第7回 オフラインコミュニティ『 データで振り返るオフ会への招待活動実績 』

20.01.30 12:44 PM By s.budo

みなさん、こんにちは。


これまでのコラムで、自身が主催するオフラインの異業種メンバーとの交流会について、その活動内容や運営していくノウハウについて紹介してきました。特に交流会、すなわち飲み会をどのように開くのかについて、メンバーの選定や店選びなど紹介してきましたが、今回はより具体的に私の経験を振り返ります。



昨年、2019年は12回ほど異業種交流会を開催しました。1件は参加者3名できっちり予定を合わせたものでしたが、残り11回は、私の都合で開催日を指定し、そこに集まれる人を集めるという定番のスタイル(ドタキャンOK)で行いました。その11回について振り返ってみます。


対象となるデータの条件

【期間】2019年1月~12月
【条件】主催者の都合で開催日を決定し、交流会への招待を行ったケース。
【抽出サンプル数】11件

開催日の早いものから番号を付けた集計結果が以下になります。

【参加者数】当日に集まった参加者の数(主催者は除く)。合計82人
【招待者数】当日までに交流会への招待を行った人数。合計186人
【当日キャンセル】開催日の前日まで「参加」もしくは「行けたら行く」と表明していたが、当日になって欠席を伝えてきた人の数です。当日に誘って断られた人や前日まで返信を保留にしておきながら当日欠席を伝えてきた人は含んではいません。
【招待開始日】最初に交流会への招待を行った日が、開催日の何日前かという値です。
例えば-4というのは開催日の4日前に一番最初の交流会への招待を行っていることを示しています。
【参加率】参加者数を招待者数で割ったもの。全体の平均値は各回の平均値の合計ではなく、合計で計算しています。82÷186=44%
【当日キャンセル率】当日キャンセルが発生した人数を、当日キャンセルした人数と当日の参加者の和で割った値になります。前日までは8人来る予定だったのに、当日キャンセルが1名発生し、残りの7人のみが当日に来た場合であれば、1÷(1+7) = 0.125(12.5%)となります。

交流会招待の実績

少し見やすいようにグラフに変換したものが以下です。

全11件のサンプルについて、実際に参加した参加者の数、招待した人の数、そして招待した人に対する参加者の割合である参加率を折れ線で示したものになります。


集計結果の最後にある平均は各項目の合計を11で割ったものです。
招待者数の合計はのべ186人。参加者数の合計はのべ82人に至ります。


この11件の平均値を見ると、私は一回の交流会ごとに、およそ15日前から参加者への招待をはじめ、最終的にはおよそ17人の人に声をかけ、そのうちおよそ8名が参加している、というように読み取れます。

招待日ごとの招待数と参加率の傾向

しかし、会ごとにテーマを変え、開催するテーマに応じて、目標とする参加者数も変えてきたので、集計結果だけでなく中身も視覚化しましょう。


全11件の飲み会でのべ186人に声をかけましたが、声をかけた時期と人数の関係を示したのが以下になります。横軸は招待日で、開催日の一週間前に声をかけた時の人数の場合は「-7」に記載された値となります。
これまで交流会の人の誘い方として、一度に多く誘うのではなく、徐々に参加者を見ながら次の人を誘うというスタイルで会を主催してきましたが、やはり後半にかけて誘う人数は多くなっていきます。


次に上記の招待人数のグラフに、招待した日ごとの最終的な参加率を加えてみます。
20日前の参加率であれば、20日前の日に招待をした人が当日に参加した割合が参加率になります。
一週間以上前は招待者数も少ないため、参加率の変動が高くなってきています。


続いて受け取っていた返事の時間的な変化も見てみます。
まず、説明のため一番参加率が良かった日を例に、時間的な変化を見てみましょう。

回答の内訳

推移は以下になります。

●サンプルNo.3, 参加者6人、招待者数10人、参加率60%(1位)

時期が”-4” つまり4日前については、一人を誘い参加の解答を得たため、総合計と参加者がそれぞれ1となります。3日前は新たに二人に声をかけますが、返事をもらえず保留が2となります。


2日前の時点で声をかけたのは9人で参加が4人、欠席が4人、保留が一人になります。
当日は保留だった人が不参加になり、当時に勧誘した相手が参加し(緑)当日勧誘が1増え、招待者数は10人。参加者は6人となりました。


他のケースも可視化します。

サンプルNo.10, 参加者10人、招待者数17人、参加率59%(2位)

サンプルNo.11, 参加者2人、招待者数9人、参加率22%(ワースト1位)

などになります。

これらを11件まとめたものが以下になります。
これらの結果に対し、分析をしてみましょう。


まずは参加率に対しての分析を行います。
11回の開催において参加率は22%から60%までばらつきがありましたが、何か相関性を持つ要素がないか探してみます。

開催時期と参加率の関係

一年を通して、時期によって参加率に違いがないか確認した結果が上の図です。強いて言えば12月が低い程度でした。


    • 開催時期と参加率に明確な相関性は見つけられなかった
    • 12月はやや集まりが悪い


開催曜日ごとの参加率

私の交流会は基本的に平日開催ですが、開催された曜日ごとに参加率を示したのが上の図です。
開催曜日自体は割と偏ることなく開催しましたが、ここでも曜日による影響は特に見られませんでした。


