NYノマド  第13回  2020年、気になるビジネス!ーグリーンラッシュに沸く、娯楽用大麻産業 Prat1

20.02.06 10:34 AM By s.budo

皆さん、こんにちは。


寒さも厳しさを増し、、、という真冬の季節、ニューヨークはだいたい最高気温が3℃、最低気温がマイナスという凍てつく気候で、帽子に手袋、完全防備でないと外出できません。

車も冬用のスタッドレスタイヤに11月後半には衣替えし、降雪に備えます。

ことにマンハッタンはビルが多いせいでしょうか、乾燥のせいでしょうか。足元からしんしんと冷え、体は乾いた冷たい空気にさらされます。

しかしながら、先月はなんと20℃近くまで気温が上がる日もあり、やはり温暖化でしょうか。1月は雪を見る日も数日という具合でした。


例年冬シーズンのニューヨークは、寒さで観光客も減るため、1月後半から2月の時期にかけて、観光客のてこ入れが行われます。

  • ブロードウェイウィーク、オフブロードウェイウィークは一人分のチケット料金で2人が観劇することができるもの、
  • マストシーウィーク(Must-See week in NYC)は美術館などの観光スポットが同様に一人分のチケット料金で2人入場できるというもの、
  • レストランウィークはニューヨーク市内の参加レストランがレギュラーメニューとは違う、レストランウィーク専用のお得なメニューがランチもしくはディナーに登場し、普段よりもリーズナブルに食事を楽しめる
というイベントです。

いずれも観光客だけでなく、ローカルの人々にももっとニューヨークを楽しんでもらおうとする試みで、冬だけでなく、ブロードウェイウィークは9月など、年に2回程度開催されます。
顧客からすれば、安い金額で人気のミュージカルやレストランなどを試せるまたとない機会となり、ライオンキングといったような超人気のミュージカルはブロードウェイウィークの発売初日で完売してしまうそうです。
いつも、このブロードウェイウィークのタイミングでミュージカルを観に行きたいと思うのですが、気が付くとチケットが完売しています。
子どもがいるとなかなかフレキシブルに予定があけられないこともあって、残念ながらこの恩恵にあずかれていません。

レストランウィークは今までに何回かトライしたことがあるのですが、レストランウィーク限定のメニューを安価に提供するレストランが多く、新しいレストランを開拓するにはとてもよい機会です。逆に、この限定メニューの当たりはずれも多く、通常メニューの方が美味しそうだったり、限定メニューが料理としても価格としても魅力的でないとなんとなく、余計損をしたような気がしてここ最近はレストランウィークにあまり足が向きません。

兎にも角にも、ニューヨーク市が一丸となって閑散期のニューヨークを盛り上げようとしているようすが伺え、寒い冬にもホットな活気を感じます。ちなみに今回の年末年始のニューヨークのタイムズスクエアでのカウントダウンにはおよそ100万人(主催者推定)の人が集まったそうです



最近ではミッドタウンのブロードウェイの繊維街に大人も子どもも楽しめる光のシーソー"Impulse(インパルス)"のイベントをしているようで、外に出るのがおっくうになる季節ですが、ちょっと出かけて乗ってみたくなります。
そしてインスタ映えしそう、かつ、見ず知らずの人とも童心に帰って楽しめそうなこのシーソー、さすが人を惹きつける都市ですね。

第13回NYノマドでは、「気になるビジネス!ーグリーンラッシュに沸く、娯楽用大麻産業」をテーマに、Part1~4まで日本では全く未知のビジネスをマーケティングの切り口からご紹介させていただきます。

  • Part1. 2020年のニューヨーク州、施政方針演説
  • Part2. グリーンラッシュに沸くアメリカ -緑の金脈、嗜好用(娯楽用)大麻ビジネス市場
  • Part3. チョコレートから美容、スパークリングウォーター、そしてペットのおやつまで!? 幅広い商品・サービス展開
  • Part4. グリーンビジネス・エコシステムの形成とネガティブイメージの一掃

