Part4. 賛否両論、議論を巻き起こす~攻めるグリーン&動物愛護政策
環境保護政策も一味違います。

ニューヨークのビル・デブラシオ市長は4月22日、市の包括的な環境保護政策(グリーン・ニュー・ディール)を発表。
「ワンNYC」と名付けられたこの政策は、エネルギー効率の悪い、昔ながらのガラスやスチール製の高層ビルの新たな建設を禁止、今後建設されるビルで、ガラス製の外壁を全面に設置する場合などに、厳格な基準を設けるものです。
同計画ではまた、市に既存する約5万棟の2万5000平方フィート(約2323平方メートル)以上の大規模ビル所有者に、エネルギー消費量および温室ガス排出量削減のための改良を義務付けます。
市によるとこうした規制は全米初。
民間のビル所有者は、2030年までに約30%の温室ガス排出量削減を義務付けられ、これを怠ったビル所有者は100万ドル(約1億1183万円)、大型ビルの場合はそれ以上の罰金が科せられるそうです。
デブラシオ市長は、
「市で最も象徴的な建造物である高層ビルが、市での温室効果ガス排出の主な原因。抜本的な改革および5年以内の再生可能エネルギーへの切り替えが必要」
と主張しています。
こうした政策を受け、ニューヨーク州都市交通局(MTA)も操車場やバス車庫など所有する不動産の屋根部分を貸し出し、ソーラーパネルを設置する計画を発表したそうです。
地球温暖化対策の推進を目指した国際枠組みであるパリ協定からの離脱を表明しているトランプ大統領のアメリカとは真逆を突き進む、グリーン政策をがんがん推し進めるニューヨーク。
ちなみに、トランプ大統領は、ニューヨーク五番街にあるトランプタワーを自宅として登録していましたが、昨年フロリダに居住地を変更しました。
その際も、トランプ大統領が出て行ってくれてよかったとtweetするデブラシオ市長とTwitter応酬合戦を繰り広げておりました。
トランプ大統領の居住地変更は納税に関する問題が起因するようですが、これも、どんな街、コミュニティにしたいかを明確に発信し、政策を推し進めてきた結果の一つなのかもしれません(笑)。
今のは冗談ですが、こうした一見過激とも思えるような取り組みは、明確なスタンスを提示することで関わる人に問題提起し、そのスタンスへの問いかけをもたらします。
そしてそれが一人ひとりの問題意識を喚起し、アクションする人を増やすのではないかと思うのです。

こちらに来てから、こうした出来事に触れ、経験するにつれ、日本のように、足並みそろえてそこそこ活動するだけでは、誰の支持も得られない日は近いのではないかと強く危機感を覚えます。
メッセージを発信し、体現し続ける街~アルコール広告禁止と寄付拒否

また、2019年に、ニューヨークのメトロポリタン美術館はサックラー家からの寄付拒否すると発表しました。
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