチングという観点で少し分類が異なります。

Aグループ(Absorber):

起業家やベンチャー企業の一員、市場に展開された商品を直接デザインしたデザイナーなど、目に見えた成果があり、一般的なサラリーマンに比べて珍しい経験を持つ人物であり、コンシューマーやサラリーマンなどを顧客とする業務に関わり様々な人の意見を取り入れたいと考えている人。自身の見聞をできるだけ広げ、自身の経験を若者や日本のために還元したいと思っているような人も含む。

Bグループ(business):

起業家やベンチャー企業の一員、クリエイター、大企業の役員など優れた経験を持つ人物のうち、非常に忙しい人もしくは自身の見識や才能を高めあうような刺激でなければ魅力を感じない人を含む。

Cグループ(Common)

企業に属するサラリーマンなど、一見すると大多数に属するような人のうち、他人の話を聞くのが好きで柔軟な考え方をもつ。

上記のグループを「経験の希少性」と「交流会への期待値」という2軸に分けると以下のようになります。

私の主催する異業種交流会の参加者はこの3グループになります。交流の期待値の高い層に該当するグループはありませんが、交流会への期待が高い場合、例えば、自身の扱う製品の売り込み先を探している、自社で抱えている課題を解決可能な製品を開発してくれる、自身のアイデアのスポンサーを探している、というような要望を確実に発見したいというような人は、異業種交流会の対象から外しているためです。

メンバー構成のノウハウ開陳!

飲み会を開催する場合、この紹介した3つのグループを意識したうえで声をかけていきます。
声のかけ方は大きく二つあるので、そのノウハウを紹介していきたいと思います。

有意義な出会いの場:A-B, A-Cの開拓ライン

冒頭で誰かを誘うのにほかの人の存在をほのめかして誘うと書きましたが、来ない人を来ると言って誘うことはフェアではないので、来ることを確認したうえで声をかけることが基本です。そのためにまず声をかけるべきはAグループのメンバーです。彼らは飲み会の同席者に対して貴重な経験を語ってくれる存在でありながら、このような場に積極的に参加してくれます。まずはこのAグループのメンバーを確保します。
そして次にBグループのメンバーに、Aグループのメンバーが参加することを伝えたうえで、声をかけます。
AグループとBグループが合わされば、お互い貴重な情報を交換し合う有意義な飲み会になります。
もしここでBグループのメンバーが誘えない場合は、Cグループに声をかけます。AグループとCグループが合わさった場合、CグループはAグループから貴重な情報をもらい、AグループはCグループから貴重な情報をもらうことになります。Aグループはいろいろな立場の人に関心があるため、たとえ相手がありふれたサラリーマンであっても貴重な情報に変えていきます。
ここで大事なのはBグループが集まらない場合にCグループを探すことです。AグループにAグループを重ねることで会が盛り上がりますが、Aは貴重です。同じ人を続けて飲み会に呼ぶのは呼びにくいので、次回に誘えるようにAグループは多くても参加者全体の2割程度に抑えています。

貴重な出会いの場:C‘-Cの開拓ライン

前項でAグループを軸にした誘い方を記載しましたが、時にはAグループが確保できないこともあります。そんな時はCグループに声をかけてメンバーの構成を考えます。先ほどCグループは大多数の層に属する、あまり珍しくない層というような表現をしました。確かにサラリーマンは平凡かもしれませんが、特定の人から見ると、非常に魅力的な存在になりうるのです。例えば20代のサラリーマンにとって50代のサラリーマンは普段気軽に飲めない相手で貴重な存在になります。残業時間が100時間を超えるようなサラリーマンや、定時で帰るサラリーマン、転職を経験したサラリーマンも異なる立場の人にとっては貴重な存在になります。


先の図を正確に書き直すと以下のようになります。
Cグループは誰に対しても珍しい存在ではないかもしれませんが、特定の人にとっては貴重な側面を探すことで限りなくレアリティの高いメンバーになります。そこからほかのメンバーを広げていくことで飲み会を組み立てていきます。先ほどAグループを2割に抑えるといったのは、Cグループを積極的に取り入れるためです。 


今まで話した話について、誘う順番と誘いやすさの関係をおさらいすると下図のようになります。記載した通り、まずはAグループから誘って組み立てると効率広げることをできます。

交流会を支えるCグループの存在

大まかに以上の二つの流れで参加者を集めるようにしています。一見Aグループが鍵のように見えますが、これまでの活動を振り返ってみるとCグループの存在が大きかったと思います。Aグループの人は実際、そう多くはありません。会の多くはCグループを起点とした開拓から始まり、Aグループからの参加者の開拓は効率がいいものの、そのルートが使えるようになってきたのは会の中盤以降です。Cグループの蓄積がAグループやBグループとの出会いを与えてくれました。また、単に立場が大衆的な人物をCグループ扱いにしてしまっていますが、それはそもそも失礼な話で、私が正しくと相手の個人の能力や思考などを注目すれば、誰もが他人にない経験を持っている人たちです。

テーマに沿ったマッチング

ここまでマッチングの方法を説明しましたが、実際に飲み会を設定する場合はまずテーマを決めて、それにそった前出のマッチングを行います。そもそも飲み会のテーマは主に二つあります。


一つ目は「自分が会いたい人に会う」です。この場合、会いたい人に会うためのマッチングをします。Bグループの相手に会いたい場合は、その人ではなく、まずAグループの人から誘います。


二つ目は「この人にこの人を紹介したい」です。この場合はそれぞれの人を誘えるようなメンバーをそろえながら誘います。


デザイナー飲み会、新規事業部飲み会というようにカラーをまとめることもありますが、そのような場合も一人ずつ合わせていきます。(デザイナー飲み会にするつもりでそうではなくなることも多いですが)



このような組み合わせ方と誘う順番の工夫により、これまで会を主催し、リピーターを集める飲み会を開催してきました。今回紹介したマッチングは、飲み会を主催する上で最大の特徴であり、最も力を入れている部分だと思いますが、このような工夫だけでは、70回も続くような飲み会を開催することはできません。
次回は、今回の特徴以外の、飲み会のクオリティを保つための様々なコツについて語りたいと思います。
プロフィール
Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー   電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。 パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得
Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー


電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。
パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得

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