Part1. 2020年のニューヨーク州、施政方針演説

2020年のニューヨーク、今年はどんなことが起きるのでしょうか。

どのような新たな取り組みが始まるのでしょうか。

そしてどのようなビジネスが生まれ、拡大しそうなのでしょうか。


イノベーションが生まれ、それから法律が整備されることもあれば、政治や法律が新たな市場を生むという側面もあります。


つい先だって、ニューヨーク州知事のクウォモ氏が施政方針演説を行い、2020年度の予算計画や達成したいこと等について発表しました。
その中身は、例えば、

  1. ヘイトクライム(憎悪犯罪)を国内テロリズム犯罪とする法案
  2. ニューヨークで就労する労働者への病欠有給休暇制度
  3. 嗜好用大麻の合法化
  4. 中小企業やミドルクラス労働者への減税
  5.  ギグエコノミーの労働者(個人事業主)保護
  6. 8本の線路増設を含むペンステーションの改良工事
  7. 異常気象や自然災害への緊急時対応強化
  8. 電気自動車の導入拡大
  9. 農業市場支援として、マイノリティや女性のファーマーを増やすためのキャリアパス支援
  10. 学校給食での地元産食品の使用(地産地消)
  11. ニューヨーク産の飲料(クラフトビールなど)販売拡大のため映画館でのアルコール販売
  12. 医療費の透明化を目指し、同州の全病院での各治療費をウェブ上で公開するためのウェブサイト「NYヘルスケアコンペア」の設立
  13. 不妊治療サービスへのアクセス拡大
  14. リスクの高い性犯罪者の地下鉄利用や出会い系アプリの使用を禁じる法案


他にも女性起業家への支援策、LGBTQの人々の環境整備など、これ全部できるの?と思ってしまうような広範かつ多岐にわたった内容となっていますが、クウォモ知事は
「This is a robust agenda - but we can do all of this. Our state government has accomplished the impossible - over and over again and we will do it again this year.


 (これは骨太なアジェンダだが、私たちはこの全てに取り組むことができる。私たちの州は不可能を実行してきた。何度も何度も。そして今年も同じようにやります。」

というメッセージを強調し、実行することを強調しています。

あわせて、ニューヨークが置かれる現状とクウォモ知事の施政演説を表現したポスターが制作され、公開されていますがこのポスターに対しては何が言いたいのか分からない、こんなのに公費を使わないでくれ、など、ネガティブな反応が多いようです。


私としては、ポスターはさておいて、クウォモ知事がニューヨーク州をどんなところにしたいと思っているのか、誰に、どんな貢献をするのかが多かれ少なかれ明言され、よそ者の私でもニューヨークがどうなっていくのかをおぼろげながらも想像できるという意味で、日本の同様の施政方針演説よりも希望やポジティブな想いを与えてくれるものでした。


逆に、物言う有権者が多いアメリカでは、かなり解像度高く、この政治家が私に何をしてくれるのかを一人ひとりの有権者に理解してもらわなければ、支持も票も集まらないのでしょう。


こういう健全な緊張関係が政治への関心や参画をもたらすのだろうなあと日本に想いを馳せながら考えておりました。

さて、このクウォモ知事の施政演説中にも言及され、私が気になっているのがアメリカだけでなく、世界で萌芽、拡大し始めている嗜好用(娯楽用)大麻ビジネス市場です。


昨年に渡米して以来、ニュースやメディアなどで頻繁に見聞きし、話題になっていた市場で、巨大な市場形成が期待されるとともに、犯罪や心身への悪影響、倫理上の問題、法律や規制など、リスクと背中合わせのビジネスでもあります。


日本で娯楽用大麻市場が拓かれるのは現実的ではないと思いますし、大麻製品を推奨する意図もありませんので、今回のコラムではこの新たな市場やビジネス動向についてご紹介し、アメリカですでに興隆しつつある新市場からインサイトを探ってみたいと思います。

Keep in Touch !

ビジネス、公的な活動問わず、アメリカのこれらの事例から何かのヒントがお届けできれば幸いです。みなさんからのコラムに関するご質問や、こんなことを聞いてみたい、知りたい!というリクエスト、叱咤激励などなど、24時間365日お待ちしております。ではまた次回コラムでお会いしましょう。

columnist

Aya Kubosumi ノマドマーケター


コニカミノルタ、大阪ガスで行動観察やユーザーリサーチに携わったのち、GOB Incubation Partnersを創業。夫の突然の転職に伴い、東京から3歳の娘と夫とともにNY(ニュージャージー)に移住。ノマドマーケターとして、NYの人々、もの、こと、を日々観察、体験したことを素材に、日本の商品開発マーケターの皆さんと共有したいインサイトを綴ります。

s.budo