  • 開催日の曜日と参加率に明確な相関性は見つけられなかった


招待開始日に対する参加率

参加者への招待を始めた時期と参加率の関係を示したのが上の図です。


横軸は開催日の何日前から勧誘を始めたかを示しています。右に近づくほど直前です。開催日に近いタイミングで集め始めると難しいような気もしますが、そうではないようです。参加率最低は4日前に招待を開始したケース(サンプル No.11)の22%ですが、参加率が60%と最も参加率が高かったケース(サンプル No.3)も4日前に開始しており、早く集め始めようとすれば参加率がよくなるという訳ではなさそうです。


  • 招待を開始し始めた時期と参加率に明確な相関性は見つけられなかった


ということで、これまでの4件をまとめると
  • 開催時期と参加率に明確な相関性は見つけられなかった
  • 12月はやや集まりが悪い
  • 開催日の曜日と参加率に明確な相関性は見つけられなかった
  • 招待を開始し始めた時期と参加率に明確な相関性は見つけられなかった
という結果が得られました。


サンプルが少なく不十分だという可能性も高いのですが、今回参加率と相関性のある要素は残念ながら発見できませんでした。ここから得られる仮説は、「参加率は12月をのぞけば、時期や曜日には左右されない」、ということです。言い換えれば、平日であればどこも大差はなく、月曜日だから集まりが悪い、という言い訳もできないようです。

招待時期と参加率

続いて招待時期と参加率の関係を改めてみてみましょう。


日ごとに招待した人数とその最終的な参加率について、日ごとに誘っている人の数が違うので、参加率のばらつきが多かったので、招待者数が多い後半一週間を見てみます。
  • 開催日直前の一週間で一番参加率が高いのは当日


ただこれは当日に呼ぶと参加率が高いということではなく、参加率が高そうな人に優先的に声をかけていたからだと思われます。

参加意向と招待者数の関係

続いて186人の招待者からの返事についてもより細かく見ていきましょう。

その日時点での回答結果について招待者数と参加、欠席、保留の割合を見てみましょう。(当日参加の割合などは割愛するため、その3要素の合計は100%になりません)
参加の割合は時間がたつにつれて下がっており、欠席は逆に高まっています。つまり時間がたつにつれて声をかける人が増えていくものの、なかなか参加には結びついていないように見えます。単純に考えれば、急に誘われるほど参加しにくいということかと思われます。11日前あたりで欠席の回答率が増えていることからするとそのあたりで予定が明確になる傾向があると考えられます。(私の会はドタキャンOKであり、開催数も多いため人によっては優先度が低く、別の予定が入れば優先されないと考えられます)


ここから導かれる仮説は「平日の夜に飲み会をするなら12日前に予定を確保する」ということです。声をかけるタイミングは3日前が一番多かったのですが、もしかしたら効率が悪かったのかもしれません。これは2020年に心がけて検証してみたいと思います。


参加の割合が時間がたつにつれて下がる理由は、上記のような仮説も立てましたが、別の角度でも考えてみましょう。
私の会でメンバーを集める際は徐々に人に声をかけて、確定した参加者やその特徴を伝えながら声をかけるスタイルです。多くの場合、「私が主催する異業種交流会」という名目で参加を決めてくれる常連に声をかけて、参加者を固めたうえで、「気になる人が来る交流会」という名目で参加者を集うので、時間がたつにつれて参加しづらい人に声をかけていっています。(この辺りの詳細は第3回を確認してください。)


そのためそれが理由で参加率が下がっているかもしれませんし、むしろ一斉に声をかける場合よりも参加率の下がり方は少なくなっているという可能性もあります。これは検証そのものが難しいので結論を出すことは難しいですが・・・。

検討結果

今回の検討結果をここで整理してみましょう。

確認した事実事実から推測した仮説
開催時期と参加率に明確な相関性は見つけられなかった 1.参加率は12月をのぞけば、時期や曜日には左右されない
12月はやや集まりが悪い1.参加率は12月をのぞけば、時期や曜日には左右されない
開催日の曜日と参加率に明確な相関性は見つけられなかった 1.参加率は12月をのぞけば、時期や曜日には左右されない
招待を開始し始めた時期と参加率に明確な相関性は見つけられなかった 1.参加率は12月をのぞけば、時期や曜日には左右されない
開催日直前の一週間で一番参加率が高いのは当日。 2.当日参加可能な人に適切に声をかけている
参加の回答をもらう割合は開催日に近づくほど下がる 3.急に誘われるほど参加しにくい。
4.開催日に近いほど参加率が低い人を招待している
11日前あたりで欠席の回答率が増えている 5.平日の夜は12日前に予定を決める傾向がある。そのため12日前から確保すると参加率が高くなる。
となります。


今回はまだまだ十分に結論が出ていない内容を紹介することになりましたが、具体的なデータを出すことでオフラインコミュニティを作る労力について伝わったのではないでしょうか?
いくつかの仮説については2020年のオフラインコミュニティ生成の中でも再度検証をし、また報告できればと思います。
プロフィール
Ito. As IS アイディエーションエスノグラファー

電子機器メーカーのマーケティング担当。新規技術開発、新規事業開発部門に所属しながら市場調査や企画、新規事業創出プロセスの構築に従事。業務の傍ら、複数のベンチャー企業のインターンシップに参加し、販促や商品企画に携わった後、会社の副業解禁に伴いmo4maにGoodwill Partnershipを締結して参加。エスノグラフィー(行動観察)を基にしたアイディエーションを得意し、市場観察の一環として独自のネットワークを構築、様々な調査設計を始め、商品開発の企画支援、外部マーケターズパネルの運営を行う。


パロアルト研究所認定エスノグラファー PARC certified fieldworker 資格取得

s.budo